金髪・ポニテ・メイド服(スリット付き)

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 ステータスチェック・・・・・・・

 凍結封印解除を確認。起動準備・・・・予備ジェネレーターによるリアクター出力調整。

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 オーラリアクターの稼働効率17%・・・・

 近距離に、封印解除者・・・・マスター候補を確認。

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 記憶領域に深刻な不具合発生。セーフモードでの起動確認。

 光学センサー及びカメラアイによる視覚情報起動確認。集音機能・・・・確認。

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 各センサーのフィードバックテストを開始・・・・・

 一部センサーに不具合発生。

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 声紋認証・・・・光彩認証・・・DNA情報認識

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「生体認証を確認・・・・あなたをマスターとして認識しました」



「は?」

 と言うしかない。中二病をこじらせてしまいロボ子ごっこをしているにしては凝りすぎている。


「潤沢なオーラエネルギーを確認。マスターへ申請、稼働限界が近いためにエネルギーの供給を求めたい」

「え、エネルギー??俺が???えっとどうすばいい?」


「許可と申請受諾と理解・・・・・んっ」


 そのとびきりの美少女がいきなり唇を重ねてきた。なんという柔らかい脳髄を刺激する感覚・・・・だがなんだこの違和感は?

「んん!??」


 だがそのときはっきり分かった。彼女は俺から霊力を吸い取っていると。

 まずいかなとも思ったが、大した量を吸い取ることなくすっと離れていく。


「オーラエネルギーチャージ率100%。霊子力反応炉<オーラリアクター> 稼働開始・・・・稼働効率70%へ到達」


 その後、ロボ子?もどきは目に輝きを取り戻していく。

 すごいなりきりぶりだな。


 と、いつまでも裸にさせておくと色々やばい。特に俺の股間。


 汚れていなさそうなマントを拾い上げるとそっと肩からくるんでやる。

 するとわずかにほほ笑んだように見えた・・・・が?


「えっと、俺はレイジだ。君は一体何者なんだ?」

「マスターレイジ。・・・・・本機は・・・・エラーコードTEP203032・・・・・記憶領域に深刻な不具合発生」


 微かに震え出したその子の体を支えてから、俺ははっとした。

 体温が・・・・低い。


 まさか本当にロボ子なの?


「分からないことは後回しにして、まずは君の名前を教えてくれなければ俺が勝手につけるけど」

「・・・・・了解です。本機の登録データが破損しているため、マスターレイジによるリネームを申請します」


 しかしかわいいな、ロボだったら惜しい。

 ・・・・・よく見ると首筋に文字のようなコードが刻まれている。

 I・・X ? ・・・・・文字を凝視しようとして、背中からヒップラインを念入りに・・・いや怪しいところがないかチェックするのは怠らなかったよ!


「イクスってのはどうだ?首筋の読み取れた文字から見つけたんだけど」


「・・・・・データ登録完了。本機はこれよりイクスと呼称される」


 それはそうと、今後この子をどうすればいいんだ?

 と思っていると、小部屋の方角からロナが俺を呼んでいる。


「えっとえっと・・・とりあえずだ、イクスの服をなんとかしないと」

「マスターレイジの命令受諾。個体名イクスの衣服を確保します・・・・データスキャン・・・・・フォームユニットサーチ」

 するとイクスはすたすたと歩き、あのリビングアーマーの残骸へ無造作に手を突っ込み紡錘形の金属片を掴みだした。


 この時まで俺はロボ子演技説が頭の中にあったが、イクスのとった行動に度肝を抜かれてしまう。

 腹部が音もなく開くとそこに紡錘形のユニットを押し込み、再び静かな機動音をしながら内部に取り込んでしまった。


「・・・・・お前本当にアンドロイド?だったのか?」

「個体情報に関しての喪失データが多いため、返答が難しい状況です。しかし一般的な人型生命体とは異なることは事実でしょう」


 するとイクスはあのマントを脱ぎ捨て、両手を広げると周囲に白い霧のようなものがくるくると回り始めている。

 これはあのリビングアーマーから漏れ出ていたモノの色違いに見えるが・・・・


「ナノクリスタルによる外装システムの形成を実行します。マスターレイジ、少し距離を取っておいてください」

「お、おう・・・・」


 そのときだ、ロナが何事かと俺の隣にやってきて裸の少女と何やってるんだと言いかけ異常さに押し黙ってしまう。

 イクスがナノクリスタルと呼んだのはこの白い霧のようなものなのだろうか?


 まるでポリゴンでも生成しているようにイクスの身に張り付き形作っていくが・・・・あれ?


「何これ・・・何が起こってるの?」

「わ、わかんねえ」


 俺が動揺するのには大きな理由があった。

 きっとこんな金髪碧眼で胸もそこそこある美少女はメイド服が似合うだろうなって思ったんだ。

 でもさ、それって悪いことかな?


 否!!!断じて否!!


 素敵な女性を、輝く美少女に何が似合うかを妄想するのは童貞男子の特権なり!


 でもこうして実現されちゃうと・・・・なんというか、恥ずかしい。


 しかもだよ、黒いゴシック系のメイド服だが、ひざ下まであるスカートは巻きスカート系でゆらりとスリットからレースのストッキングが似合うおみ足が覗いているのだ。

 たまりませんな。


「外装生成完了・・・・スキャニングにより可動範囲の誤差設定完了。マスターレイジ、次の命令を・・・・」


「マスターレイジって、ねえいったい何が起こったの??」


「そのとりあえずだな・・・・かいつまんで話すとこうなる」

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「まじで!?・・・・・もしかしたらあなたは発掘ドールなの?」

「何なんだそれは?」

「古代遺跡で発見される人間によく似た存在。ほとんどは破損しているけど、西方のある国では稼働している発掘ドールがいるって聞いたけど」


 イクスは静止したまま俺の命令を待っているようだが・・・・

「どちらにしても、この子の存在をあいつらに知られるのはまずいわ。外で縛り上げているけど、まずはあいつらを衛兵に引き渡しましょう」

「それが先だな・・・・イクス、後から気づかれないように後をついてくることは可能か?」

「マスター、隠密モードへのアクセスが不能です。光学迷彩による追跡は不可能であります」


 光学迷彩ってすげえな言葉出てきたな、まあ使えないのは残念なような気もするが。


「この外套を羽織って俺たちが連れていく犯罪者たちに気づかれないよう距離を取ってついてきてくれってことだ。光学迷彩は必要ないぞ」

「了解・・・・命令を実行します」


 俺とロナが歩き出すとしばらくして、後をこっそりついてくる。


「ねえ、あの子本当に大丈夫かな?」

「とりあえずあいつらを衛兵に引き渡すまでが辛抱だ」


「うん・・・・なんか大変なことになっちゃったね。レイジといるとなんか色んなことが経験できそう」

 そうは言ったものの、奴らはロープと鎖で縛られているが出血や骨折で意識が朦朧とし自力で歩ける者を蹴飛ばしながら連れていくロナの迫力はすごい。


 昏倒している学者は落ちていた木板に縛り付けて俺が引き摺って行く形になる。


「いてえよぉ助けてくれよぉ~」

「うるさいわね、あんたらの自業自得でしょうが」


「なんでヴァイスがあの守護者を倒せんだよ! いてええ!!」

 ポカリとロナに殴られて呻きながら、ちょうど巡回にやってきた衛兵たちが何事かと駆けつけてくる。

 ロナは意外と有名人らしく、こいつらが私たちを拉致して封印エリアでされたことを伝えるとすぐに応援を呼びに行ってくれた。

 ほどなくして荷馬車が犯罪者たちを乗せるが、ロナが手首を斬り落とした男は出血が激しく息を引きとっている。

「ロナさん、事情は後で聞きますので明日の朝、お二人でギルドに出頭してください。わたしたちが話をうかがいに行きます。」


「ありがとう、でもわたしたちも何か疑いがかけられちゃうのかな?」「この学者崩れは分かりませんが、ハマー一味は以前からギルドと監視対象としてマークしていた悪党なんですよ」

「やっぱり!!」

「だから安心してください」


 明らかにこの若い衛兵はロナに気があるようだが・・・・まあこれだけかわいければ仕方がないだろう。


 俺としてはあの学者の存在が気になるところだが、街に入る直前で後ろを振り向きイクスと呼ぶとすごい勢いで駆けてきて頭を下げる。

 しかも・・・・なんてことだ!!

「ポニーテール・・・・・だと!?」


「マスターレイジの霊力チャージ中に、その髪型への凄まじいこだわりのようなデータが流れ込んでいたので髪型を構成してみました」

「ねえレイジ、あんたこのイクスちゃんに何させてんのよ」

「い、いや別にたいしたことは・・・・ってとりあえずフードかぶってこれを入り口の衛兵に渡すんだぞ入街税だ」


「・・・・了解。地方自治領主の定めた税制システムの一つと理解」


「ま、まあそういうことだ」


 一応・・・・ロナの遠い親戚が訪ねてきて偶然出会っちゃたーーたいへーん(棒)

 ということにしておいた。


 街に到着後は、一度落ち着ける場所ということで俺の宿屋に戻りイクスから話を聞くことにする。


 ロナは早いうちに手続きをしてくるとギルドと衛兵詰め所に顔を出してくるそうだが、実はイクスがマスター以外の前では機密事項を話せないと言い出したことによる。


 ベッドに腰かけた俺は、目の前で直立するメイド服のアンドロイド?に質問をぶつけてみる。


 Q「なんでイクスはあそこに封印されていたんだ?」

 A「記憶領域の破損により不明です」


 Q「俺をマスターと呼ぶ理由は?」

 A「守護者を倒し封印を解いた者をマスターと認識するようセットされていました。また霊子力反応炉のエネルギー供給のためにマスターと行動をすることが最も自己保存保護の観点からも重要と考えられます」


 Q「イクスの目的と存在理由、製造者について知っていることを俺に話してくれ」

 A「該当データが破損しているため説明が不可能。ただマスターを困らせるような行動はしないように行動規範が設定されていることは分かります」


 Q「君の能力について知りたい。戦闘や日常生活支援、索敵、魔法関連、その他 大まかな機能を教えて欲しい」

 A「現在喪失しているプログラムやユニットの関係で、戦闘可能なモードはオーラリアクターからのエネルギー供給をメインとしたオーラバルカン砲と肩部に収納されたオーラランチャー、及びエネルギーフィールドを利用した近接格闘戦闘が可能な状態です」

 「次に、生活支援機能は現在修復中のため、もうしばらくお待ちください。その他は周辺の魔力反応サーチと動体反応サーチが可能」


 Q「最後に・・・・君が望むことを教えて欲しい」

 A「マスターレイジを守り抜き共に行動することが、わたし・・・イクスの最も優先すべきことであり存在理由であります」


 なんというか健気なロボ子が仲間になったということだろうか。

 だが、日常的な常識や会話の癖で発掘ドールとばれたら大変なことになる。


 実はイクスの力を借りれば葵衣を探すためのステップをかなり省略できるのではないかという期待も出ている。


 翌日、ギルドに顔を出すとルビーが顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら駆け寄ってきた。こわ!

「レイジちゃん!!ほんと心配したんだから!怪我はない?大丈夫?」

「あ、ああ大丈夫だよ」


 ハマー一味の件はグルノア支部がかなり俺とロナたちの味方をしてくれた。

 以前からマークしていたハマー一味ということもありグルノア行政府からは即刻死罪の判決が出ていた。余罪がたくさんあり、近隣の野盗グループと関係が深いこともその理由だった。

 だが、あの学者・・・実は東のほうではかなり有名な人物であるためグルノア行政府も即断できないということで王国に丸投げする形で王都へ送りつけるらしい。


 こうして一件落着・・・となるはずだったがそうはいかなかった。

 何しろ封印エリアで俺がやらかした事があまりにも現実味がなかったために、ハマーたちの悪事とは別にギルドからかなり事情を聞かれることになった。


 応接室に通された俺はルビーから意外な情報を聞くはめになる。


「ねえレイジちゃん、あなたが二日前にここへ来た時はたしか・・・・レベルは4で無適正だったはずよね?」

「俺もそうだと記憶してるぞ、ほらギルド証だってヴァイスになってるだろ?」

 同席したグルノア支部の支部長も、ヴァイスという存在に驚きそしてルビーから示された話にえ!?とまじ驚きをしていた。


 七三眼鏡という非常に分かりやすい事務キャラの支部長は、どうしたものかと話し出す。

「あのね、レイジくん。君のレベルさっき測定したらね・・・・13だったんだよ。レベルなんてそうそう上がるもんじゃないからね・・・・二日で相当がんばったとしてもせいぜい1か2だよ・・・・でも13っておかしいよね?」


「おかしいって言われてもさ、本人に自覚ないからしょうがないってば」

「そうよそうよ、きっとレイジがあのリビングアーマー倒したからでしょ?」

 このロナの援護が逆に面倒な話になってしまうとは・・・


「そこなのよレイジちゃん。ギルドの記録を見てみたらね、中で戦ってる人たちの叫び声がメモされていて・・・・剣も魔法も効かないっていうのよ」

「我々が疑問なのは君のレベルでしかも素手でどうやって倒したのかということだ。これは責めているのではなく、今後の参考にしたいんだ」


 俺は部屋の中を見回し使えそうな物がないことが分かると、ギルドにある修練所へと皆を誘った。

 そこは簡単な修練ができるスペースだが今ではあまり使われていないらしい。


 そこにはちょうど、剣が打ち込めるように木を軸に藁などで人型を作りそこに使えなくなった金属鎧を張り付けた打ち込み用の的が備え付けてある。


「なあこれって壊しちゃってもいいか?」

「あのレイジちゃん?それは稽古に使えるようにかなり頑丈に作られてるのよ?ってまさか?」

「ああ、あのリビングアーマーを倒した実演をしてやる。支部長さん、あんた魔力は感じられるか?」


 すると眼鏡をきりっと直し、目を輝かせる。

「私は研究系の魔導師ですからね、魔力感知はお手の物ですよ」


「じゃあ俺から魔力が感じられるかやってみてくれ・・・・・すぅ・・・・・」

 呼吸を整え、静かに右手を稽古用の鎧に添えていく。


 ロナははっとした顔をしていたが、そう・・・・体内の練り上げた気を打ち込んで内部から破壊するあの技・・・・。


「・・・甲冑殺」


 体内の気が一気に爆発したように放出される。

 手が触れているだけなのに、稽古鎧は内部から破裂したように藁や鎧のパーツ、そして支柱までが飛散していた。今回は阿修羅王の力は入れないように制御しているためかなり威力を抑えた結果だ。


「なっ!??なんだこれは!」支部長は激しく動揺し、ルビーは両手で口を押さえ目を輝かせている。

 ロナは改めて俺の技に感動し微笑んでいた。


「人の体には魔力ではない気というものが流れている。ここぞというときに覚悟を決めると力が湧いてくることがあるよな?あんな感じだよ」

「たしかに魔力はこれっぽっちも感じない!だから君は現状の適正判定システムでは計れない強さを持っているんだね!うおぉ僕は感動したよ!ね?ルビー君?」

「もうときめいちゃうわ・・・」


 こうして機密事項扱いされた俺は、しばらく待機という形になりギルドからリビングアーマー討伐の報奨金として10万レーネをいただくことができた。

 100万円か、ちっと安すぎないか?とも思ったがもらえるものはもらっておこう。


 意気揚々とご機嫌で宿に戻ると、イクスが不満そうに呟いた。

「他の女の匂いがします」

「ロナとギルドに行ってたから・・・な?」

「そうでしたか・・・・それでどのような処置になったのでしょう?」



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