第54話 わるもの
ある知り合いの事を今から話すよ
ああ下らねえ事言ってんじゃねえって野次は聞き飽きてる
不満顔のやつら、いいから聞きやがれ
お前らがこの酒場から追いだした
あいつの話を
あいつときたら口を開けばだいたい他人を罵ってる
親の顔が見てみたいような野郎だぜ
たぶんナイフとフォークの持ち方すら知らないだろうな
食ってる姿が犬みたいだった
あんなやつだったけど
詩を書いてたんだ
そりゃあ酷えもんだった
大好きなバイクの事と
大嫌いなトラックの事しか
歌わないときている
馬鹿なやつさ
馬鹿野郎だぜ
愛すべき
クソ野郎
奴は仲間と喧嘩した
それこそ毎日のように
そして奴は一人になった
見た事あるか、奴の路上ライブ
通行人に怒鳴られてる
それでも奴は
奴のままだったぜ
話はこれでおしまいさ
ブーイングなら見飽きてる
もっといい話とやらを
聞きたかったっていうのかい
だったら
金
払って
映画館にでも
行くがいいさ
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