夜の会話
Side 藤﨑 シノブ
(本当になにやってるんだか自分)
事務所の屋上に出て夜風に当たっていた。
なんつーかこうアレだ。
元の世界に戻って日常送る筈がどんどん遠退いているような。
そんな気分になっていた。
「おやおや眠れないのかい?」
「そう言う谷村さんこそ」
不意に、谷村さんが現れた。
「いや~現代に戻れば平和に暮らせると思ったんだが――中々上手くいかないもんだね」
「さっきまでその事を考えていた」
「自分もだよ」
ふと、僕は夜空を見上げた。
「やはりこんな大都会のど真ん中じゃ星はみえないか」
「そうだね。異世界にいた時は見事に星々が見えたもんだ」
そう。
向こうの世界では星は綺麗に見えた。
この世界では――都会では星がまったく見えない。
「異世界が恋しいかい?」
「本音を言うと」
「僕も正直言うとそうさ――戦ってばかりだったからね、時間作ってゆっくり観光するかい?」
「いいですねそれ――だけどまずは問題をどうにかしてからですね」
「だね――今回の事件は相当ややこしい。バックに色んな勢力の思惑が絡んでいると言って良い」
「・・・・・・詳しい説明は東条さんが起きてから話す感じですかね」
「それと家族の方は心配しなくていい。ヘレンさん(メイド喫茶ストレンジの幼女の背格好した女店長)に任せてあるし、色々とこう言う時のために防護策を用意して置いた」
「具体的に聞いても? いちおう自分も谷村さんに習って色々と仕掛けをしてますけど」
「幾らプロの兵士でも魔法相手にはどうにもならないけど、万が一その手の専門家が現れてもいいように対策してある」
「そこまでします?」
「まあヘレンさんみたいな人がいたからね」
「確かにそれを考えると心許ないか・・・・・・戻って強化した方がいいか」
「逆にうろつくと危険だからやめといた方がいいだろう。最悪、自宅の周辺で銃撃戦コースだ。今回ばかりはヘレンさん達を信じよう」
僕は「そうですね――」と返しておいた。
「さて、そろそろ部屋に戻って寝直そう」
「そうしますか」
谷村さんに言われて僕は部屋に戻った。
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