OP2-2:新たな旅立ち

GM:というのが、君が彼女から任務を受けた時のことになる。

ライザ:なるほど、そして今は学園島に向かっている最中、ということですか。

GM:そうなるね。君は甲板にいるわけだが、これも人が少なく話しかけられることも極力避けられるという理由からになる。

アリス:潮風を受けて甲板に佇むイケメン……絵になるなぁ。

ライザ:そうですね。イケメンは何をやっても絵になります(暴論)

アリス:(爆笑の嵐)


 ——しかし、ここで予想外の来客が現れる。


???(GM):「……うん? あれ、先客がいたんだ。あなたも学生ですか?」

 学生服を着込んだ黒髪黒眼。風に吹かれる髪はサラサラで、首元辺りで綺麗にそろえられた幼顔の少女が顔を出す。

ライザ:「こんなところに珍しいですね」「ええ、学生です。もしかして貴女も?」予想外の事態にも柔和な笑顔を崩しません。

立花 千代(GM):「だったら私と一緒だね。はじめまして、私は立花千代。好きに呼んで」


GM:君の返答に得心がいったようにひとつ頷いた後、そう自己紹介する立花千代と名乗る少女。顔立ちは整っているものの、これといった特徴にかける千代だったが、君の瞳にはある特異な光景が映る。

 彼女の腕に当たる部分の布が海風ではためいているのだ。それも両腕。

 君は持ち前の認識能力から、彼女には腕がないことが見て取れるだろう。


GM:というわけで彼女がPC1のシナリオロイスになっている立花千代になるよ。

ライザ:わかりました。了解です。

アリス:ハンドアウトに書かれてる子ですな。


ライザ:「(……服装の中に腕を隠しているとは考えにくい。ということは、彼女は──)」

「初めまして、千代さん。僕のことは、ライザとでも呼んでください」

立花 千代(GM):「ライザ君ね、うんよろしく」そこで彼女は君の視線が一瞬両の腕にそそがれた事に気付く。

「あ、これ? 気にしないで……というのは難しいだろうけど、あまり意識しないでくれると嬉しいな」

ライザ:「……不躾な視線を送りすみませんでした。以後、気をつけますね」

 申し訳なさそうな表情を浮かべたライザ。しかし、脳裏では全く別の思考を瞬時に走らせる。

「(僅かな視線移動だった筈だ。それでも気付かれてしまった。そこから考えられる可能性は……)」

「(なるほど。道理で甲板に出てくるわけだ)」


 これはノイマンシンドロームが得手とする分割思考能力。イージーエフェクトの《完全演技》を取得しているライザの得意分野だ。


立花 千代(GM):「大丈夫だから、気にしないで。これは生まれつきで、事故とかで欠損した訳でもないから」

「……あっ、ごめんなさい、こんな話。聞いてても面白くなかったでしょう。忘れて」

ライザ:「では忘れることにします」


 その言葉に一笑してお礼を述べ、千代は話題を切り替える。

立花 千代(GM):「そういえば、ライザ君はどうしてアカデミアに?」

ライザ:「僕ですか? それこそ面白くもない話でして」少し照れたような表情を作り、あらかじめ用意していたレパートリーから最も適切な回答を引き出す。

「ふとしたキッカケでオーヴァードになってしまいまして。そこをUGNさんに保護してもらう形だったんですよ」


アリス:イケメンの照れ顔はポイント高いですよ!


立花 千代(GM):「そうなんだ、格好いいからてっきりモデルか何かかと思ったけど、違うの?」

ライザ:「まさか。でもお褒めに預かり光栄です」彼女の近くへ歩み寄り、わざと大振りな、執事のような礼をしてみせる。


GM:ライザに向けた目を一瞬見開き、後に笑顔を浮かべる千代。


立花 千代(GM):「ふふっ、面白い人。到着まではもう少し時間があるか。ねぇ、変な事聞いてもいいかな」

ライザ:「ふふっ、我ながら変でしたね。変な事、ですか。もちろんいいですよ」

立花 千代(GM)「ありがと。……ライザ君は、何か人生の"目標"ってある?」

ライザ:「目標……実のところ、場当たり的なことばかりだったので。千代さんは、何か持っているんですか」

GM:その問い返しに千代は数秒の沈黙の後、口を開く。


立花 千代(GM):「私は……腕が欲しい、かな」


ライザ:その言葉に、今度はライザの目が僅かに見開かれる。


立花 千代:「これね、肩から先がなくて義手を作るのが難しいから何もつけてないの。でも、能力のランクが高ければ私のブラックドッグの能力を応用した義手が作れるかもってUGNの人が」


ライザ:「──凄いね」小さく、口の中で呟く。その声は潮の音で掻き消え、千代の耳には届かない。

立花 千代(GM):「だから、私はアカデミアに行くんだ。そこで専用の手を作るのが、私の"目標"かな」

ライザ:「じゃあ、千代さんは目標のためにアカデミアに向かってるんですね」

立花 千代(GM):「うんっ。だから楽しみなんだ、学生生活もアカデミアも」


 未来へ思いを馳せ、千代は笑みを浮かべる。その花のような笑顔を、目を細めて、眩しそうに笑うライザ。


アリス:千代ちゃん良い子だなぁ。幸せになってほしい。

GM:……(なんともいえぬ表情)

アリス:おいGMこっち見ろよ。

GM:♪~♪~


ライザ:「(神経が鋭敏になるほど辛い思いをしたのだろう。それでも生まれを克服しようと、あがいているのか)」

「……その目標、叶うといいですね」


立花 千代(GM):「うん、ありがとう。お互い、いい学生生活になればいいね」


 不意に口をついて出た応援の言葉に、彼女が心からの笑みを浮かべたままライザへお礼を述べたところで、到着時刻が近づく事を知らせる汽笛が鳴り響く。千代もライザも、そろそろ下船の準備を始めなければならない。


立花 千代(GM):「ぁ、そろそろ時間だね。お話に付き合ってくれてありがとう」

ライザ:「いいえ、こちらこそ有意義な時間でした」

立花 千代(GM):「それじゃ、また船を降りた後でね」揺れる船に重心が乱されぬように彼女は甲板から降りてゆく。


ライザ:「ええ。いつか、また」



 うっすらと見えてきたUGNの楽園アカデミアを眺め、感情の伺えぬ表情のまま甲板を後にする。


 ここから、自分ライザは偽りの学生生活を始めるのだ。 



ライザ:既に取得済みですが、改めて宣言します。立花千代に、P:尊敬とN:劣等感でロイスを。ポジティブを表で取得します。

アリス:積極的なロイス活用、いいね。

ライザ:ありがとうございます。せっかくのシステムですからね。

GM:うん、了解だよ。いいロイスだと思います。しかし、尊敬か……推奨感情とは離れてるようだけど、どんな心情なの?

ライザ:あぁ、それは……恐らくですが、ここで明かさない方が面白いものになると思います。

GM:……君、本当に初心者?

ライザ:霧さんもご存じですが、紛れもなく初心者ですね。

アリス:恐ろしい程の順応性だ……。


 さて、ここからどうシナリオが転がっていくかな……。

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