作者的にはハッピーエンドです
朝には真尋と一緒に食事をとって、相変わらず友達はできないなりに昼休みを過ごしてくれて、帰りを待つメールを送ってきて。
そんな毎日に棘が刺さった。
立華さんが刺した。
真尋は俺のことが好きになってしまったということを告げた。
でも俺は真尋の気持ちに応えを出さないまま日々を過ごしていた。
学園祭の準備があって忙しいと嘘をつき、真尋を避けて、だってそうしないと俺は真尋……恵憂のことが好きだという感情に向き合ってしまうから。それはこの仮初の生活に、致命的なダメージを残してしまうから。
でも俺はわかっていなかった。それは真尋の気持ちに向き合わずに目をそらしていただけなのだと。そして真尋にとって、それは『孤独』を思い出してしまうことだった。
気がついたときにはもう……彼女は学園を中退して、俺の目の前から消えてしまった。
この家から真尋の荷物がなくなって……出ていってしまってもう3日が過ぎた。あっという間なのかどうかもわからない。クラスにも当然いなくて、それを誰も気にしていないことが一層悲しかった。
なにより……恵憂がいない家に帰る気が起きなくて、いつから好きになってしまったのか、依存していたのかわからなくて。
またひとりぼっちになってしまったと夜に泣いていたら、玄関のドアが開く音がして、恵憂がぴょこんと俺の部屋に入ってきた。
「えっなんで先生泣いてるの?」
ぱたぱたと軽い足音でそばに来ると俺に飛びついてきた。
「な……なんでじゃねーよ。てかなんで中退? 家出?」
私ね、先生が好きなの。でも今、私達は結ばれない関係。だって教師と生徒だもん。それは私が高校生だからだよね? 学校辞めたら、私はただの16歳の女の子だよ? 結婚できるじゃん。先生だったらと思って、思い切って中退しちゃった。だから春樹、責任とってね
まったく、最大級のわがままだな……でもその笑顔が好きだから、だから今まで甘えさせてあげてきて、なにより自分の感情に素直になりたくて
どちらともなく惹かれ合うように、何度目かのキスをした。
it is only love comedey 璃央奈 瑠璃 @connect121417
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