@SIxteeN
東京都
いまだに
操作資料を頭に叩き込んだ杜乃はデスクチェアで腕組みして推想していたが、反射的な速度で即座に受話操作を行いその秘匿回線に接続する。表示が「1」である以上、発信元はわかっている。
「
『杜乃さん。遅くにすみません』
「いや、君から連絡がもらえて起きていた甲斐があるというものだよ。どうだい?搜索の方は」
『今から、現状でわかっている範囲でお伝えできればと思いますが、いかがでしょう?鑑識の結果を待ちますか?』
「いや、現状だけでも伝えてもらっていいかい」
『わかりました。分析結果を待たずに、現状、結論と言える点から言いますと、見つかりました。首、頭部のない遺体が』
「やはりか」
『ええ。ただ…』
「ただ?」
『同じ地点に、層をなすよう縦に間隔をあけて、2名の遺体です』
「…そうか」
『はい、残念ながら…。鑑識の
「なるほど……今朝方見つかった遺体の死亡推定時刻が三日前ということから考えると、二ヶ月間隔から半分になっているということか…明らかに間隔が短くなってきているな」
『はい』
「わかった。鑑識からの詳しい分析結果が出たらまた教えてもらえればと思うが、一点だけいいかな?」
『何でしょう?』
「今回見つかった2名、着衣の乱れはどうかな」
センシティブな内容ではあるが、杜乃はさも当たり前のようにその問いを投げる。
『深くから見つかった方に関しては、やや見受けられます。上半身、ブラウスを着用しているとみられるのですが、部分的にボタンの欠落があります。元から無くなっていたのであればおそらく着用はしないだろうというレベルですね…個数にして四個ほどです』
「なるほど…わかった。ありがとう。朝霧くん。もう夜も遅い。私が言っても仕方のないことかもしれないが、あまり無理はするなよ」
『はい。ありがとうございます。あ、
「ああ。
『ありがとうございます。あ、一点情報があります』
「なんだい?」
『遺体発見現場周辺において、現場である雑木林には似つかわしくない物品も当然採集しているのですが、遺体の埋められていた箇所の検証中、地中から
「糸切り鋏?あの、裁縫などで使う小型の裁断器具かい?」
『そうです。指紋が採取できるかはこれからです。一見したところ割と形としても新しいものかと。メーカーなどの照合もこれからとなりますが』
「わかった。情報ありがとう。また何かあったら遠慮なく連絡をもらえると助かるよ」
『もちろんです。それでは署に戻るので、一度失礼します』
「ああ、お疲れ様」
ディスプレイの接続中表示が、切断に切り替わる。一時キャッシュ消去のためにアプリケーションも自動的に終了、一瞬でメンテナンスが行われた。
「糸切り鋏、か…」
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