ミドル1:ランクテスト

ミドル1:ランクテスト(シーンプレイヤー:ライザ)


GM:アリスも登場推奨になる。シーンインをどうぞ。

ライザ:シーンイン!(出目3:侵蝕38→41)

アリス:シーンイン!(出目10:侵蝕38→48)

アリス:こふっ(吐血)

GM:たかぶり過ぎでは()

ライザ:良いところを見せたいんですね、きっと。

アリス:亮さんに頼られたからもうね……。

GM:お熱いことだ。


 あれから連絡船は順調に進み、巨大イカに襲われるというトラブルもなく外部新入生も上陸手続きが完了した。

 そしてここで、新入生のオーヴァードには実力を図るためのランクテストが行なわれることになっている。アカデミアの学生にとっては恒例行事。外部新入生にとっては初めてのランクテストだ。

 ライザは早乙女 アリス含む新入生たちに紛れ、ランクテストを受ける事になったのだが……偶然か、隣には先程別れた立花 千代が心ここに在らずといった感じで立っている。その様子からしてどうやら緊張しているようだ。

 千代をライザとアリスが横から挟む形でベアトリスの説明を受けているが……

 ここで最初に動いたのは、意外にもアリスではなくライザだった。


ライザ:「千代さん」 ほんの僅かに躊躇ためらうも小さく声をかけます

立花 千代(GM):「……えっ、 あ、ごめんなさい。イメージトレーニングに必死でライザ君に気付いてなかったみたい」

ライザ:「いいえ、構いませんが……顔が強張ってます。少し深く呼吸した方が良い結果を出せるかもしれません」

 気にしないと軽く手を振ってから、些細ささいではあるがアドバイスを贈る。

立花 千代(GM):「……ありがとう。うん、力が入り過ぎてたみたい。リラックス、リラックス……」

GM:ここで、千代は落ち着いた(ある意味落ち着いていないかもしれないが)隣にいるアリスを見やる。


アリス:侵蝕率は燃え盛ってるぜ?

GM:お、そうだな()


立花 千代(GM):「こんにちは。ここに元々いた生徒さんですか? 落ち着いてるみたいだったので、つい気になってしまって」

早乙女 アリス:「おう、こんにちは。ですわ。そうだな、俗に言う内部進学者ってやつですわ。そっちの2人は、島外から?」

ライザ:「…………え、ええ。先程アカデミアに着いたばかりです」

立花 千代(GM):「は、はい。今年からここにお世話になる事になりました」


 ライザと千代の2人はアリスのその異……特徴的な口調に一瞬思考がフリーズしてしまう。


立花 千代(GM)「あの、ランクテストって、エフェクトを使う訳ですけど……何かコツとかってありますか」

アリス:「成程だなですわ。そうだな……気負い過ぎないこと。さっき彼……彼?(ライザ)が言ってたみたいに、深呼吸でもするといいと思うですわ」

立花 千代(GM):「成程、参考になります。ありがとう。私、立花 千代といいます」

 千代は助かったとお礼を述べ、初対面の自己紹介を行なうPCたち。

アリス:「千代さんに、ライザさん。よろしくなですわ……どれ、ちょっとだけお節介だ。ですわ」


アリス:GM、《高濃度酸素バブル》を使って我々の集中力を高める的な演出をしたいです。

GM:ほぅ、いいですよ。許可します。

アリス:やったぜ。というわけで、イージーエフェクト《高濃度酸素バブル》を宣言。疲労回復+集中力アップのバフをかけるよ。


 アリスが目を伏せて集中すると、3人の周囲をハヌマーン能力によって簡易的な不可視の酸素カプセルが包み込み、肉体的疲労を回復。脳へと運ばれる酸素濃度が上昇することによって集中力が増強された。


立花 千代(GM):「あれ、何か頭がすっきりしたような」

ライザ:「……ハヌマーンの能力ですか」


 レネゲイド知識に疎いのであろう千代はその正体に気付かないが、長年のエージェント活動からシンドロームをズバリと言い当てるライザ。

 アリスは人差し指を口元へ運び、秘密だといたずらっ子のような笑みを浮かべる。


アリス:「ふふふ、クラスの皆には内緒だぞ? ですわ。学園島にようこそ、歓迎するですわ」


GM:よし、丁度いい。ここで簡単な判定を設けましょう。

アリス:お、来るか。

GM:うん。ここでランクテストの内容がどうだったのかを決める判定をしましょう。2人共、任意の戦闘技能で挑戦してみてください。先程の描写から固定値を+2差し上げます。

 また、ライザは先程のボーナスを受け取らなくともよいですし、ローザより手渡されたバッジの効果として任意の数字分だけ技能値を減らせるとします。


■判定:ランクテスト 技能:戦闘技能

 難易度:なし


アリス:(๑و•̀ω•́)و (ガッツポーズ)

GM:ではまず先輩PLのアリスからやってみましょうか。Aランクオーヴァードの実力を見せてくれ!

アリス:了解。<交渉>で振ります。よいしょ!(ダイスロール)……達成値18!

「我が前にひれ伏せッ! ですわッ!」 張り上げた声が音波攻撃となり、試験官の鼓膜から脳に突き刺さる。

 結果——試験官はアリスの溢れ出る気品(物理)にノックアウトされた!


 ふっ、これがノブレス番長の力だぜ……ですわ。


GM:流石だ。コンセントレイトなしでも十分に高達成値だね。では次、ライザいってみようか。固定値はどうする?

ライザ:ではこちらは固定値を-10した白兵で。ですが先程の高濃度酸素バブルだけは受け取っておきます。

アリス:さあ、どうなるかな……?

ライザ:(ダイスロール)達成値は9ですね。Aランクオーヴァードの半分ほどの出力です。

 試験用の模造ナイフを片手に、試験官へと接敵しようとするも——

「(身体が、思った以上に重い……!)」 結果、模造ナイフは簡単に捌かれてしまう。

試験官(GM):「惜しかったね。ナイフ捌きは悪くなかったけど、筋力不足かな。もしくはレネゲイドの出力が上手くいってないのかも。レネゲイドコントロールを良く練習しようね」

ライザ:「……ありがとうございました。これから精進します」


アリス:いい感じにCランクっぽい達成値だ。

GM:本当、いい塩梅に落ち着いたね。


GM:ではテストも順調に終了し、君たちは束の間の休息タイムを取っている。隣ではテストが余程きつかったのか、息も絶え絶えな千代がしゃがみ込んでいる。

立花 千代(GM):「はぁ……はぁ……やっぱり、エフェクトを使うのって難しいね」


 その様子に少し、ほんの少しだけ眉間にしわが寄るライザ。UGNチルドレンからすれば、先程のテストは小手先のお遊びのようなもの。バッジを付けていても息一つ乱れない自身と、慣れていないとはいえ疲れ切っている千代。

 これが示す答えは……。


ライザ:「……そうですね。大丈夫ですか、千代さん」


 しかし《完全演技》により思考を切り替え、ライザはカヴァーである一般人を装う。そこへ、自身のテストを終えたアリスが近寄ってきた。


アリス:「慣れないうちは、エフェクト使うのも一苦労だよなぁですわ」

立花 千代(GM):「アリスさんもありがとう。お陰様でいつもより上手く力を使えたと思う」

アリス:「なぁに、いいってことよ。ですわ」

立花 千代(GM):「さっきは2人共凄かったね。私より力も動きもよかった」

アリス:「内部進学組のオーヴァードは、ある程度 R C レネゲイドコントロールにも慣れてるからな。ですわ」

ライザ:「……ありがとうございます」


 大したことはないと答えるアリスに、ほんの僅か、いつもよりぎこちない笑顔を浮かべるライザ。そんな2人の様子を見てから、千代はふと上を仰ぎ見る。その瞳には空の澄んだ蒼が映り込んでいた。


立花 千代(GM):「……ランク、高ければいいな」


ライザ:「——そうですね」

 そんな彼女の独白にもならない独り言に、他愛のない言葉を投げかける。しかし、脳裏では千代の実力を淡々と測る自分ライザが居る。

「(生まれ持った環境というのは、どこまでも残酷だ)」

「(彼女の目標は、このままだと……)」

 そんな考えの先まで至ってから、それを放棄した。


アリス:おぉぅ……(顔を覆う図)

ライザ:だって、先程の描写からするとこれは……。

GM:さて、なんのことかな。


 では3人が思うままに休んでいるところへ、一人の男子生徒が声をかけて近寄ってくる。聳城 亮だ。肩へ袈裟懸けさがけにクーラーボックスをかけ、中にはよく冷えたスポーツドリンクが詰め込まれている。


聳城 亮(GM):「早乙女さん、そして2人共お疲れ様。ドリンクを配ってるから1本ずつどうぞ」

アリス:「りりり、亮さん! わざわざありがとうですわ。一口ずつ大切に飲むからな! ですわ!」 突然の想い人襲来に顔が真っ赤になるぜ! ですわ!

聳城 亮(GM):「あはは、熱中症には気を付けてね。あ、僕は聳城 亮。航空部に所属してる、皆と同じ1年生です。よろしくね」

ライザ:「ありがとうございます。僕は新入生のライザです。よろしくお願いします」

立花 千代(GM):「わざわざありがとう。私は立花 千代です」

聳城 亮(GM):「ライザさんに立花さんね、憶えたよ。ぁ、立花さんにはどうやってドリンクを渡せばいい? 僕が蓋を開ければいいかな」

 千代に腕が無い事を瞬時に気付き、どうして欲しいか問いかける。

「それとも、何か首に吊るせる器具を持ってこようか。このままだと厳しいよね」


 その様子に若干気まずそうな笑みを浮かべつつ、彼女は、

立花 千代(GM):「……いえ、お気遣いしてもらわなくても大丈夫です。1本戴きますね」

 意識をクーラーボックス内の1本に集中する。すると、浮き上がったドリンクの蓋が開けられて彼女の口元へと傾けられた。これはオルクスによる因子の遠隔操作だと判断できる。


立花 千代(GM):「ふぅ……こうやって一通りのことは自分できるから。美味しいです、ありがとう」

 お礼を述べつつ、ひとりでも出来るから気を使わなくて大丈夫と告げる。その様子に思い切って踏み込んだのは、アリスの方だった。

アリス:「成程……その、聞くか悩んだんだけど……腕は事故か何かで、ですわ?」

立花 千代(GM):「いえ、これは生まれつき。この世に生を受けた時から私は腕が無くて、オーヴァードに覚醒してやっとひとりで物事がこなせるようになったんです」

アリス:「そうだったのか……ですわ。ごめん、軽々しく訊くことじゃなかったなですわ」

立花 千代(GM):「ううん、気にしないで。こういう理由で、私は例外的に日常でのエフェクト使用が認められてるから、遠かれ早かれ訊かれることですし」

 気負わないで自分の事を聞いてくれる存在であるアリスに笑みを返した所で、次いで口を開いたのは亮だった。

聳城 亮(GM):「……頑張ってるんだ。凄いね」

立花 千代(GM):「うん。でも、またこれだと見た目的にも引かれちゃうこと多いし、もっと頑張らないと」


ライザ:「…………僕も先程から、訊くかどうか悩んでいることがあるんですけれど、いいでしょうか」

 わざと深刻そうな表情を浮かべるライザ。どうしたのだろうと3人分の視線がライザへと集中する。

 「実は……」


立花 千代(GM):「じ、実は?」

アリス:「(随分と真剣な表情だな、ですわ)」

聳城 亮(GM):「……(ゴクリ)」



ライザ:「…………アリスさんの口調、独特じゃないですか?」 深刻そうな声音で口にし、言い終わってから頰を緩ませる。



 緊張した空気から一変。いの一番に耐えられなかったのは……。

立花 千代(GM):「——うん、私もそれ、思ってた」 笑いを堪えた表情で疑問を告げる千代。


聳城 亮(GM):「あはは。なんだ、凄い深刻な話なのかと思った」

アリス:「……そそそ、そんなことねぇですわー(棒)」

ライザ:「ふふっ、驚かせてすみません。少しだけ気になったものですから」

聳城 亮(GM):「早乙女さんはいつもこんな感じなんだよ。彼女のことを知らない人には驚かれることもしばしばあるみたい」

アリス:「く、口癖なんだよ言わせんな恥ずかしい! ですわ!」

ライザ:「そうでしたか、それは失礼しました」 笑顔で頭を下げます。

アリス:「まあ、慣れてやってくれ……ですわ!」 開き直って胸を張る!


 顔を赤くしながら反撃するアリスに、口調についての説明をする亮。話のベクトルは千代から既に離れていた。彼女はひとしきり笑ったあと、瞳に浮かぶ涙を肩の布で拭う。


立花 千代(GM):「ふふっ、あはは。なんか可笑しいね」


ライザ:「(確かに、今後の学園生活の為にコミュニケーションを円滑にするのは重要事項だ)」

「(……とはいえ何故、自分は"苛立っている"?)」

 脳裏で働かせる別の思考に引っかかったのは、小さな疑問の棘。思考し尽くしてひとつの仮説に辿り着くも、ライザは敢えてそれを放棄した。


 心からの笑みを浮かべるメンバーたちと、そこに何となくの居心地の良さを感じるライザ。

 少年少女たちは休憩時間が終わるまで、思い思いの談笑を楽しむのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る