アイドルと谷村 亮太郎
Side 藤崎 シノブ
本当に意外だった。
まさかアイドルグループと谷村さんが関わりがあったなんて。
この依頼を受けた理由は少し分かった気がする。
だが深い事情を聞こうとはしなかった。
人の過去をあれこれ聞くというのはマナー違反と言う奴だろう。
親しき仲にも礼儀ありと言う奴だ。
その谷村さんは現在、Twinkleのリーダー・・・・・・谷村さんの知人である、天川 マリネさんと二人きりで話している。
そのあいだ――
「谷村さんとリーダーのご関係は?」
「そうそう、あの二人どう言う関係なの?」
「マネージャーとして見過ごしておけないわ」
などとアイドル二人とマネージャーに俺は詰め寄られていて(どう答えたもんか)と頭を悩ませていた。
すいません、知らないんですと言って誤魔化せる雰囲気ではなかった。
いっそ魔法使って暗示かけてむりやり黙らせるかとも考えたが人としてなんか間違ってる気がするのでやめておいた。
☆
Side 谷村 亮太郎
場所を移し、芸能事務所のビル内にあるカフェテリアの目立たないテーブル席で向かい合いながら話をしていた。
「まさか護衛がアナタとはね・・・・・・」
「ええ、そうです。信じられないと思いますがしかるべき手続きは済ませてます」
「その手続きがなんなのか謎なんだけど――本当に頼りになるの?」
「警察官よりかは頼りになりますよ」
こう言う場面では「どうかな?」などと曖昧に答えるよりもしっかりと答えた方がいい。
例え「ふーん」と思われても。
相手にどう思われようと最終的には仕事を完了させればいいのだから。
「実はアンタがストーカーだったとか言うオチじゃないわよね?」
「ふむ。それぐらいの警戒心があった方がこちらとしても安心ですね。ちなみにアイドルになっていたのはつい最近知りました」
とうぜん不機嫌な顔になりますよね。
「私これでもけっこうネットとかテレビとかにも出てるんだけど・・・・・・」
「いや~すいません。芸能関連は本当に興味が薄くて」
これは本当だ。
シノブ君にも言われたが芸能関連に関しては特撮、アニメが関わらないとほぼ無知である。
「確かに同じ学校だったけど、そんな関わりなかったわよね私達?」
「そのわりには僕のこと覚えていたようですね」
「そりゃあの学校では有名人だったからね。イヤでも耳が入る。不良をボコッたとか教師を脅迫したとかそう言う噂も耳にしたわ」
いや~酷い噂もあったもんですね。
なんのことかな~?(棒)
「理由を正直に言いますと――まあ自己満足ですね」
「自己満足?」
「はい。これでも様々な人に迷惑を掛けてきた自覚はありませすからね。ここらで社会奉仕活動をしようと思ったしだいです」
「本気で言ってるの?」
「ええ――」
嘘はついてない。
自分は特殊なタイプの憑依転生者(厳密には違うが)だ。
少なくとも二度以上はしている。
一度目の自分は社会的に底辺で親にも周りにも沢山迷惑かけた。
その時の記憶が疼くのだ。
だから時折こう言うこともやりたくなるのだ。
「まあいいわ。念押しするけど仲良くなりたいとかそう言う気持ちはないから」
「奇遇ですね。こちらも付き合っている人がいるので」
「そう――ってあんた彼女いるの!?」
「ええ、まあ」
異世界で美女と知り合う機会が多かったので、自然と相手に恵まれた。
今は異世界の時勢的な関係で無理だけど頃合い見て藤崎君と一緒に会いに行こう。
「あんた彼女いるのにアイドルの護衛の仕事引き受けたの?」
「疎遠な関係だったとはいえ、クラスメイトの危機ですし罪滅ぼしです。二度も言いますが自己満足だから――君が言ったように仲良くなりたいなどと言う下心はないからね」
「・・・・・・そう・・・・・・ね・・・・・・で、ストーカーの件、頼りにならなかったら即刻でやめてもうらからね」
「もちろんです」
「どこからそんな自信湧いてくるんだか・・・・・・」
これでも異世界帰りだからね。
相手がアサシンのサーヴァントとかだったらヤバイけど、どこぞの工作員レベルとかなら大丈夫かな?
「まあ、他の皆も心配してるしもどるわよ」
「そうですね」
元の場所に戻ると案の定、シノブ君が女三人に詰め寄られて大変なことになってた。
なんか悪いことしたなぁ・・・・・・
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