第5話 根雪は未だわが心の奥深く、汚く、張り付き、新雪は我が衣を白く染めねども
雪は降り、積もる
都会の雪は、一見さん
毎回様子が違うから
すぐに忘れられてしまう
我が故郷の雪は
深々(しんしん)と降り、積もる
それは昔から変わらない
店の主人は知っている
常連の雪
記憶の中の故郷はまるで
おとぎ話の舞台
私はさしずめ
浦島太郎
どこにもない
もうどこにも
過去を書き留め
道をたどる
ページを開けば
そこは雪国
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