41話 黒幕に決闘を申し込まれる

 辺境の冒険者ギルド支部。


 応接間にて。


 僕は今、生きる英雄マキオスから、新しい冒険者ライセンスを受け取る。そこには確かに、【階級:第13号勇者】と記されていた。


 いまだに、手が震えている。


「夢みたいだ……」


「やりましたね、マスター。これで夢がかないました!」


 アルカが僕の手を掴んで何度も上下に振る。目の奥から、熱いものがこみあげてくる。


「おめでとう、ナット君。実力も人格も、君なら問題ない。試験中少しやりすぎなところもあったが……君には期待している!」


「ありがとうございます!」


 生きる英雄マキオスから褒めてもらえた。


 さぁ、今日から勇者として、新しい生活の始まりだ。


「おめでとうございます、ナットさん」


 僕の後ろに、いつの間にかホクホク顔のリエルさんが立っていた。


「今回私、試験補佐官をしていたんですけど、『誰が次の勇者になるか』他の補佐官と賭けをしていまして。私は金貨100枚ナットさんにかけたので、大儲けしちゃいました☆ 信じていましたよ、ナットさん」


 金貨100枚!? 凄い額だ……。


 それほど僕の実力を信じてくれていたのか。


 マキオスが呆れてため息をつく。


「まぁお金が欲しかったというより、他の調子に乗った試験補佐官から大金をむしり取って絶望する顔が見たかったのですけれど」


 本当に、危険な人だ。


「遊び程度で小銭を賭けるならともかく、そんな額の賭け事をするでない」


 マキオスが口を軽くリエルさんを叱る。


「はーい、反省します☆ ところでナットさん、また新しく決闘を申し込まれていますよ? どうします? 受けますか?」


「誰からですか? ハロンパーティーのメンバーとは全員決着をつけましたし、申し込んで来るような相手なんて……」


「冒険者ギルドで身辺情報を洗ったところ、どうも元勇者ハロンに『ゴーレムのメンテナンスなんて簡単だ』と吹き込んだ男みたいですねぇ」


 !!


「マスターを、勇者パーティーから追放するように仕向けた男ですか……」


 アルカが拳を強く握りしめた。


「あと、私好みにイイ感じに調子に乗っている男ですね」


 その情報はあまり重要ではないのですが。


「そして、勝負の内容ですが『ゴーレム対決』を提案してきています。『どちらが人の役に立つゴーレムを作れるか』で勝敗を決めたいと」


「ゴ、ゴーレム対決!?」


 まさか、僕以外にゴーレムを作れる人間が現れるなんて。


 一体、どんなゴーレムを作ってくるんだろう?


 僕を勇者パーティから追放指せるように仕組んだとか、そんなことは吹っ飛んだ。なんて楽しみなんだ。


「もちろん受けます!」

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