人質救出ミッション

 Side 藤崎 シノブ


 とりあえず人質を救出する事になった。

 場所は巧妙に隠されていた。

 都内の某ビル。


 外国人がうろついていてとても物騒な雰囲気だ。

 屋上にはヘリが止まっていて完全武装の兵士が巡回している。

 ここ本当に日本だよな?

 

 海が綺麗に見える特等席。

 ビルの最上階に東条さんの家族は囚われていた。


「お二人ともはとんでもなく凄い人だってのは何となく分かるんですが大丈夫なんですか?」


 東条 ミウさんに心配される。


「大丈夫だ。手順はサカキ高校の時と同じで?」


「ああその手で行こう。東条さんは僕に任せたまえ」


「了解」


 そして俺達はビルに乗り込んだ。



 ドローンや監視カメラは魔法で破壊。

 兵士たちは強化魔法と睡眠のデバフが掛かった電動ガンで無力化。

 自分の姿は認識阻害や潜伏スキルなどで見つからない。

 時には催眠魔法で一気に眠らせる。

 もはや一方的な狩りだ。

 とにかく東条さんの護衛をしながら次々と片付けていく。

 

 順調すぎて罠を疑うが、とにかく目的地まで急いだ。



 Side 東条 ミウ


 この二人は何者なのだろうかと思う。

 まるでアクション映画から飛び出て来たかのように次々と悪党を倒して行く。

 その姿に私は魅入ってしまいました。


 自分達の事を異世界帰りの勇者だと言ってましたが強ち嘘ではないのかもしれません。


 そんな事を思っているウチに、あっと言う間に父と母の元に辿り着きました。


「お父さん!! お母さん!!」


「ミウ!!」


「どうしてこんなところに!?」


 私はお父さんとお母さんに駆け寄ります。

 涙が溢れ出てしまいました。


「感動の再開に水を差すようで失礼ですが――今は時間が惜しい――」


 と、割って入る様に谷村さんが言いました。


「君達は――」


「通りすがりの正義の味方みたいな物です――とりあえずこの場を脱出しましょう」


「わかりました」


 感動の再開も束の間。

 私達はビルから脱出する事になりました。



 Side 藤崎 シノブ


 =秋葉原の谷村の事務所=

  

 東条 ミウとその奥さんは大阪日本橋の事務所にワープしてもらった。

 俺達は谷村さんと一緒に東条さんのお父さんから事情を聞くことにした。

 いわゆる情報の最終確認と言う奴である。


「奴達をスグにでも止めなければ――奴達は首都圏をドローンで火の海にするつもりだ」


 と、東城のお父さんは顔を青くしてソファーに座り込む。


「それがライブラの計画であり、そして斎葉 ヒデキの計画だって言う事は知っている。会社の技術をライブラと斎葉に目を付けられた――その一環で貴方の娘も命を狙われたんですね?」


 谷村さんが補足するように言った。


「そこまで知っているのなら話は早い――急いだ方がいいが……誰が味方で誰が的かも分からない状況だ。仮に自衛隊を動かしたとしても勝てるかどうかも分からん相手だぞ……」


 と言うが……


「僕はやるさ。この国には悪い所は沢山あるがそれでも希望はある」


 谷村さんはノリ気だった。


「俺も行くよ――流石に目覚めが悪すぎる」


「んじゃあ殴り込みだね」


 トントン拍子に物事が進んでいく。


「君達は一体何者なんだ?」


「言ったでしょ? 通りすがりの正義の味方みたいなもんだって」


 と、谷村さんは茶化すように言った。

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