概要
岬に広がる毒草園と住人たちの秘密が、八通の書簡によって暴かれる。
タイトルは「よいまちがにざきどくそうえん」と読ませます。灰色の海に突き出す岬に広がる毒草園と住人たち、そして、宵の口に行進する小さな蟹の秘密が、八通の書簡によって暴かれる――。「今」「ここ」とは少し異なる、あるディストピアの物語。
何もお返しできるものはありませんが、
ただ作品をお楽しみいただければ……。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!特異な閉鎖社会に蔓延る狂気を覗いてみませんか?
「ギムナジウム」とか「サナトリウム」とか、そういう単語を見ただけでも想像を掻き立てられるような、閉塞した一個の社会。そこで起きる濃縮された人間関係が描かれる物語って、独特の魅力がありますよね。
本作の場合は「毒草園」或いは「施設(アサイラム)」と呼ばれていますが、やはり外の社会とは隔絶された囲いの中で、二十名ばかりが生活している場が舞台となっています。
自分は、何となく冒頭から漂ってくる陰鬱な雰囲気に魅せられて読み始めたのですが、幾らか古風にも思える文体の雰囲気も相まって、最後までその期待を裏切らず、ジトッと湿り気のあるお話に仕上がっておりました。
恥ずかしながら自分は、全部読み終わった…続きを読む