これから
Side 藤崎 シノブ
コンビニ食だが軽く腹ごしらえを終える。
東条 ミウさんは暗い雰囲気――ではなく、珍しそうな目でコンビニ食を見つつ箸をつけていた。
「コンビニ食ってこんな感じなんですね」
「食べたことないの?」
「はい」
「そ、そう」
そう言えばお嬢様だっけかなどと思うと同時に、アニメや漫画みたいな経歴のお嬢様もいるもんだなとか思ったりもした。
「さてと腹ごしらえしたところで現状確認だ」
皆が食べ終わったタイミングを見計らい、谷村さんが話を切り出す。
「まず自分達が戦ってる相手は斎葉 ヒデキ。武器商人であると同時にとある組織と繋がりがある」
「とある組織?」
僕は谷村さんに尋ねた。
「ライブラ――そう呼ばれている。裏の組織さ――」
「日本橋に出会った見た事もない装備をした連中か……」
「その手勢と見て間違いないだろう」
話に割って入るように「あの、そんな情報どこで手に入れたんですか?」と東条さんが質問する。
「基本はあのメイド喫茶の店主や長谷川君からの情報筋だよ――」
とは言うが実際は鑑定魔法などを使ったのだろう。
そう言えば最初遭遇した時にそんな名前の欄があったように思える。
自分の注意不足だ。
「問題はここからだ。ライブラは、斎葉 ヒデキは――無人兵器を満載したタンカーを突っ込ませて火の海にしようとしている」
「何のためにそんな事を――」
東条さんが言うようにそんな事をするのか分からなかった。
「ある程度は想像はつくが本人の口から確かめた方が早いだろう。まあその機会があればだけどね――問題は両親の奪還だ」
谷村さんがその話題に切り替えて東条さんはビクッとなった。
「両親の居場所が分かるんですか?」
「まあね。ライブラの連中は大阪で派手にやりまくったから現在関東に撤収中だ。目的はもちろんAIによる大量虐殺の手引きもあるんだろうけど、問題はAIだ」
僕はここで疑問を持った。
「ちょっと疑問なんですけど――どうして東条さんが狙われるんですか?」
「より優れたAIの開発をするための人質って奴さ。悪党が考えそうなことだね」
と答えて谷村さんはこう続けた。
「無人機開発の競争は激化している。さらに言えば無人機を動かす頭脳――AIの開発もだ。恐らくだがより優れたAIを開発させるため、言う事を聞かせるために東条さんを狙ったんじゃないのかな?」
「……」
そう言うと東条さんは黙り込んだ。
「あの、東条さん? 大丈夫ですか?」
心配になって僕は東条さんに声をかけた。
「いえ、その――こう言う時になんですが、あなた達は一体何者なんですか?」
当然っちゃ当然な質問をされた。
「まあ普通は驚くよね。異世界帰りの勇者か何かだと思ってくれたまえ」
と、谷村さんが冗談な感じで本当のことを言うが。
「い、異世界帰りなんですか!? と言うか異世界が本当に!?」
「さあどうでしょうね~」
目を輝かせて東条さんが尋ねる。
谷村さんは落ち着いて対処したが心中はどうなのか分からない。
「ともかくまずは両親の奪還からいこう」
そう言って谷村さんは話を切り上げた。
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