6話 美少女ゴーレムは改造で無限に強くなれる

 冒険者ギルドで手続きをした後。僕とアルカは宿に戻り、アルカについて詳しく調べていた。


 なにせ、ゴーレムが人間の姿になって人格を持つなんて、これまでに無かった現象だ。


 いくら調べても調べ足りないくらいだ。


 そして調査の結果、凄いことが分かった。


 なんとアルカ自身が、魔力を発生させているのだ。


 魔力を発生させるのは、モンスターや生き物だけ。石や金属が魔力を持つことはあり得ない。普通のゴーレムも、生き物ではないので魔力は持たない。


 しかしアルカの身体からは、魔力が発生している。


 しかも、凄いのはそれだけではない。


 その魔力の種類が、超貴重なのだ。


「アルカの魔力は、【異空間格納】だ」


 理論上だけは存在していた、誰も見たことのない魔力。それが【異空間格納】だ。


 物質を異空間に格納することにより、物をいつでも出し入れできるようになる、超利用価値の高い魔力が、存在する”はずだ”と言われ続けていた。


 だが、まだこの世にその魔力を持つ存在は見つかっていなかった。


「アルカ、この銅貨に対して魔法を使ってみて」


「はい。こう、でしょうか」


 アルカの掌の上にあった銅貨が消える。


 そして、アルカがもう一度魔法を発動すると何事のなかったかのように銅貨が現れた。


 恐らく世界で初めて、物質が一度異世界に消えて、再び出現した。


 魔法を研究している学院で発表すれば、大騒ぎになること間違いなしだ。


「この魔力を最大限に活用して、アルカに形態モードを追加しようと思うんだけど、どうだろうか?」


形態モード、ですか?」


「そう。モンスターの素材を使ってアルカに武装を追加する。そして、その武装をアルカが魔力で異次元に格納しておく」


 ――こうすることで、必要な時だけ追加した武装を取り出して使うことができる。


 それだけではない。武装を沢山追加して、戦う相手によって使い分ける。


 これが、形態モード機能。


 モンスターを倒し、その素材を使って形態《モード》を追加していくことで、アルカは無限に強くなっていくはずだ。


「分かりました。マスターのためにも、私は強くなりたいです!」


 というわけで、早速アルカの改造を始めることにした。


 アルカのコアユニットのフタを開く。


 中に入っているのは、色とりどりの魔石と魔法陣。その配置を少しいじって、フレアウルフの魔石を組み込む。


 更に、右腕にも改造を施す。


 ――――――数時間かけて、ようやく完成した。


 形態《モード》:フレアカノン。


 フレアウルフの体内からとれた魔石を使って、右腕から火炎魔法を発動できるようにした。


「お疲れ様でした、マスター。ありがとうございます。これで私、もっとマスターのお役に立つことができますね」


 アルカが労いの言葉をかけてくれる。


「……つかれたし、散歩でも行こうか。アルカにも新しい服を買ってあげるよ。いつまでも僕のお下がりじゃ悪いし」


「本当ですか!? ありがとうございます、マスター!」


 弾けるような笑顔でアルカが僕に抱きついてくる。


 僕は全身でアルカの身体の柔らかさを味あわされてしまうのであった。

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