ファミレスにて
Side 藤崎 シノブ
=前回の後・近所のファミレスにて=
俺達は現在、男二人、女一人でファミレスにいた。
谷村さんと安藤さんとでだ。
適当な窓際席に案内され、適当に注文を取る事にした。
「で? 二人とも彼女いるの?」
「いきなりとんでもない事聞くな……」
「そこ重要じゃん」
何が重要なのだろうか。
「まあ、いる事はいるけど――」
と言うと――
「異世界で遠距離恋愛中ってことか。私もだけど」
察したように安藤さんは言った。
俺はただただ苦笑した。
「安藤さんもいるんだ。相手」
「なに? ショックだった?」
「いや、いてもおかしくはないかなと思った」
茶化すように谷村さんが「異世界あるあるだね」と言った。
「そう言えば屋上でマジックメイルとか言う単語出してたけど察するにロボット系の異世界?」
と谷村さんが質問する。
「惜しい。どちらかと言うとパワードスーツ系みたいな? アクセサリー状態でなってるけど私のマジックメイル「ウェンディ」は何時でも取り出せるから」
「この世界で何時使うんだよ?」
「先日の日本橋の騒動の時みたいな?」
考え込むように安藤さんは言った。
「あんな騒動が何度もあってたまるか……」
正直あんな大騒動、二度とゴメンである。
「でも、ライブラと言う組織に目を付けられた可能性があるし、決着のために――」
「不吉な事を――ICPOの皆さんとかハリウッド映画に出てきそうなタフガイさんとかに丸投げしようぜ」
谷村さんが不吉な事を言うので俺は慌ててそう言った。
俺達は場の流れとは言え国を救ったんだ。
これぐらい言う権利はある筈だ。
「まあ厄介事がありそうなら私も手伝うわ。どうせ暇だし。生身でもそこそこ強いのよ私?」
「うーん、そこそこだと心配だね。強化合宿で鍛える?」
「谷村さん不穏な事を考えない」
なんかまた事件が起きるフラグが立ちそうな気がする。
「でもいざって言う時を考えるとね」
「だから日本橋で起きたような事件は早々起きないって――」
と、二度も言う。
だが何故だろう。
またなんかとんでもない事件に巻き込まれそうな不吉な感覚が過ぎるのだ。
(やめておこう)
不吉な考えを押し流すように注文したデザートを口に流し込む。
「まあどの道、また異世界に顔出す事を考えるとある程度体を鍛えといた方がいいかもしんないね。仲間達から平和で勘が鈍った? とか言われたくないし」
「あ~それあるかも~」
「それを言われると……」
谷村さんの言った事にそうかもしれないと思った。
異世界にまた顔を出して平和で腕が鈍ったとか思われるのはイヤだった。
不幸中の幸いで、異世界から帰還してから荒事続きなので戦闘時の勘はまだまだ鈍ってないが……もしかして自分、呪われているかもしれないなと思った。
(谷村さんの言ってた強化合宿、真剣に検討しようか――)
などと俺は考え始めた。
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