アイドルグループ「Twinkle」と忍び寄る影

 Side 藤崎 シノブ


 善は急げと言うことで日が変わらないウチにアイドルグループのメンバーとマネージャーと顔を合わせる事になった。


 場所はTwinkleが所属する芸能事務所のビル。


 ついでに谷村さんと僕とで周りを嗅ぎ回っていた不審人物――恐らく週間誌の記者だか何かだろうを捕まえて二度とうろつけないように暗示をかけていた。


 谷村さん曰く「日本のジャーナリズムは死んでる」、「マスコミだの新聞だのは人間の屑じゃないと出世できない職業」と嫌っている様子なので何だか何時も以上に力が入っていた。


 さて、アイドルに対して接することになるわけだが特には緊張しなかった。

 異世界で女性慣れしたのもあるが、接してきた女性のレベルが高いのだ。

 なにしろ文字通りの世界レベルの絶世の美女、美少女で肩書きも王女から公爵令嬢だのと接してきたのだ。

 

 イヤでも慣れる。


「話は聞いてるわ。私達がTwinkleよ」


 それはそうとマネージャーを通してのアイドルとの顔合わせ。

 谷村さんが少し思い詰めた顔をしているが今はそれよりも仕事の段取りについてだ。


 その段取りを上手く進めるためにも顔合わせや円滑な友好関係の構築は必要不可欠だ。


(まあ第一印象は変に思われるだろうけどな・・・・・・)


 服装はスーツ姿でサングラス――長谷川さんが用意した物に谷村さんの魔導技術をぶっ込んだ奴だ。

 

 性能はともかく恰好は十代の少年がするのは変だったので反対はしたのだが――


 ――普段着でもいいんだけど、普段着を着た少年二人がマネージャーを通しているとは言え、現在売り出し中の美少女グループアイドルに接触するとなると体面的にまずい。変に思われるけどそれ相応の恰好をしていくよ。


 と、谷村さんの意見で却下となった。

 

(逆に悪目立ちしそうなんだけどなぁ・・・・・・)


 などと思いつつ楽屋にいる三人を見やる。


「なんか想像してたのと違うわね」 


 まずリーダーの天川 マリネ。

 茶髪のショートヘアーで勝ち気そうな女の子。


「もっとこう、海外のアクション映画とかに出そうな厳つい人達が来ると思ってた」


 次に星空 アカリ。

 長い黒髪の知的そうなお姉さん。


「本当に頼りになるの?」


 最後に綺羅 セイナ。

 金髪ツインテール小悪魔的雰囲気が漂う少女。

  

「一応、その筋の――これでもかなりグレーな綱渡りをして依頼したんだけどね」


 そして最後に長い髪の毛に知的そうなメガネをつけたスーツ姿の女性のマネージャー、纏目 リセ。


 この4人である。


「て、谷村さん?」


 谷村さんは天川 マリネの方を向いていた。


 そしてこう告げる。


「いやーどうせ覚えていないと思うけど久しぶりだね天川さん」


「谷村くん?」


 このやり取りに俺は衝撃を覚えた。



 Side ???


「長谷川の奴、妙な助っ人を雇いやがって――無駄だと教えてやるよ」


 長谷川は神童だ。

 だがその力を親は制御出来なかった。


 俺はその正反対。

 親の力で好き勝手しているクソガキAだ。


 と言うかそうでもしなければ生きていけない。

 少なくとも俺の生きている場所はそうだった。


 分と言う奴をわきまえていれば好き放題にできた。


 だがTwinkle。


 特に天川 マリネ。


 どうしても手に入れたくなった。

 

 欲しくなった。


 邪魔するのなら――殺してでも奪い取ってやる。

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