召喚勇者の現代帰還~勇者は現代社会を謳歌する~

MrR

これはエピローグであり、プロローグである。

 Side 藤崎 シノブ


 業火で明るく照らされる異世界の夜空。


 眼前の荒野には地を埋め尽くすモンスターの軍勢、それを率いる魔王サウラスがいるとされる魔王城。


 俺の周りには世界各国の豪傑や異世界の仲間達。

 

 出会いと別れを繰り返し、苦難の冒険の数々を乗り越えて今に至る。


 俺も出来うる限りの最強の装備を整えて、この戦いに挑む。


 これが自分の知る最終決戦。


 人の、人類の存続の、そして自分が元居た地球の未来をも賭けた戦い。


 そして――


『勇者――』

 

「いや、僕は少なくとも勇者じゃない」


 玉座もろとも魔王サウラスの巨体の胴体に剣を突き立て、俺は言う。


『では――何だと言うのだ?』


「僕は――ただの――地球の、勇者を夢見たどこにでもいる普通の少年だよ」


 それが最後の魔王サウラスとの言葉のやり取りだった。


 魔王は討ち滅ぼされた。

 

 そして――僕は仲間達の引き留めを振り払い、普通の高校生に戻った。


 なんとなく分かっていた。


 魔王がいなくなった今、自分は安全装置が外れている核兵器のような存在だと。いわば第二の魔王でしかないと。


 なので異世界から去る事を決意した。


 それが異世界にとっても。自分にとっても最善の選択肢だと思った。 


 そして――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る