第17話 キリアムの矢

十七 〈 キリアムの矢 〉


余計な話をした、と思いつつも、サヌードは特別後悔もしていなかった。

キリアムの馬の音は聞こえなくなっていた。

当然だ。彼はキリアムを森の奥へ誘い出し、自分だけは早々に森の出口を目指して引き返していた。

彼はサヌードを探して、今頃森の奥へ進んでいる事だろう。その内に戻って来るだろうが、それでも十分に時間は出来た。

サヌードはブローチに軽く触れた。

キリアムに話した事の殆どは事実だ。キリアム卿は、決して憎むべき男ではない。むしろ、一人の騎士としてだけ考えれば、好ましくさえある。

彼がオークニーの王位継承者でさえなければ、もしかしたら自分にとって、非常に大きな味方にさえなったかもしれない。

だが、それはありえない。

彼は自嘲気味に唇をゆがめた。

自分には「味方」など居るはずがない。騎士が栄光を求める崇高な存在であろうとする限り、聖杯を求めるほどの敬虔な心を求める限り、自分は彼ら「偉大なる王を崇める騎士」にとっての異端でしかないのだ。それが、自分を含めた、「古き騎士」の真実だ。

キリアムは前者だ。ファーガス王の名を聞いた途端に、円卓の栄光に結び付けた。それが彼の価値観を表している。

円卓の騎士など、所詮は幻想でしかなかった。

サヌードは首を振ると、沸き上がる心情を払いのけた。

いまはそんな事を考えている時ではない。速やかに事を進める時だ。

しばらく馬を進めると、見覚えのある広場に出る。

サヌードの目が、鋭さを増した。


茂みが揺れた。

自身が最も信頼する近衛騎士長の姿を見とめて、エイノールは鷹揚に頷くと、

「首尾は」

とだけ聞いた。

少し風が動いた。白霧が微かに薄れ、闇のように重い森の緑が世界に色を付ける。

「上々でしょう。キリアム卿を森に誘い込みました」

サヌードは馬を降り、臣下の礼を取ってから、そっと腰の矢筒に手をかけた。

「陛下こそ、宜しいのですね」

エイノールもまた、馬を降りた。

「良い、決めた事だ。例え、いかに騎士道に劣る行いだとしても、ゴドディンの行く末を考慮すれば、蒼天のもとに、真なる王は一人しか要らぬ」

「左様ですね」

サヌードは素直に頷いた。

内心、エイノール王の口から「真なる王」という言葉が出るとは思わなかった。王自身が、誰よりも自らを疑っているというのに。

真なる王なら、ガラティンなど必要ない。王自身が王であるからだ。証を求めることが、すでに自身を否定する事だと、何故に気付かないのか。

だったら、偽ならば偽の王として、堂々と名乗るべきだ。その方が、まだ許せる。

真実を求めても良いのは、真実を持った者だけだ。つまり、王の資格を、生まれながらにその身に持つ者だけなのだ。

醒めた思いを気取らせないように、サヌードは矢筒を開き、一本の矢を取り出した。

サヌードの矢もまた、白地の羽根に黒の線を引いていた。しかし、キリアムのそれが二本の線であるのに対し、サヌードの矢には一本の黒線が入っていた。

ところが、サヌードが手にしたその一本のみは違った。キリアムと同じ、二本の線である。

エイノールはそれを見て、微かに躊躇したようだった。しかし、すぐに思い直したように、馬のたてがみに触れた。

「良い馬だ。苦しまぬようにやれるか」

「一矢にて、終えましょう」

エイノールは頷いた。

キリアムの矢で、王が射られた。その事実さえあれば、キリアムを暗殺者として捕縛するには十分だ。今、キリアムは誰の目にも触れぬ森の奥を彷徨っている。そして、ここには、彼と、サヌードの二人しかいない。

矢は特注の物。サヌードの持つ一本だけが、キリアムの矢と同じという事実は、ここに集う騎士の、誰一人として知る者はない。

サヌードは策士だ。このような筋書きを、わずか数日で仕上げてしまうとは。

感心と、末恐ろしささえ感じながら、エイノールは彼を盲信していた。

盲信の理由が、今ははっきりと思い出せない。彼がタリエシンを見つけ出し、その竪琴の音を耳にした時に、惑っていた心に栄光への導きが見えた、そんな思いがした位だろうか。

「陛下、少し離れていただけますか。そこで馬が倒れると、御身が危険です」

「そうだな」

弓をつがえる音がする。

エイノールは軍馬から目を背け、そして気付いた。

矢が、自らを見ている。

一瞬、何かの過ちかと思った。サヌードは馬を射るのだ、馬は向こうだ。

それが、まぎれもない現実と悟るには、時間は短すぎた。サヌードに躊躇いは微塵もなかった。

サヌードが放つキリアムの矢が、あまりにも正確にエイノールの喉を穿った。

声も発せぬまま、即死も出来ず、エイノールは天を仰いだ。

数歩よろめき、両手が空を掴む。視界が暗転し、足がもつれた。腰から崩れるようにエイノールはその場に倒れた。

叫ぼうにも喉を刺された。必死に力を込めようとするが、何も一つ動かない。

痛みはすぐに消えた。感覚が閉ざされていく。脳だけが、まだ藻搔いている。

「偽りであれ」

サヌードの声が聞こえた。

「王になるべきではなかったのだエイノール。貴方は道を違えた」

耳鳴りが始まり、しだいに強くなっていった。

エイノールは自身に何が起きたのかすら把握できぬまま、ようやく、死を感じた。


遠くで、誰かが言った。

「・・・私の騎士に御成り為さい」

微笑みが、全てを包み込む。その甘い毒と抱擁に、彼が心を解くことの無かった彼女の声。

ああ、そうだ。

私は貴女の騎士になるべきだったのだ。


「今、最後に何と言った?」

一人、サヌードは呟いた。

今や地に落ちた王の残滓に一瞥を与えて、サヌードは自らの耳を疑った。

エイノールは断末魔に、声にならない声で、確かにあの名前を呼んだ気がした。

モルガン・ル・フェイ。

忌まわしき王妃の名前だ。

がさりと音がした。

はっとしてサヌードは周囲に視線を走らせた。

誰も居ない、居るはずがない。だが、確かに一瞬誰かの気配がした。

サヌードは弓をつがえ、神経を集中させる。

誰かに見られていたとしたら、全てが水の泡になる。キリアムにすべての罪を着せるには、目撃者などあってはならない。

気配は消えていた。

気のせいであったならば良い。

嫌な汗が頬に伝った。

遠くに馬蹄の音が聞こえ始めた。サヌードはやむなく矢を戻し、腰に差した小さな笛を口にした。

緊急を告げる笛の音が、周囲に響き渡る。

馬蹄の音が集まり、徐々に近づいてくる。

見慣れた城の騎士達が姿を見せ始めると、サヌードは大声を上げた。

「陛下が!、陛下が射られた」

「なんと! して、怪我は!?」

「息をしておらぬ!」

「まことか!!!」

血相を変えた騎士達が、押し寄せる。倒れたエイノールの体を抱き起したのは、正騎士の中でも古参のダリウス卿だった。いつもは口数の少ないこの武骨な老騎士は、白い口髭を震わせながら。

「何という事だ。陛下、儂がお側について居れば・・・」

両目から大粒の涙をあふれさせている。

彼は喉に突き刺さったままの矢に気付いた。

「今、楽にいたしますぞ」

鏃を落とし、静かに引き抜く。血のこごりがどろりと流れた。

「誰が、一体誰がこのような事を」

呻くように言うのに。周囲を取り囲む騎士の一人が叫んだ。

「その矢を見ろ、あの男だ。キリアムとかいう、あいつの矢だ」

ざわめきが走り、悲しみと動揺が広がった。程なく、誰からという訳でもなく、口々に怨嗟の声が起こり始める。

一歩引いたところに立って、サヌードは自らの計が成った事を確信した。

駆けつけてきた騎士の中に、同じ近衛騎士のファグネル卿を見つけて、

「ファグネル卿よ、至急城に戻り、アブハス宰相に報告をせよ。その上で、数日間、少なくとも10日は王の死は伏せるよう伝えるのだ。陛下に世継ぎはおらぬ。しかるべき次の王を決めなければ、他国の侵入を招くぞ」

「承知。して、サヌード隊長は」

「近衛騎士として、王を護りきれなんだ罪滅ぼしをせねばならぬ。キリアムを捕え、そののち帰還する」

ファグネルは一礼をすると、馬を返した。

近衛騎士隊は、ほぼすべて彼、サヌードに忠節を尽くしている。あとは、ダリウスのような古参の騎士と、ラディナスさえ抑え込めばいい。

「王は身罷られた。殺したのはキリアムだ。僭越ながら、この場は私が指揮を執る。奴を捕えるのだ。オークニーの王などと言って近づいてきたが、サクソンの刺客であったのかもしれぬ」

サヌードの声に半数以上の騎士が応えた。雄叫びをあげて、めいめいに森へと馬を走らせ始める。

ダリウスが不審そうに目を向けた。

「サヌード卿よ、今は貴公の命が正しいとは思う。しかしな、近衛騎士の貴公がおりながら、この不手際は許されぬぞ」

「ダリウス卿。貴殿に言われずとも、この罪は負いましょう。なればこそ、奴を捕え、亡き陛下に捧げましょう」

「捕える、とな? 殺さぬのか」

「殺すにせよ、順序というものがあります。奴は他国とはいえ、王位の継承者を名乗っている男。また、奴が我が国を訪れた事は、近隣にも伝わっているでしょう。そういった耳目がある以上、王殺しの大罪を天下に知らしめ、しかるべき手段にて裁くことが肝要かと。無論、捕えるのが難しくば、命を奪うもやむなき事でしょうが」

「うむ、一理あるな」

「出来得る限り、身命を賭して、我が国の威信を護りましょう」

「しかと、その言葉お守りなされよ」

「貴殿には陛下のお体をお願いいたします。なるべく内密に城にお届け下さい」

ダリウスは頷いた。

サヌードは馬上に身を翻した。

「ソーン卿、ダンヴェイン卿」

近衛騎士の名を呼ぶと、その一人へ。

「ソーン卿、貴公は本陣へ戻り、オヴェウス卿の隊を呼んでまいれ。キリアムは強敵だ。オヴェウス卿の腕が居る。ダンヴェイン卿は我に続け」

指示を発する。

二名の騎士は忠実に答えた。

サヌードはダンヴェインという長身の騎士を従え、再び森の奥へと進み始める。

周囲から人目が消えると、我知らず、笑みがこぼれた。

王の証というものは、与えられる物ではなく、自らの手で掴み取るものだ。

それがどれほどに血塗られていようと、例え、偽りに偽りを重ねようと。

サヌードは首元のブローチにそっと触れた。奇しくも、キリアムが拾い上げてくれたブローチだ。

真実であってさえ、それを認められない者がいるのだから・・・、王とは、そのような者に過ぎない。

サヌードは手綱を握る指に力を込めた。

これから始まるであろう自らの栄光の前に、微塵の後悔も、慚愧の念も浮かばない。これは、始まりに過ぎないのだ。


王の死を、オヴェウスは自分でも思った以上に冷静に聞いた。

驚きはあるが、エイノールという男に忠節を誓ったのは、彼が自分にとって特別であったからではない。この地位と、剣さえ認められるなら、王は誰でもよかった。

だが、今、彼は乾いていた。

自身が欲してきたものは、全て手に入れてきた筈だった。それなのに、何もかもが空虚に感じられてならない。理由は、既にわかっている。

王を殺した男の名前を耳にした時、身震いがした。

「そうか、キリアムの野郎か」

ぺろりと舌なめずりをして、失った愛馬のかわりに、手に入れたばかりの黒馬に跨る。

キリアムと聞いて、ようやく血が滾ってきた。

城門で恥をかかせられたからだけではない。

グリンガレットの主だからだ。

グリンガレットの事を思うだけで、彼は悶えた。城を離れるにつれ、恐怖は薄れた。その代わりに、耐え切れない程の欲情と興奮、肉体を苛み、精神を引き裂きたくなるほどの狂気が巡る。

グリンガレットは自分の物だ。それを、今までわが物としていた男など、許せぬ。

理不尽な怒りが、彼の中で湧いていた。

・・・ああそうだ、あの男には罰を与えなければならない。

オヴェウスの脳裏に、キリアムに抱かれるグリンガレットの姿が浮かぶ。妄想に過ぎないとわかっていながら、それでも心が乱れる。

得体のしれない恐怖が、そのまま姿を変え、オヴェウスの中で血流に変わっていた。

・・・グリンガレット、あの女は俺の手中にある。それなのに、俺は何故、あれ程に恐れてしまったのだ。

彼は、後悔に苛まれていた。

・・・俺こそが、あの女の主であり、支配者なのだ。女の何がそれ程、俺を惑わせるのか解らぬ。それどころか、・・・女の事を、俺は何も知らん。話した事さえも僅かに数度、それにも関わらず、俺はあの女を失いたくはない。

オヴェウスの網膜に焼き付く、グリンガレットの瞳の色。それが何色であったかすら定かではないのに、沸き上がる衝動は消えさることが無い。

・・・心は奪えなくとも、せめてその肉体を手に入れねば修まらぬ。いや、心魂までも抉り出し、思うままにせねばならぬ。一刻も早く城に戻り、今度こそあの女を。

思考が目まぐるしく変化する。自身の心に起こった異常に気付いて、オヴェウスは、顔をぴしゃりと叩いた。

「くそ、何を考えている! 馬鹿か俺は!」

・・・俺は女に酔っているのか。

グリンガレットの事よりも、まずはキリアムだ。現実に集中しなければ。

「あの野郎を、殺せばいいのだな」

言いながら、伝令の騎士、ソーン卿を睨んだ。

「なるべくは捕えよとの、命令です」

「生ぬるい。奴は陛下を殺したのだろう」

「今はサヌード隊長が指揮をとられております。お従い下さい」

「けっ。隊長様かよ」

吐き捨てながら、オヴェウスはふと先日の事を思い出した。

グリンガレットを捕えた日の夕刻だ。

『・・・貴公の力を借りるやもしれませぬ。貴公にとっても、・・・それは望むことになりましょうが』

サヌードが彼にかけた言葉だ。

まるで、こうなる事を、予感でもしていたような。

ふと、オヴェウスの脳裏に考えが浮かんだ。

サヌードか、あの男なら、やりかねない。しかし、例えそうだとしても、それがどうだというのだ。

「まあ、いい。・・・まずは、キリアムか。捕えろとは、少々面倒だな」

オヴェウスは言葉とは裏腹に奇怪な笑みを浮かべると、馬の手綱を握りしめた。



思いの他早く、グリンガレットは足音を聞いた。

ランタンの光と、複数の気配が地下牢に近づいていた。。

傍らで身を寄せるデリーンも音に気付いた。彼女の細い相貌に、微かな緊張の色が浮かぶ。

グリンガレットは目を細め、格子前に立った男を見つめた。

ケルンナッハ。その名前にグリンガレットは軽い警戒を抱くようになっていた。

老いた召使の男、少なくともグリンガレットにはそのように接してきた男は、あの時、彼女をモルガンの名で呼んだ。その時の狂喜の声を、彼女は忘れていない。

ケルンナッハは牢内をランタンの光で照らし、「おお」と、感嘆の声を洩らした。

炎の揺れる光が、彼の影を数倍に膨れ上げさせている。地下牢の濡れた壁に広がるその姿は、どこか幽鬼のようにさえ見えた。

「確かに。ようやった。流石は城の『眼』よな」

ケルンナッハは、先導をしてきた小男、城兵のルウメに声をかけた。

ルウメは、少し野卑た笑いを返した後、格子に付いた鍵を指さした。

「ケルンナッハ様、この錠でございます」

「うむ」

ケルンナッハは一つ頷いて、懐から古びた鍵の一束を取り出した。

節くれだった指で一つ一つを見比べると、一本をルウメに手渡す。ルウメは満面の笑みを浮かべ、はやる気持ちを抑えながら鍵穴を探した。

鍵は、ぴたりと合った。思ったよりも軽い手応えで、錠が開いた。

ルウメが素早く二人の枷を外しにかかる。手首が自由になると、体が軽くなるような感覚に思わず安堵の吐息が漏れる。

グリンガレットは中腰に立って、格子を潜った。足が微かに痺れ、どこか他人の足でも借りているような感覚になる。ルウメに手を引かれ、体を起こし、牢内を振り返る。中ではデリーンが少し辛そうに体を起こしていた。

手を貸そうとして、再度地下牢に体を向けた時。

「閉めよ」

ケルンナッハの無感情な声が響いた。

「え?」

グリンガレットが彼を振り向く。その言葉に驚いたのは、彼女だけではなかった。デリーンもピクリと体を止めたが、それ以上にルウメが驚いた顔でケルンナッハを見た。

ケルンナッハはいたって冷静な様子で三人を見ていた。

「聞こえぬのか。閉めよといったのじゃ」

「え、そんな、ケルンナッハ様。お嬢様方をお助けなさるんじゃあ?」

「助けるのはその御方のみで良い。下賤の民などに用はない」

はっきりと言い捨てる。

「誰が、下賤だって・・・」

デリーンの怒りに震える声が聞こえた。

ルウメは牢内に再び顔を向けた。彼が女神のようだと感じた美貌に反抗の色を露わにして、彼女が片膝を立てていた、デリーンは無理に立とうとしたが、力が入りきらず、微かによろめいた。ルウメは中に飛び込んで肩を貸したい衝動を抑えた。

ケルンナッハに逆らうことは許されないと頭では解っている。なんとか余計な行動に出る事は自制できたが、彼女を見ると、どうしても再び鍵をかける事が出来なかった。

「ケルンナッハ様。俺、このお嬢様方に、さっき必ず助けるって、その・・・、言っちまったもんで。このまま鍵を閉めるのは、ちいとばかり」

じろりとケルンナッハが睨んだ。びくりとして、ルウメは体を竦めた。

「お嬢様、・・・すみませんで」

両目をつぶり、おそるおそる、鍵を閉めようとする。

その手を、グリンガレットが掴んだ。

「ケルンナッハ様、貴方が私を救けに来たのは、我が殿の頼みではありませんね」

グリンガレットの凛とした声に、ケルンナッハは無表情で返した。

「何を仰せられますか。キリアム様は、大層ご心配なされておいででした」

「当たり前です。我が殿が私を案じられぬわけはありませぬ。ですが、貴方がこの方を使わしてくれたのは、その為ではないでしょう」

「なぜ、かような邪推をなさるのです」

「私をそこまで愚鈍な女とお思いですか」

グリンガレットの、ルウメの手を握る手に力が込められた。ルウメは抵抗することもなく、鍵を離し、格子から離れた。その隙を見て、デリーンは格子の出口に体を滑らせる。

「無理に出ようというのであれば、多少は手荒な事になりますぞ。上に、幾人か兵を連れてきて居りまする」

脅すようにケルンナッハが言った。

ルウメが慌てた顔になった。

「お嬢様方、今のは本当でさ。俺はてっきり、お嬢さん方を守る為と・・・」

彼の言葉は本当であるようだ。ルウメは、本心で二人を助けるものと思って彼らを連れてきたのだろう。グリンガレットはルウメの手を離した。

ルウメの手を抑えたのは、ただ鍵を閉める手を止める為ではない。いざとなれば、彼を盾にするつもりもあった。だが、彼に罪はない。

ならば。

何を思ったのか、グリンガレットはデリーンの体を押して、自らも再び牢の中に戻った。

「どういうおつもりでございますか、姫」

「貴方の思う通りには、いかぬという事です」

ケルンナッハが恭しく腰を折り、少し困ったような顔をして見せた。

「貴方が私を誰と勘違いしているかは知りません。ですが、いずれにせよ、私は貴方の妄想を満たす事と、自らの自由を引き換えにするつもりはありませぬ」

「勘違いなどと、それこそ戯れというもの。・・・私は誰よりも、この城にお仕えして参ったのです。どうして見誤ることがありましょうや。姫、あまり無理を申されますな。その森の娘に、何の価値がありましょう」

「人の価値など、誰かが決めるものではありません」

グリンガレットの声に怒りがこもった。

「森に生まれようが、城に生まれようが、人は人。蒼天の下に違いはありませぬ」

「違いはあるのです。人には生まれながらの価値と宿命があるもの。姫、これまでの時間、少しばかり我儘が過ぎましたかな。姫も御身の出自について、少しはご記憶がございましょう。もはや時は参ったのです。御身のこれからを思えばこそ、下賤の者との交わりなど遠ざけるに越した事はありませぬ」

「ケルンナッハ様。貴方は私を見誤っています。おそらく、城の記憶に妄執している今、私の言葉など耳に入らぬのかもしれませぬが」

「ご記憶違いをされているとすれば、それは姫の方です。御身は幼き頃より、あまりに長く下野されていた為、仕方の無い事でしょうが」

この会話は無意味だ。これでは平行線にしかならない。とにかく。

グリンガレットはデリーンの手を強く握りしめた。

「いずれにせよ、私にとってこの者は必要なのです。ケルンナッハ様がどう思おうと構いませぬ。私は彼女をここに置くというのなら、ともにこの牢で死ぬもかまいませぬ」

グリンガレットの言葉は偽りではなかった。彼女自身、何故自分がそこまでデリーンに特別な感情を抱くのか不思議な気もした。理由は言葉にできない。彼女が感情で動いた経験は数えるほどしかなかった。

あの時と、少しだけ似ている。

既に緑の革帯の主ではなくなったグァルヒメイン卿を救うために戦場に飛び込んだ時だ。

彼女との縁を一方的に切ったかつての主人だというのに、彼女は彼と供にならば死すら厭わないと思った。

決意の込めた瞳が、ケルンナッハに溜息をつかせた。

「・・・成程。どうしても出られぬというのであれば、・・・仕方ありませぬ、その方もお助けすればよろしいのですな」

ルウメの顔がぱっと明るくなった。

この体躯の小さな男は、思った以上に裏表がない。グリンガレットは彼に対する信頼を覚えつつ、注意深く、ケルンナッハの瞳を読んだ。

ケルンナッハには、信じるに値する根拠がない。

「感謝いたします。彼女とともにであれば、この牢を出ましょう。ただし条件があります」

「条件とは、さて、どのような」

面倒そうにケルンナッハは訊いた。

「彼女を常に私の側におくことです。私と同じ衣食と、敬意をもって遇する事をお約束ください。二度と、下賤な者とは呼んではなりませぬ。部屋も全て、私と同室にし、何処に行くにも彼女と供とすること。でなければ、私は動きませぬ」

これには、ケルンナッハも多少は動じたようだった。

少し思案気な顔になる。

彼を信用し、大人しく従うのは危険すぎる。おそらく、少しでもデリーンと離れる事があれば、彼はその隙に躊躇なくデリーンを殺すだろう。彼は彼女の存在が、彼が盲信する姫の姿にとって不必要なものと考えている。自身の理想のためには邪魔な者の排除も辞さない。グリンガレットの眼に映るケルンナッハとは、そういう男だ。

ようやく、彼はグリンガレットの申し出を受けた。

「宜しいでしょう。やはり、どの様な身になられても、姫は姫でございますな。その娘を、賓客としてお迎えすればよいのですね」

「ただの賓客ではありませぬ。私の半身、そう、私の姉妹として扱い下さい」

グリンガレットはデリーンを見て、心配ないと頷いて見せた。デリーンは微かな怒りの表情をケルンナッハに向けながらも、堪えて、彼女には微笑で応えた。

ケルンナッハは呆れた顔になった、それでも、話が早いと踏んだのだろう

「なるほど。ではそのようにいたします。では、牢を出ていただけますな」

再び恭しい態度で腰を折る。

グリンガレットは芝居じみた様子に辟易としながらも、意を決し頷いた。

デリーンの手を握りしめたまま、慎重に牢を出る。彼女が微かに掌に力を込めた。冷たい汗が滲んでいる。デリーンもまた気付いているのだ。

これは救出ではない。

牢獄から、新たな牢獄に移されるだけの事だ。ケルンナッハの行いに、キリアムの意志はなく、この薄暗い階段を昇った先がどれほど明るくとも、彼との再会はない。

全身の気を張りめぐらせながら、それでも、グリンガレットは堂々と背筋を伸ばした。



キリアムは薄らいだ霧の中を少しずつ引き返していた。

森の奥へ続く道は、岩も多く、進むほどに勾配も大きくなっていた。水の音が聞こえ始め、近くに川がある事が分かった。近づくと、思った以上の断崖に出たため、やむなく、彼は道を戻る事にした。

サヌードの気配を見失ってから、相当の時間が経っていた。

王の狩りはもう終わってしまっただろうか。帰路の時間に遅れるという事は無いだろうが、心配をかけてもいられない。それにしても、何処で道を違えたのだろうか。

程なく、少し覚えのある所に出た。

木の幹に、自分が放った矢がそのまま残っている。

サヌードのブローチを拾った所だと解って、流石にほっと胸をなでおろす。ここからなら、もう迷うまい。

と、その時、キリアムは馬蹄の音が近づくのに気付いた。

サヌードか、それとも他の誰かだろうか。顔を上げ、視線を向ける。

森の木々の合間を抜けて、二人の騎士が騎馬を走らせてきた。見た顔だ。名前は知らないが、近衛騎士の一人だったろうか。

それにしても、馬の勢いが速い。訝しく思うその眼が、抜身の剣を見とめた。

「!?」

「おのれ、キリアムっ!」

剣を振り上げ叫ぶ。咄嗟に、キリアムは身をかがめ、剣を鞘ごと抜き上げてその一太刀を防いだ。

「何をする。迷うたか?」

「血迷ったはその方であろうが!」

もう一人の騎士が剣を突きだした。

キリアムはこれも紙一重に躱した。

急所は狙ってきていない。しかし、殺気はある。

「剣をお納めくだされ、私には貴公らと戦う理由が無い」

「ぬけぬけと何を言うか、この人殺しめ!」

「人殺し? 待て、話が分からぬ」

声を張り上げ、制しようと思うが、激高した二人の騎士はますます果敢に攻め込んでくる。キリアムは戸惑いつつも、鞘ぐるみに剣を抜いて、相手の太刀筋を防いだ。

幸い、相手の技量はさほどでもなかった。

「やむを得ぬ」

気を発すると、巧みに馬を操り、剣を突きだしてくる相手の腕の下を剣の鞘で突き崩す。

一人を落馬させると、逆手にまわるもう一人の騎士との距離を開ける。

仲間があっけなく倒されたのを見て、騎士は一瞬怯んだように見えた。

「これは、何のつもりだ。エイノール陛下の命か!?」

「よくも白々しい。我が王をその手にかけておきながら、何を言う!」

「王を、手にかけた?」

キリアムが戸惑うのも構わず、相手は再び躍りかかってきた。

機先を制され、僅かに押される。

騎士は今、王を手にかけたと言った。無論、キリアムには訳が分からない。不安や疑念を抱く暇も与えられず、キリアムは防戦にまわった。

剣を抜かずに、このまま防ぎ続けるのは難しい。

勢いに乗った相手が剣を振り上げる隙を見て、手綱を強くはじくと、一気に相手との間が詰まった。

振り下ろす一撃をすんでの所ですり抜けて、剣の柄で相手の馬の尻を叩く。

馬が驚いて前に跳ね、騎士は体勢を崩して必死にしがみついた。

更に馬蹄の音が増えた。

キリアムは舌打ちをして、自らも馬勢を整える。

姿を見せた騎士の姿に、僅かに胸をなでおろした。

「サヌード卿。良い所に。この方々を留めてくれぬか。何やら誤解を受けたようだ」

サヌードは距離を置いて馬を留め、状況を見定めているように見えた。

キリアムは彼がこの場を治めてくれると期待した。しかし。

「キリアムよ。これ以上の抵抗は無用。大人しく下馬し、我らが縛につかれよ」

感情を殺した声が張り詰めた空気を裂いた。キリアムは唖然として彼を見た。

「サヌード卿。状況が解らぬ。どういう事なのだ?」

まだ、自分が罠に嵌められたことには気づかなかった。サヌードは先ほどまで自分と一緒に狩りをしていた。王に何かが起こったとしても、彼は自分の無実を証明できるはずだ。

だが、彼は明らかな敵意を隠しもせず、憎しみすらその眦に浮かべてそこに立っていた。

「エイノール陛下を射たのは貴様であろうキリアム! 王位の簒奪を狙ったのだろうが、そうはいかぬ」

「王が? エイノール王が射られたというのか?」

「自らその手にかけておき乍ら、何を言うか」

「私ではない! 貴公も知っていよう、私は今の今まで森の奥にいたのだぞ」

「上手く振舞ったつもりか。はぐれたと見せかけ、陛下の元へ馬首を返したのであろう。良い逃れても無駄だ、矢羽根の模様で、貴様の仕業と判明しておる」

「それは違う。私は決してそのような行いはせぬ」

「これ以上の問答は無用。弁明は城で聞く。捕えよ」

サヌードが腕を振り上げる。

合図に、ダンヴェイン卿が雄たけびをあげて挑みかかった。

キリアムは咄嗟に抵抗した。

エイノール王が射られた。そこまでして自分が嵌められたとは、まだ信じられなかった。だが、このまま捕縛されても、身の潔白を明かす術がない。それに、サヌードが微塵にも自分を信じようとしないのは何故だ。

キリアムは抵抗しつつ、それでも、剣を抜くのを躊躇った。

剣を抜けば、敵意を見せてしまう事になる。自分は蒼天に恥じる行いはしていない。ここで、相手を斬っては、ますます不利な立場になる。

しかし、このダンヴェイン卿も強敵だ。

長身の騎士だが、それ以上に手足が長い。一閃が非常に広い範囲を薙いでくる。キリアムは距離を取りながら、巧みに木々の間に馬を走らせ、ダンヴェイン卿が剣を振りにくい場所を探した。だが、先ほどの騎士が進路を塞ぎ、良い所で邪魔をしてくれる。

この状況で、二人の騎士を同時に相手するのは、流石のキリアムにも難儀だ。

サヌードをちらりと見た。

彼は表情を一切変えずに攻防を見つめていた。先ほどまで、キリアムに見せていた彼の姿とは、まるで違う雰囲気を湛えていた。

・・・まさか、サヌード卿が。

不確かな予感が、一瞬脳裏をかすめた。

その時だった。

これまでの騎士とは比較にならない程の、重い馬蹄の音が、彼の背後から迫った。

振り返る視界の端に、黒馬に跨る巨体が見えた。

オヴェウス!?

よりによって、思いつく限り、最も危険で厄介な男だ。仮に一対一だったとしても、この男の相手をするには相当の覚悟がいる。

やむを得ぬ。

遂に、キリアムは剣を持つ手に力を込めた。

オヴェウスはまだ剣を抜いていなかった。彼がカラドボルグに手をかける時、キリアムもまたガラティンを抜くしかない。

オヴェウスの黒馬が跳ねた。キリアムも老馬の手綱をいっぱいに引き、回避を試みる。

ところが、オヴェウスは意外な行動に出た。

剣を抜かず、両手を手綱から離した。腰を浮かせ狙いを定めると、相手の動きを読みかねているキリアム目がけ、突然に飛びかかった。

キリアムは居を突かれた。

オヴェウスが、革鎧を押しつぶすほどの勢いで相手の胴を抑え込む。全体重を預けられて、体勢を崩すと、二人の体は同時に落馬した。

地面に背から落ちたキリアムは肺腑を押しつぶされ、一瞬呼吸を失った。続いて、激しい痛みが全身に広がる。

「キリアムッ!」

オヴェウスの吼える声が聞こえた。呼吸を整える間もなく、巨大な拳がキリアムに襲い掛かった。

こうなると、体躯の違いが歴然とした差となった。

馬乗りになったオヴェウスが、狂気の笑みを浮かべた。キリアムは顔面を成す術もなく殴りつけられた。目がかすみ、意識までもが遠ざかる。

一撃では終わらなかった。執拗に、頬を、目を、容赦ない殴打が続く。

オヴェウスは半ば力を失ったキリアムの頭を、とどめとばかりに地面にたたきつけた。

キリアムの体が糸の切れた人形のように跳ねた。

勝利の歓喜に震え、オヴェウスは吼えた。

「そこまでだ!」

声が、オヴェウスを止めた。

「もうその辺にせねば、それ以上殴っては殺してしまうぞ」

サヌードの声だ。オヴェウスは拳を握りしめたまま肩で息をしていた。異常なほどの憎悪を浮かべて、倒した相手を見降ろしている。

キリアムはピクリとも動かなくなっていた。

ダンヴェイン卿が、他の騎士が、恐る恐るオヴェウスに近づき、彼と、彼の下で意識を失った黒騎士を覗き込んだ。

死んではいないが、そうなってもおかしくない程のオヴェウスの凶拳だった。

オヴェウスはゆらりと立ち上がり、自分を止めたサヌードを恨むように見た。

「どうせ殺すんだろ」

ぼそりと呟く。

だったら、今でも良いではないか、そう目が言っていた。

「順序というものがある」

サヌードは付近に視線を巡らせていた。その足が止まり、そっと何かを拾い上げる。

キリアムの剣だった。

「意外と重いな」

サヌードは王の剣の柄を握りしめた。聖剣と称される剣にしては、重く、冷たい。

ふんと、オヴェウスが鼻を鳴らした。

「サヌード卿。それがガラティンでございますか」

ダンヴェイン卿が、気付いて興味深げに見つめた。

「ああ、王の剣だ」

言いながら、鞘を外す。

僅かに期待があった。偉大なる王の剣カリバーンの姉妹剣にして、太陽の剣ガラティン。それを手にする事すら畏れ多い、王の証たる聖剣。

その眼が愕然と見開いた。

「何・・・これは?」

そこに姿を見せたのは、かつての晩餐会で見た、ほの赤く刀身を光らせた名剣ではなかった。刀身は鈍色に黒ずみ。まるで石の剣のように重く、刃は鋭利さのかけらもない。

「それが・・・王の剣ですか。私には、・・・申し訳ありませぬ。どうも駄剣のようにしかみえぬのですが」

ダンヴェインが呟くように言った。

彼の言葉は、的を射ていた。確かに誰が見ても、この剣が王の剣とは思えない。

サヌードが言葉を失っていると、突然、オヴェウスが高笑いをあげた。

「隊長殿よ、どうやらこの野郎は本物のペテン師だったみたいだな。陛下も隊長殿も、かくいうこの俺も、すっかり騙されちまったってわけだ」

「・・・私が、騙されただと」

「ああ、おそらくドルイドの魔法でもかけられたんだろうよ」

オヴェウスが馬鹿にしたような目で、サヌードを見た。

サヌードは珍しく、眉間に怒りを湛えた。

オヴェウスの言葉が真実であるかはわからない。だが、その真偽は別にして、この剣を見つめていると、それだけで胃の奥が鉛を呑んだように重苦しくなってくる。

駄剣という言葉が、これ程ふさわしい剣があるだろうか。

「く、このような剣、何の価値もない」

サヌードは忌々しげに叫んだ。

怒りに任せ、投げ捨てようと振り上げる。

「サヌード隊長、いけませぬ」

ダンヴェイン卿が止めた。サヌードは我に返り、ゆっくりと、剣を持つ手を胸元に引き寄せた。再びそれを見つめ、呼吸を整える。

彼が止めてくれてよかった。この剣は、今、捨てるべきではない。

剣に価値はないが、役に立つ。

キリアムが王の名を騙ったという、まぎれもない証拠ではないか。

いずれ、彼を裁く際、この剣が全てを決定づける事になる。

ようやく気持ちが落ち着いてくると、エイノールの死に顔が思い出されてきた。

・・・エイノールめ、これが偽りの剣と知れば、どれ程悔やんだろうな。このような物を欲しがったばかりに死期を早め、全てを失った。

傍らでは、ダンヴェイン卿がキリアムを縛り上げていた。

彼らが剣の正体を見た。これで、キリアムを護るものは何もなくなった。

結局、サヌードにとっては、全てが上手くいったのだ。

そう思うと気が晴れた。

「ダンヴェイン卿、急ぎ城に戻るぞ」

「は、キリアムめは、いかがします。運ぶにはいささか手間がかかるかと」

「オヴェウス卿の隊に任そう。意識が無くなるまで殴打したは貴公故、最後まで面倒を見るのが筋であろう。意識が戻り次第、城へ引き立てよ」

「俺がか、貧乏くじも良い所だな」

オヴェウスが面倒そうに答えた。だが、サヌードにすら気付かせる事なく、彼はその言葉にほくそ笑んだ。

・・・ちゃんと届けるさ。その頃には死体になっているかもしれんがな。

オヴェウスは再びキリアムを見た。

こいつを殺せば、グリンガレットは俺のものになる。

その思考自体が異常であることにも、彼は疑問を持たなくなっていた。

一分一秒が長く感じる。この渇きをいやせるのは、グリンガレットしかいない。そして、彼女を手に入れるためには、この男は死ななければならない。

そのチャンスは、今、十分に与えられた。

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