ジャパリパークの嫌われ者だったアライさんが異世界イチの人気者になるのだ!!
はいいろわんこ
ここはジャパリパークなのだ!!
第1話!! アライさんなのだ!
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なあ、お前は仲のいい友達がいるか?
アライさんにはいないのだ。
でもな、別にいいのだ。
ジャパリパークで生きていくだけならそんなものは必要ないのだ。
ひとりなら行きたいところに自由に行けるのだ。ひとりならだれからも文句を言われたりしないのだ。
つまりひとりで気ままに生きていく方が楽しいし、ラクなのだ。
アライさんは今日までずっとそう思って生きてきたのだ。
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[しんりんちほー]
アライさんがいつものように木陰で昼寝をしていると、なにやら聞き覚えのある声が聞こえてきたのだ。どうやら誰かが何かのうわさ話をしているようなのだ。
たぶん、アライさんの近くに住んでいる奴らだと思うのだ。名前は知らないけど。
アライさんもうわさ話は嫌いではないので、そのまま目をつむりながら聞いていたのだ。
「ねえ知ってる?かばんさんが海に出るって噂」
「知ってる知ってる!パークの危機を救ってくれたあのかばんさんが海に出るなんて、一体どうしたんだろうね?」
「わからないけど、かばんさんってすっごく頭がいいらしいよ」
「やっぱり頭がいい子が考えることはわからないよねー!」
かばんさんというやつがいるのか。
で、そいつがパークの危機?を救った。
全く知らない話なのだ。ちょっと興味があるのだ。
アライさんは木陰から声の方に行って聞いてみたのだ。
「その話!もっと詳しく聞かせるのだ!」
そしたら会話をしていた二匹はじっとこっちを見つめてきたのだ。
しばらくアライさんは見られていたけど、そのうち片方が言ってきたのだ。
「アライグマさん。帰って来てたの?」
「そうなのだ!昨日帰ったのだ!」
アライさんは昨日までゆうえんちに行っていたのだ。
アライさんはいろいろなところに行って、いろいろな場所を見るのが好きだから、しんりんちほーにいないことも多いのだ。
しんりんちほー以外の地域はちょっと体がツライこともあるけど、それよりあちこち回るのは楽しいのだ。
「あのー、アライグマさん。満月の日に、みんなでろっじの掃除をしようって約束、覚えてた?」
「ふぇ...??」
アライさんは思い出してみるのだ。そういえばちょっと前にそんな話をしたような気もするのだ。
覚えていないと言ったらウソになるのだ。ウソはよくないのだ。
「でもその日はゆうえんちに行っていたのだ!だから行けなかったのだ...」
「つまり、約束をすっぽかして遊んでいた。ということですよね?」
とたんに目の前のやつの顔が怖くなったのだ。
「そう…なるのだ。ごめんなさいなのだ。」
アライさんはみとめたのだ。謝ったのだ。でも二人は許してくれなかったのだ。
「もういいよ。いつものことだし。行こ。」
「うん。」
二人の顔見知りのフレンズは回れ右をして行ってしまったのだ。
去り際に二人は、アライさんに聞こえるような声量で話し始めたのだ。
「あーあ!青いやつの代わりに、かばんさんがここら辺に住んでいたら面白かっただろうなあ!」
「ははは。言えてる。人気者が近くに住んでるって、それだけでなんか誇らしいよね。」
「もしかばんさんがここに住んでいたら、どうする?」
「うーん。毎日じゃぱりまんを一つあげるかも。ここにいてくれてありがとうって。」
そうは言っても別にアライさんは好きでここに住んでいるわけではないのだ。
たまたま体に合っている地域がここっていうだけで、ここじゃなくてもいいのだ。
かばんさんだってここじゃなくて、自分の体に合っている地域に住みたいはずなのだ。
でも、かばんさんはそういう地域に住んでいなくてもじゃぱりまんをもらえるみたいなのだ。
なぜなら、人気者だから。人気者だったら合わない地域にいてもみんなに協力してもらえるということなのか?
そうであったなら、とってもとってもうらやましいのだ。アライさんはいろいろなところに行くのが好きだから、合わない地域で協力してもらえればとってもとっても助かるのだ。
「アライさんも人気者になりたいのだ!」
二人が行ったあと、アライさんはついつい叫んでしまったのだ。
でもいくら叫んだところで無駄なことはわかっているのだ、こういうときは行動あるのみ!なのだ!
かばんさんを見つけて、人気者の秘訣を教えてもらうのだ!
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アライさんはかばんさんを探すため気の向いた方向に歩きはじめたのだ。
そうするとなにやら話し声が聞こえてきたのだ。
アライさんはそっちを向いたのだ。そしたら赤いフレンズと黄色いフレンズが話しているのを見つけたのだ。
「かばんちゃん!まだ歩ける?もうずいぶん歩いたけど、ろっじで休憩していく?」
「大丈夫だよ。サーバルちゃん。」
いま。いまアライさんはかばんさんの名前を聞いたのだ。
つまりあそこに歩いている二匹のうち、どちらかがかばんさんであることで間違いないのだ。
「そう?疲れたらいつでもきゅーけーしていいんだよ?かばんちゃんは頭はいいけど体力はそこまでないけものなんだから。」
「ありがとう。サーバルちゃん。」
どうやら赤いほうがかばんさんで、黄色いのはサーバルというらしいのだ。
よし!
目的のかばんさんを見つけたらやることはただ一つなのだ!突撃なのだ!!
「たあああああああ!」
「うわああああ!!やめてくださーい!」
「フハハハハー!かばんさんを捕まえたのだ!さあ!アライさんに人気者のひけつを教えるのだ!」
アライさんはかばんさんの肩に手をかけて揺さぶったのだ。
「あああああ!イタタタタ!」
「君!やめなよ!」
アライさんはかばんさんが痛そうな声を出したからすぐやめようとしたのに、やめる前に黄色いやつが口を出してきたのだ。
「かばんちゃん痛がっているじゃない!やめなよ!」
「うるさいのだ!」
うるさいって言ったけど黄色いのの言うとおりでもあるのだ。ここはいったん中止なのだ。
「イタタ…」
「大丈夫?かばんちゃん?」
「うん。平気だよ。サーバルちゃん。」
「よかったー!」
なんかこの二人は目の前で突然イチャイチャしはじめたのだ。なんか分からないけど、見ていると無性に腹が立ってくるのだ。だから言ってやったのだ。
「二人ともいい加減にするのだ!かばんさんが痛くなくなったのはアライさんのおかげなんだぞ!アライさんに感謝するのだ!だから人気者のひけつを...」
アライさんが言い切る前に黄色いのが言い返して来たのだ。
「あなたこそいい加減にしてよ!かばんちゃんは何もしてないのにこんなことするなんて、ひどいよ!」
「サーバルちゃん…その子を許してあげよう。ね?」
なんかかばんさんから哀れみの目を向けられて許されたけど、そもそもアライさんは悪いことなんて一つもしてないのだ。
そんな自分勝手なかばんさんに対してきいろいのは
「かばんちゃんがそう言うなら…」
とか言ったのだ。
そしたら二人で向こうへいってしまったのだ。
アライさんは人気者のひけつを聞けないまま、またひとりぼっちになってしまったのだ。
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でもしばらく歩いてたらボスが来てくれたのだ。
「ボス!今日もアライさんのためにじゃぱりまんを持ってきてくれたのかー?」
アライさんはボスからじゃぱりまんをもらったのだ。少しお腹が減ってたから、もらえるだけもらったのだ。
そしたら知らない茶色のフレンズがやってきて、アライさんに注意してきたのだ。
「ちょっとアンタ!じゃぱりまんは一人一個まででしょ!」
「いきなりやってきてなんなのだ?アライさんはお腹が空いているのだ!」
「関係ないわ!一個だけ残して後はボスに返しなさい!」
「やなのだ!そんなルール知らないのだ!」
「私の食べる分がなくなっちゃうでしょ!」
なんだ。コイツはお腹が空いているのか。
「それならひとつあげるのだ」
アライさんは4つ持っていたじゃぱりまんのうち一つをそいつに渡したのだ。
「...残りのはボスに返しなさい?他のフレンズもみんな食べたがっているわ」
「分かったのだ」
そう言われてみれば確かにそうなのだ。ボスがじゃぱりまんをもっていなかったら食べたい奴が食べられなくなるのだ。
これはごめんなさい案件なのだ。
だからアライさんは残りのじゃぱりまんを全部ボスに渡したのだ。
そしたら茶色いのはけらけらと笑いながら言ってきたのだ。
「ちょっとー!アンタの食べる分まで返しちゃってどうするのよー!」
アライさんもなんだかおかしくなっちゃって、頭を掻きながら笑っちゃったのだ。
それでアライさんがボスからじゃぱりまんを一つだけ返してもらうと、そいつはまだ笑いながら話しかけてきたのだ。
「全く……言えばわかるなら最初からやりなさいよねー。でも、素直なフレンズなのね。私はカラカル。あなたは?」
「アライさんはアライさんなのだ」
アライさんが名乗ったとたんにカラカルの顔がこわばったのだ。一体何なのだ?
「アライさんって……かばんさんを痛めつけたっていうあのアライさん?」
「痛めつけた?でもあのアライさんなのだ!な、カラカル!一緒にじゃぱりまんを食べないか?」
アライさんはカラカルを食事に誘ったのだ。カラカルも話せばわかるいいフレンズだと思ったし、一緒に食べたいなって思ったから誘ったのだ。ほかに意味はないのだ。
でもカラカルは手に持っていたじゃぱりまんを地面に放り捨てたのだ。
「何をするのだ!」
「パークの人気者を痛めつけたやつが触ったじゃぱりまんなんて、いらないわ!」
カラカルは地面に転がったジャパリまんを踏みつけると、そっぽを向いて向こうに行ってしまったのだ。
アライさんはまたひとりぼっちになってしまったのだ。
アライさんはただカラカルの足跡がついたじゃぱりまんを見ていたのだ。
それを見ているとなんだか胸の中がなんだかもやもやしてきたのだ。
なぜだか、わからないのだ。
……まあいいのだ。アライさんは今持ってるこのじゃぱりまんをひとりでおいしくいただくことにするのだ。
カラカルのことは別にいいのだ。もともとあんなやつと一緒に食べたくなかったのだ。大体食べ物を粗末にする奴なんてろくなやつがいないのだ。もやもやもこれのせいに決まってるのだ。だからカラカルがここでいなくなってくれてせいせいしたのだ。
そう心の中で思って手の中のじゃぱりまんを見ると、なんだかじゃぱりまんがぼやけて見えたのだ。
でもじゃぱりまんはじゃぱりまんだし、お腹もすいているはずなので、いつものようにかじりついたのだ。
「おかしいのだ。アライさんはいつものようにじゃぱりまんを食べているだけなのに、なんで、こんなに、しょっぱいのだ?」
気付いたらアライさんのお目目から涙がぽろぽろ、ぽろぽろと流れてきたのだ。
はなみずもだらだら、だらだらと流れてくるのだ。
こうなったら、食事どころではないのだ。もしかしたら一生治らない病気かもしれないのだ。一刻も早くとしょかんに行って病気を止めてもらわなきゃいけないのだ。
そう思ったアライさんは食べかけのじゃぱりまんをボスに返して、としょかんに向かって歩き始めたのだ。
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