桜井春樹、最終カウンセリングレポート

 桜井春樹の過去

  6歳のころ、母が連れてきた男が妹(3歳)にしばしば手をあげているた場面を目撃しており、最終的にその男性を殺害。正当防衛として成立。

 しかし母親はそんな子供に耐えられず逃亡。2人は国営の孤児院(18歳までの)に預けたれた。


 妹 桜井依憂(さくらいえう)の自殺

  妹はその場面をイメージとして覚えていて、PTSDと診断された。(3歳時点)

  12歳まで発作を繰り返し、外界との接続を絶った。

  思春期を迎え、兄に「死にたい」と何度も言っていた。

14歳のころに飛び降り自殺。


以上が略歴。

  

 桜井春樹にとって唯一の家族であった「妹」を守られなかったという思いが(自責の念)最大の傷。 その傷が春樹の核である「自己犠牲」というものを作っている。この自らを顧みない行動には危険が伴うこともある。病的な自己犠牲であるとも言えるが性格の一部と見ることも可能。少なくとも本人には自覚はない。

 また、潜在的に母親を追いかけるように年上の女性を好んだ(本人談)

 この2点が重なる「メンタル的に病んでいて、年上の女性」に惹かれながらも、最終的には年下の女性のわがままについていくという矛盾した言動が多々見られる。

 友好関係については「友人を求めていない」という通り、相談できるような友人は皆無である。しかしコミュニケーション能力が欠けているわけではない。

 精神的なテスト類では、うつ状態と、PTSDが強く見られると外部検査で発覚。本人に自覚はないことは確認済み。事実1年間のカウンセリングでそれらの傾向が見られたことはなかった。

 現在は寛解。


 これらをカウンセラーとして観察し、強度のストレス耐性を構築している。また頼られるとに愉悦を感じるタイプだと見られる。

 これらはやはり「自己犠牲」という核から発生している。


以上をもって、自身の体験を踏まえ、心に傷のある学生のケアを「自己を顧みず」手厚くできると判断する。ただしこの「自己犠牲」で潰れる可能性は排除できない。  


2###年○月○日 渡辺 立華

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