第16話!! お城に潜入なのだ!!
アライさんはお城へ向かって歩いているのだ。
全てはフェネックが消えた謎を解くために。このあたりは嫌な思い出があるからあまり歩きたくないけど、背に腹は替えられないのだ。絶対に白い客に会わなきゃなのだ!
そうこう考えながら歩いていると、お城の門に到着したのだ。
目の前にいるのは門番2人……ちょっと怖いけど話しかけてみるのだ。
「こんにちはなのだ。そこを通して欲しいのだ」
アライさんが言うやいなや、右の方にいた強そうな奴が怖い声で言ってきたのだ。
「なんだとお??もう一度言ってみろ!」
うぅ……やっぱり怖いのだ……。
でも、ここで引くわけにはいかないのだ!
「アライさんはどうしてもお城のてっぺんに行かなきゃいけないのだ!!そこを通すのだ!」
力ずくで門番を突破しようとしたら、そいつらはすかさずアライさんを静止させて言ってきたのだ。
「なんだとお?殿様に用事があるとでも言うのかあ?」
殿様?なんかとても強そうな名前の響きなのだ。もしかしてあの白い客はその殿様だというのか?……ありえない話でもないのだ。なんせ手から光を出せるからな。
「そうなのだ。アライさんは殿様に会いに来たのだ。だから通すのだ」
「そんな予定はなかったはずだ」
「よし、捕らえよう」
「ふぇえ!?」
門番二人はその手に持っていた武器をアライさんに突き付けて来たのだ。アライさんはなすすべもなく城の中に連行されてしまったのだ。
〜〜〜〜
アライさんは門番に連れられて城の中を歩いているのだ。大分歩いた気がするけど、ゴールが分からないと不安になってしまうのだ。
「アライさんはどこに連れて行かれてしまうのだ?」
門番が答えるのだ。
「まずは尋問にかける。俺達だけでは確認がとれんからな」
じ、じんもん!?絶対恐いやつなのだ!嫌なのだ!
「コイツ暴れだしたぞ!」
「何か隠しているに違いねえ!!」
アライさんはさっきよりも強く抑えつけられたのだ!そんなことする必要ないのに!
「痛いのだ!!離すのだ!」
「おっとすまねえ」
痛いと主張したら門番たちは力を弛めたのだ。こいつら意外と聞き分けがあるかもしれないのだ。
「抑えるのも面倒だ。持ち上げて運んでしまおう」
「そうだな」
門番たちは二人がかりでアライさんをヒョイと持ち上げたのだ。前言撤回なのだ!こいつらぜんぜん聞き分けなんてないのだ!
全くなんでこの辺の奴らはこうも力強いのだ?パークにいたころはアライさんは力が強い方だったけどここでは弱い部類になってしまうのだ。
アライさんはそれがちょっと自慢だったから、なんだかやるせない気持ちになってしまうのだ。
そんなことを思っているうちに門番たちは一つの扉の前で止まったのだ。
「この部屋だな」
「ああ」
アライさんは門番たちから慎重に降ろされると、忠告されたのだ。
「お前が今から会うのは検事のケンジだ。あいつは感情が高ぶると何しだすか分からないから気をつけろよ」
「な、何をされるというのだ!?」
「……じゃすてぃす?とか言ってたな。俺はよくわからんが」
「あいつ訳わかんねえ単語を使うよな」
門番はそう言うと扉を開けて、アライさんを奥へ押し込もうとしてきたのだ。やめるのだ!すごく嫌な予感がするのだ!じゃすてぃすは勘弁してほしいのだ!
「うるせえ行け!」
「ぴぎゃあ!」
アライさんは扉の向こうへ前のめりに倒れこんでしまったのだ。その隙に扉が閉められていって、ガチャリ、と冷たい音がしたのだ。
「ひぃぃん!出すのだあ!」
アライさんが扉をドンドン叩いていると、そのうち部屋の奥からコツンコツンと足音が近づいてきて、アライさんに向けて声がかかってきたのだ。
「お前が白昼堂々この城に侵入しようとしたというやつか?なかなかクレイジーじゃないか」
「ふぇえ?」
アライさんは厳つい声のするほうを見たのだ。そいつは黒い胴着に脇差しを指していて、もうすでにヤル気満々なことがわかるのだ。怖いのだ……
だがそいつは構わずに続けたのだ。
「お前の尋問をすることになった検事のケンジだ。質問には正直にアンサーしろよ」
「ひっ」
そいつの切れ長の吊目でギロリと睨まれると、とても立ってはいられない程足がすくんでしまうのだ。マズいのだ……アライさんは何も悪いことをしてないはずなのに、なんか悪いことをしてしまったような気がするのだ。
「オーケイ、まずは最初の質問だ。お前の名前はなんだ?」
な、名前?名前を答えればいいのだな?アライさんはのどが渇いてカラカラの口にむち打って自分の名前を言ったのだ。
「アライさんは……アライさんなのだ……」
すると検事のケンジは意外な反応を示したのだ。
「ホワット!?アライさんって、あのアライさんか?」
「何!?知っているのか?!」
アライさんはおどろいて上ずった声を出してしまったのだ。
「病気を何でも治すっていうあのアライさんだろ?この街じゃ知らない奴はいないぜ!最近うどん屋に弟子入りしたって聞いたけど本当なのか?リアリィ?」
「ほ、本当なのだ」
こんなに厳ついやつにまで知られているなんて、アライさんはすごいのだ!アライさんは本当に人気者になったのだな!
気をよくしたアライさんはついニヤニヤしちゃったのだ。
「オーケー、その人気者のアライさんは、何しにこの城に来たんだ?」
アライさんがアライさんだと分かったあと、検事のケンジは急に優しい口調に変わったのだ。コイツ、話せば意外と分かるやつかも知れないな!
アライさんは白い客を見つけるためにここまで来たことを伝えたのだ。
「白い客……?天守閣に……?天守閣には殿様しかエグジストしないはずだが……その客は茶色の髪がもっさりしてたか?」
「してないのだ。白髪で長くて真っ直ぐだったのだ」
「オー……じゃあそこにはいないな」
「何!?ではどこにいるのだ!」
アライさんは聞いてみると、検事のケンジは眉をひそめながら答えたのだ。
「俺に聞かれてもアイドンノーさ。だが、探す方法なら知ってるぞ」
「どうするのだ?」
「人相書きを発行するんだ」
ニンソウガキ?またアライさんの知らない単語が出てきたのだ。
教えて欲しいのだ。
「そいつの特徴を似顔絵にして町中に貼りだすんだ。町中の人が探してくれるからすぐに見つかる」
「なるほど!それなのだ!今すぐ発行して欲しいのだ!」
しかし検事のケンジは再び眉を潜めたのだ。
「お前、金はあるのか?」
「お金か……?今は無いのだ。でも盗賊のケンジのところに行けば」
アライさんはそこまで言いかけて口を閉じたのだ。そうだったのだ。アライさんは今ケンジたちに内緒でここに来ているのだ。それに盗賊のケンジはフェネックのことを何故か忘れているのだ。まともに取り合ってくれるはずもないのだ。
「うぅ……」
「どうした?払えないのか?タダじゃ発行はできねえぞ?」
「…………」
為すすべが、無いのだ。
これではせっかくここまで来た意味が無くなってしまうのだ。
どうしようかと悩んでいると、検事のケンジはひとつ提案をしてきたのだ。
「どうしても払えないというのなら、俺に考えがある。ヒアー」
「考え?なんなのだ?聞かせるのだ」
「アライさん、お前のボディで払うんだ」
……?言っている意味がよく分からないのだ。アライさんのぼでーはお金ではないのだ。つまりぼでーでは払えないのだ。
アライさんが不思議そうな顔をすると、検事のケンジは補足説明を始めたのだ。
「ノーノー。そのままの意味ではないぞ。肉体労働だ。つまりこの城の厨房でうどんを打ってもらう」
「ふぇえ!?うどんを!?」
アライさんはつい聞き返してしまったのだ。
「イエス!殿様のケンジ様は最近お疲れでいらっしゃる。話に聞くアライさんのうどん薬膳を食べさせればきっと疲れもとれるだろう。そうなれば俺は幹部昇進支部長就任いい感じになって、給料が上がるはずだ。その金で人相書きを発行する。どうだ?悪くない話だろ?」
「ぬうう……?とにかくアライさんはうどんを打てばいいということか?それで人相書きを描いてもらえるのか?」
「ザッツライッ!そういうことだ!分かったらレッツゴーギャン!」
アライさんは検事のケンジに無理やり立ち上がらせられたのだ。こいつはさっき閉められた扉を開けると、アライさんを連れて長い廊下を歩き出したのだ。廊下を抜けると、明るい光が差し込んで来たのだ。どうやらお城の外に出たようなのだ。
「どこに向かっているのだ?」
「キッチン!つまり調理場だ」
なるほど。そこでうどんを作るのだな?了解なのだ。早く調理場まで行くのだ。
「それにしてもなんで調理場とお城は離れているのだ?」
「オウ。愚問だな。火の元は離しておくのは建設の基本中の基本だ」
火事にならないためってことか。考えられているのだな。
そうこう思いながら歩いているうちに、ようやく調理場に到着したのだ。でも見た感じ掘っ立て小屋にしか見えないのだ。
検事のケンジはその戸を叩くと、中から熊のように大きいやつが出てきたのだ。熊のようと言ったが、本当に熊みたいだし、むしろ熊の方が近いかもなのだ。もしかしたら、前世は熊だったりするのかもな。
「検事のケンジか。何の用だ?」
「ハロー、調理番のケンジ。アライさんに調理場を使わせてあげてくれ。うどんを振る舞ってくれるらしい」
「なに!あの有名なアライさんだと?」
調理番のケンジは野太い声を上げると、アライさんをまじまじと見てきたのだ。
「こんにちはなのだ!アライさんなのだ!」
まさかこんな粗末な小屋にいる奴にまで知られているなんて、アライさんはやっぱり人気者なのだ!
「オレ、うどんは作り方分かんないけど、お前のことは話に聞いてるぜ。薬膳を作って食べた人間を文字通り元気にするんだろ?」
「そうなのだ!すごいだろ?もっとほめてもいいのだ!」
調理番のケンジって、見た目は怖いけどけっこういいやつそうなのだ!
「二人共。夕方までにうどんを仕上げてくれよ?今晩の夕食にするからな。じゃあ、シーユー!」
検事のケンジはそう言うと来た道を戻って行ったのだ。
よーし!人相書きを描いてもらうためにも、最高のうどんを打ってやるのだ!
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