前のエピソード――ミドル9-1：天を衝く

GM：さぁ、お待たせした。

　先程も説明したが、今回のFS判定は通常の判定に加えて、攻撃ドローンとの戦闘処理も同時に進行していく。

　PCたちはFS判定を進めるか、エネミーの撃破をしてもらうことになるよ。

　また、この戦闘は処理の簡略化のためにエンゲージの概念を取っ払います。色々とややこしくなってしまうからね。そのため、攻撃手段が至近攻撃のみのライザも攻撃可能とします。

　そして、エネミーを全撃破すれば順当な進行ということで進行値が1点与えられる。

　最終的にこの進行値が10に至ればFS判定は成功。5ラウンド経過するまでに達することができ無ければ、FS判定は失敗となるよ。気をつけてね。

さて、何か質問はないかな？

PL一同：なーし！

GM：よろしい。それでは『FS判定：空中庭園に上陸せよ！』を開始します！！

▼ラウンド1：進行値0

GM：ではハプニングチャート等の処理の前に、千代がここでエネミーエフェクト《戦力増員》を宣言！

　エネミー：攻撃ドローン（トループ）が計3体出現するぞ！

┌行動キャラ「行動値：キャラクター名」

│

│12：攻撃ドローン×3

│6：ライザ　HP：4

│4：アリス　HP：24

│

└————————————————

アリス：3体……だと……。

ライザ：1トループ10機と考えると、およそ30機ですか。

GM：大群である。さて、ではここでハプニングチャートを振ってもらおうか。アリスから頼めるかな？

アリス：お、こっちからか。OK！では（コロコロ）

GM：……出目は38。『破滅的不運』だね。このラウンド中に行なう進行判定は全てクリティカル値が+1される。

アリス：おい。いやいや、おい。

ライザ：他リプレイの時もでしたが、ハプニング運ないですよね。

GM：私とは違う意味で持ってるよね、ユキさん。よっ！　ハプニング芸人！

アリス：ほんとだよっ！！！

GM：さて、ではこのラウンドではC値が＋1される苦しい状況だね。それも踏まえて判定していこうか。

　他にセットアップ宣言はないので、イニシアチブ12で攻撃ドローン×3の行動！

　こいつらは基本、ダイスによって完全ランダムに攻撃対象を決めていくよ。もし攻撃が偏っても……恨んでくれるな！

　（コロコロ）……対象はライザが1回。アリスが2回だね。では判定していこう（ニッコリ）

　攻撃ドローンの激しい攻撃の中、ライザはNPC効果の《エースドライバー》で見事回避。アリスは2回もの攻撃を受けてHPは全損。《リザレクト》で戦闘不能を回復した。（侵蝕：98→108）

GM：さ、次はライザの手番だね。戦闘と進行判定のどちらに挑戦するかな？

ライザ：では進行判定に挑戦します。亮さんの支援、貰いますね。

アリス：持っていけ！　ついでに《援護の風》だ。判定ダイスに+6個の支援も渡しちゃうぞ。（侵蝕：108→110）

ライザ：ありがとうございます。では判定ですね！（コロコロ）達成値11です。

　バレルロールで弾幕を掻い潜り、アリスさんに殲滅を任せて先へ先へと飛んでいきます。

GM：クリティカル値が11の中でよく頑張ったね。進行値2点獲得だ！

アリス：ナイス！

ライザ：支援を貰っておいて良かった……助かりました。

GM：では次、イニシアチブ4でアリスの手番！

アリス：いくぜ！　ですわ！　マイナーは放棄。メジャーで《フェイスダウン》を宣言だ！

GM：来るか！　では判定どうぞ。

アリス：（コロコロ）……達成値は49！（侵蝕：110→115）

GM：えっと……飛行ドローンたちのドッジは《イベイジョン》で達成値12に固定されている。ドッジ失敗、戦闘不能！

アリス：っしゃぁ！

GM：では描写をどうぞ（ニコニコ）

アリス：「てめーら全員、頭が高ぇ！　で！　す！！　わー！！！」　大声によって発生した空気の波をあやつり、ドローンに叩きつける！　これぞ超音痴（げふん）超振動波攻撃！

攻撃ドローン（GM）：「——！？」

GM：大気の波を操作されたことにより、飛行を維持できないドローンは一つ残らず地に落ちていった。

ライザ：「（彼女の戦闘方法は音波、もしくは空気振動だ。加えてドローンは一度バランスを崩せば立ち直るのは難しい。……最悪の相性と言えるでしょうね）」

GM：では未行動のキャラクターが居なくなったので、クリンナップだ。何か宣言はあるかな？

PL一同：なーし。

GM：よろしい。それではここで、エネミーが全滅していることにより、進行値が+1される。これで進行値は3だね。そして同時にイベントが発生だ。

GM：飛行ドローンが撃墜されたことにより、君たちの存在を千代は感じ取ったのだろう。邪魔が入ると分かるや否や、彼女の操るドローンの攻撃がより苛烈となる。

　以降の進行判定の技能はそのままに、難易度が8に上昇する！

▼ラウンド2：進行値3

GM：ではハプニングチャートのロールをどうぞ。今度はライザが振ってみてね。

ライザ：分かりました。（コロコロ）出目は82です。

GM：82は……『緊張がレネゲイドを活性化』だ。このラウンド中に進行判定を行なったキャラクターは、判定の直後に1D10点の侵蝕率が上昇するね。上昇値はっと（コロコロ）

　上昇値は1だ。かすり傷だね。

アリス：き、傷は浅いぞ！

ライザ：あ、危ない（笑）

GM：それではセットアップ。千代が再び《戦力増員》を宣言するが、先程の攻撃ドローンが全て撃墜されたことによりレベルが低下。呼び出せるエネミー数が1体減少して出現！

┌行動キャラ「行動値：キャラクター名」

│

│12：攻撃ドローン×2

│6：ライザ　HP：4

│4：アリス　HP：10

│

└————————————————

GM：それではイニシアチブ12で攻撃ドローンの行動！対象は（コロコロ）ライザに2回だね。達成値はそれぞれ20と9！　さぁ、どう凌ぐ？

ライザ：20、ですか。アリスさん、NPC効果を総動員して1撃目をドッジしたいのですが……いいでしょうか？

アリス：いいと思うよ。アリスの支援もいる？

ライザ：侵蝕が怖いですが……ロイスには変えられません。欲しいです。

アリス：OK、任せろー！（侵蝕：115→117）

ライザ：助かります。それでは一撃目のドッジは（コロコロ）……達成値25で成功です！

アリス：ナイスゥ！

GM：素晴らしい！

ライザ：では2撃目を通常ドッジしてみます。達成値は（コロコロ）7、失敗ですね。

GM：惜しかったね。ではダメージは（コロコロ）13点装甲有効だよ。

ライザ：それは……装甲値で軽減しても耐えられませんね。戦闘不能です。『育ての親』のロイスをタイタス昇華して復活します。（HP0→11）

GM：飛行ドローン君が予想以上に頑張る頑張る。

アリス：やるじゃないドローン君……。

ライザ：こちらの判断ミスもありましたね……。2撃目はガードを選択していれば生き延びたのですが。

GM：気にしない気にしない。さ、描写をどうぞ。

ライザ：それでは……ドローン同士の合間を掻い潜って先に進みますが、反転したドローンの銃座に後ろから撃ち抜かれてしまいます。

「くっ……直撃を食らったようです。すみません、亮さん」

聳城亮（GM）：「いいさ！　壊れたのなら直せばいい。何度だって、こいつを空に飛ばしてみせる！！」

ライザ：「……ありがとうございます」

　ライザは口元を薄く伸ばして感謝の意を示すのだった。

GM：では次だね。イニシアチブ8でライザの行動！

ライザ：では進行判定に挑戦します。達成値は（コロコロ）達成値9。ギリギリですが成功です。（侵蝕：104→105）

アリス：ナイスだ！

GM：ではこれで進行値が1上昇だね。（進行値3→4）

ライザ：後ろから撃ち抜かれ、機体も損傷している。それでも、その翼は前へ前へとただ突き進む——。

アリス：よしっ、次は私の行動だな、ですわ！　マイナーは放棄。メジャーで《フェイスダウン》！！

GM：OK。では判定いってみよう！

アリス：（コロコロ）達成値は21でイベイジョンは抜いたな、ですわ！　おめーら全員戦闘不能ですわ！（侵蝕：117→122）

「しぃぃぃずめぇぇぇえええ！！！　ですわッ！」　大気をも震わせる波動は、次々と飛行ドローンを撃墜していく。

GM：フェ、《フェイスダウン》っょぃ……。

アリス：ふん、他愛ねぇな。ですわ！

ライザ：まさに『堕ちろ蚊トンボ』ですね。

GM：さて、それではクリンナップだ。

PL一同：宣言なし！

GM：ではここでエネミーが全滅しているため、進行値に+1のボーナスだ（進行値4→5）

　そしてラウンドが回るよ。

▼ラウンド3：進行値5

GM：進行値が5に達したことで、ハプニングチャートの前にイベントが発生する。

GM：ドローン展開の隙間を発見した。ここが正念場だ。ドローンを撃ち落とし、道を切り開け！　技能を攻撃技能に変更し、難易度を15に変更する。

アリス：来たか攻撃技能！

GM：では例によってハプニングチャートをお願いね。好きな方が振っていいよ（にっこり）

ライザ：ふふ、これは試されますね。ハプニング芸人返上のチャンスですよ、ユキさん。

アリス：うぉお、やってやらぁ！　振ります！

GM：OK、やってみたまえ！

アリス：これが、私の生き様だぁああああ！！（コロコロ）ダイス目は45ですわ！！

GM：45……おっ、『一か八かのチャンス！』このラウンド中、最大達成値と難易度に+10だ。やるじゃないか！

　これで難易度は25になるが、最大達成値が40になる。ワンチャン1回の進行判定でクリアできるよ。

ライザ：やりましたね！

アリス：ここでやるしかないな！

GM：それではセットアップだが、そちらは宣言はないね。こちらは千代が更に《戦力増員》！

　しかし、こちらの限界は近い。出現エネミーが更に減り、遂に増援は1体のみだ。

攻撃ドローン（GM）：僕、独りぼっちになっちゃった。

アリス：君喋れるんかい！？（笑）

┌行動キャラ「行動値：キャラクター名」

│

│12：攻撃ドローン

│6：ライザ　HP：11

│4：アリス　HP：10

│

└————————————————

　ここで残った攻撃ドローンはライザへ攻撃を仕掛けるが、NPC効果を再び総動員してこれを回避した。

GM：してやられたな。さて、次はライザの手番だがどうするかな？

ライザ：ここは……アリスさんの支援を頂きたい所ですね。ここは待機してもいいでしょうか？

アリス：お膳立ては任せて。

ライザ：助かります。それでは私は待機で。

GM：OK、それではアリスの行動だね。宣言をどうぞ！

アリス：いっくぜぇですわ！　伝家の宝刀マイナー放棄からのメジャーで——

　コンボ【関係ない。行け。ですわ！】[《狂戦士》]をライザへ！　次メジャーアクションの判定のC値を-1、判定ダイス+8個！（侵蝕：122→127）

「ライザさん、行っけぇええ！　ですわっ！！」

ライザ：ありがとうございますっ！

GM：ひぇぇぇ！？　そ、それでは次、ライザの行動！

ライザ：では進行判定に挑戦です。

アリス：ではその判定に《援護の風》だ。判定ダイス+6個、持っておいき！

ライザ：助かります。あ、この判定ってマイナー、メジャーアクションエフェクトって宣言できますか？

GM：勿論いけるよ！

ライザ：了解です。では……マイナーでコンボ【諜報活動】[《陽炎の衣》]を宣言。こちらで隠密化。（侵蝕：105→108）

　メジャーでコンボ【暗殺：技】[《コンセントレイト：ノイマン》+《一閃》+《コンバットシステム：白兵》]で判定します。

GM：OK、判定こい！

ライザ：（コロコロ）……達成値は58です！（侵蝕：108→114）

アリス：マーベラス！

GM：一気に抜いていったね君(；・∀・)

ライザ：ふふっ。疾さが大切ですからね。

GM：してやられた、という訳か。これで進行値を5点獲得し、累計進行値は10！

　FS判定は成功だ。おめでとう！

　眼前にはドローンの軍隊が壁のように展開する。。幾分数を減らせているとはいえ、この中を突っ切るのは危険だ。アリスの能力で叩き落とそうにも、アリスには先程から大分無理をさせている。既に侵蝕率が危険域の筈だ。であれば……自分がやるしかない。

ライザ：「亮さん、操縦を任せます。このまま直進を」

聳城亮（GM）：「了解ッ！　合間を縫って飛ぶから気をつけて！」

ライザ：コクピットから機体中央に飛び退き、ナイフを静かに構える。

「いいえ、その必要はもうありません」

聳城亮（GM）：「へっ？」

ライザ：「——シッ」

　亮の素っ頓狂な声が届くよりも早く、ライザは姿を消していた。すると、もっとも接近していたドローンの1機が何者かに蹴落とされる。しかも、それだけでは終わらない。次、また次へとドローンが蹴り落とされてゆき——機体が通り抜ける時にはライザは元の位置へと帰ってきていた。それはかの壇ノ浦の戦いで源義経が披露した、船から船へ飛び乗った『八艘飛（はっそうと）び』を彷彿とさせる光景だった。

ライザ：「——これでチェックです」

聳城亮（GM）：「凄いね。まるで秘密組織の凄腕エージェントみたいだ！」

「ありがとう、これで気兼ねなく——飛べるっ！」

アリス：「いっくぜぇ！　いよいよ本丸！　ですわ！」

　飛行機と少年と少女たちは鳥のように軽やかに飛んでいく。目の先には、千代が待つ空中庭園が静かに浮かんでいた。

　さぁ、決戦の時だ。