第28話 路傍に泣く人よ

そうか君も故郷(ふるさと)を

思い出したか 荒野の花に

白き顔(かんばせ)うつぶきて咲く

香り高き水仙の


やまぬ雨にやむにやまれず

傘をさしたるわれの下

青猫一匹 まぎれこむや

追うにおわれず なすすべも無し


背中丸めて 泣く人よ

遠き日々に 胸焦がしては

戻れぬこのみち振り返りつつ

岸壁に咲く あの海に


やむにやまれぬ雨に泣く

帰る場所はいずこにあるか

赤き血潮に 流れる川

あの啼く声は トンビかな

あの啼く声は トンビかな

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