ミドル3:届かぬ想い
ミドル3:届かぬ想い(シーンプレイヤー:ライザ)
ライザ&アリス:シーンイン!(ライザ:出目2:侵蝕43→45)(アリス:出目4:侵蝕56→60)
アリス:わーいダイスボーナスだー(棒)
GM:侵蝕差が15か……(苦笑)
カルペ・ディエムの介入宣言の翌日。新入生たちは朝から100m走、シャトルラン、反復横跳びといった体力測定に勤しんでいた。現在の自分を知ることも大事なことの一つであるからだ。
しかし、いつどのタイミングでディオゲネスクラブの介入があるかも分からない為、クラスそれぞれに風紀委員と番長連による監視がつくことになった。結果、偶然か必然か、ライザのいる班に派遣されてきたのはアリスであった。
ところが、危惧していた介入はなく、体力測定は大きな問題なく無事に進んでいく。しかし、ここでライザにひとつ問題が。
ライザ:あ……(察し)
走り幅跳びを跳ぶたび、100mを走り切るたび、上体起こしをするたび、……妙に自分へ向けられる視線が多いのだ。主に女性から。
女子生徒たち(GM):「「やだ、イケメン……///」」
そこはかとない居心地の悪さを感じた君は、知り合いであるアリスや千代の傍へ寄って行くことにする。
アリス:大問題だ。イケメンだもんね、仕方ないね。
ライザ:そうですね。イケメンですから、仕方ないです()
GM:そうだよ。仕方ないんだよ()
ライザ:「(……視線が多い)」
アリス:「なんつーか、大変そうだな……ですわ」
ライザ:「いえ、好意を向けられているわけですので、それほどでは」 少し照れたような表情を浮かべておきます。
立花 千代(GM):「本当、やりづらそうだった。……でも凄いね、ライザ君運動もできるんだ」
ライザ:「多少程度ですが、運動は得意な方なんですよ」
GM:多少(白兵10)
アリス:っょぃ
ライザ:ふふ。バッジのお陰で白兵技能値は0まで下げられてますからね。
ライザ:「とはいえ……流石に、少しやりづらいのは確かですね」
ちらりと女性陣を見やり、少し困ったような表情を浮かべる。
女子生徒たち(GM):「キャー! こっち! こっち見たわー!」「ちょっと困った顔もイケメンー!!」
そんなライザの心境とは関係なく、その一挙手一投足にまで黄色い歓声が上がるから困ったものだ。と、ここで測定担当の教員からクラス全員に声が掛けられる。
教員(GM):「おーい、この前のランクテストの結果が出たぞ。名前を呼ばれた奴から取りにこーい。相沢ー」
ライザやアリス、千代もその結果用紙を受け取った。アリスはAランク、ライザは勿論狙い通りのCランク。バッジが無ければ一体どうなっていたのやら……といった心境だろう。
学生たち(GM):「おーい、お前どうだった?」「B。お前は?」「ふっ、聞いて驚け……CⅡだ」
「「なんでそれでドヤ顔!?」」
他の学生たちは互いの結果を見せ合い、あちこちから
ライザ:「(ローザ・バスカヴィルの采配は正しかったようだ。とはいえ——)」
ちらり、と千代に視線を送る。
立花 千代(GM):「…………」
アリス:「えーと、千代さん……ですわ?」 恐る恐る呼びかける。
立花 千代(GM):「……ぁ、えっと何?」
さっと用紙を隠す千代。その対応から、ランクに関しては触れて欲しくない話題であることは明白だった。
アリス:「いや、その……調子が悪そうに見えたんで、つい。ですわ」
立花 千代(GM):「そ、そう? 私はいつも通り、だよ。うん、いつも通り。でもありがとう、アリスさん」
アリス:「……そっか。それならいいんだけどな、ですわ」
アリス:控えめに言ってお辛いよぅ……。
ライザ:「……」 千代の様子にそっと目を伏せ、今の彼女への最適解へ思考を奔らせる。
そこから導き出した答え——GMにとってそれは、とても予想外なものだった。
ライザ:「千代さん、アリスさん。体力測定も終わってますし、飲み物を買いに3人で内緒で抜けませんか?」
立花 千代(GM):「え? でも、見つかったら怒られちゃうよ?」
アリス:「番長の前で授業をフケるとはいい度胸してるぜですわ……」
その提案に、動揺と苦笑で応じる2人。しかし、ライザは折れない。
ライザ:「ふふ。番長がいるから言い訳はなんとでもできますよ。でしょう?」
アリス:「……しょーがねぇなぁですわ。ま、2人がいいなら、ちょっとくらい付き合ってもいいぜですわ」
立花 千代(GM):「で、でも……良いのかなぁ」 嫌というわけではなさそうだが、少し躊躇しているようだ。
ライザ:「丁度喉が渇いていたところなんですよ。僕の勝手な都合ですから、2人分くらいなら奢りますし、着いて来ては貰えませんか」
千代は『授業をサボる』という一点において罪悪感を感じてしまう性分である。だが、それを想定しないライザではない。
春とはいえ昼前の強い日差しが降り注いでいる。運動もした後のことだ、水分不足で熱中症になっては堪らない。そう理由付けをすることで、彼女をサボりという罪悪感から解放した。
立花 千代(GM):「……じゃあ、お言葉に甘えようかな」
ライザ:「決まりですね。……内緒ですよ?」
人差し指を立て、いたずらっぽく笑みかける。それを見つめる千代の頬は日差しと運動後のためだろうか、若干の朱が入っていた。
こうして3人はこっそり教員の目を盗んで場所を移す。そこは自動販売機と建物の立地から、ちょっとした秘密話ができると新入生たちの間でも密かな人気のスポットだ。
思い思いの飲み物をゲットした3人は、コンクリートの段差に腰を落ち着かせる。
立花 千代(GM):「それにしても意外だったな。ライザ君はもっと真面目な人なのかと思ってた」
宙に浮いたペットボトルに口を付け、スポーツドリンクをコクリと可愛らしく飲み下す千代に、
アリス:「(ごっきゅごっきゅ)っぷはぁ! 確かにですわ」
腰に手を当てて豪快にコーラを飲み干しきるアリス。なんとも対照的な光景だ。
ライザ:「真面目な時もありますが、不真面目な時もあります。一辺倒だと疲れてしまいますからね」 その光景に優しく微笑み、コーヒー缶を傾ける。
立花 千代(GM):「気の抜き方が上手いんだね。私、こういうちょっと悪いことするの初めてだから新鮮」
ライザ:「ふふ、お褒めに預かり光栄です。真似してみてもいいですよ?」
アリス:「こらこら、ですわ」
番長の目前でサボりに勧誘。その言動を咎めつつ楽しげな苦笑を浮かべるアリス。緊張がほぐれたのか、笑いを堪える千代の表情からは先程までの空気は霧散していた。
水分補給という体のいいサボり。張り詰めていた千代にはこれ以上にない程にベストマッチな選択であったのだろう。
GM:というかアリス。君、飲み方がとても凄く漢らしいですね??????
アリス:ははは、そんなわけねーだろですわー。
しかし……運動も気遣いも出来るイケメンとか控えめに言って神やん……。
GM:流石はイケメンだ……。まさにパーフェクトコミュニケーション。
立花 千代(GM):「あははは。なんかおっかし」 そこでふと、彼女の目は遠くの空を捉える。
「……普通って皆こんな感じだったのかな。楽しいお話して、悪い事もして、日々を過ごしてたのかな」
ライザ:「……ええ。おそらくは」
片手でちびりとコーヒーを飲む。確約はできない。偽りの身分で過ごしてきた自分には、普通なんて到底望むべくもなかったから。
アリス:「…………」
千代が捉える空の遥か彼方に、一筋の飛行機雲がかかる。
立花 千代(GM):「……いいなぁ」
16年。それは立花 千代として過ごしてきた月日の数字。ポツリと零した一言に、哀愁、憧れ、妬み……それらの感情が集約されていた。
ライザ:また、コーヒーを口に付ける。特有の苦味と酸味が、口の中いっぱいに広がっていく。
立花 千代(GM):「……ねぇ、少し私の話をしてもいいかな」
先程の張り詰めるような空気とは異なる、やるせない雰囲気が彼女を包む。
ライザ:「……もちろん。聞かせてくれるのなら」
アリス:「ああ。聞かせてくれですわ」
ありがとう。その一言の後に紡がれるのは、立花 千代が歩んできた人生そのものだった。
立花 千代(GM):「——私ね、こうしてオーヴァードになるまで、両親に頼りっきりの生活だったの。当たり前だよね、両腕が無いんだもの」
「その時点で、人並みの幸せな生活は送れないって分かってた。だから、私は夢を見る事をやめたんだ」
恨めしそうに、あるべきものが収まる筈であった運動服の袖を見やる千代を、ライザは正視できずに視線を落とす。その表情は、あまりにも痛々し過ぎた。
立花 千代(GM):「だって、"夢"は伸ばす手があって初めて掴み取れるものでしょ? でも、私にはその資格も、手すらなかった。そもそもスタート地点に立てなかった」
「だからね、私はその代用として"目標"を掲げて生きてきたの」
アリス:「千代さん……」
立花 千代(GM):「だから、オーヴァードになれて良かったと思うんだ。お母さんやお父さんと一緒じゃなくても、こうしてひとりで生活ができるから」
「——でも難しいね。"普通"になるのって」
ライザ:「……ええ。"普通"ほど、難しいものはない」
彼女のその一言に、ほんの少しだけ、手元のコーヒー缶に力が籠る。その様子に、少しの沈黙を置いてから千代はこう問うた。
立花 千代(GM):「ライザ君も、普通に憧れる事ってあるの?」
ライザ:その言葉に、我に返る。咄嗟に誤魔化そうとしても、それを口に出せない。だから、
「——ありますよ。僕も」 こう、返してしまった。
立花 千代(GM):「——意外」 その一言に、千代は目をほんの少し開かせる。
「ちょっと言い方悪いけど、色々持ってる超人さんなんだって思ってた」
ライザ:「ふふっ、まさか。僕が持ってないものなんて、いくらでもありますよ」
そう笑いかける。努めていつもと同じ顔で。いつも通り。いつも通りの筈だ。
なのに、その笑顔はどこかぎこちない。ふと太陽が雲に隠れ、その表情に影が落ちる。
アリス:「……その、なんつったら良いのか、よく分かんないけど……ですわ」
「話してくれて——話を聞けてよかったって、そう思う、ですわ」
俯いてしまった顔を大きく上げる。いつまでも下を向いているなんて自分には似合わない。
「だから、いつかそのうち、私の秘密も話してやるぜですわ!」
左手を胸に当て、堂々と。自信に満ちた表情で宣言されたその秘密暴露宣告に、励まされていたのだと気付く。
立花 千代(GM):「ありがとう、ライザ君、アリスさ——」
謝辞の言葉を紡ぎ終わるその刹那、君たちは周囲の雰囲気が変わるのを感じ取った。
GM:君たちはよく知っている。この独特な雰囲気は《ワーディング》によるものだ。抜けてきた体力測定場所が発生源だと直感的に判断できる。
アリス:「ッ、これは——」
ライザ:「(ワーディング……!)2人はここに居てください!」 すぐに走り出す。
アリス:「いやいや、ここは番長である私が——ってああもう、議論の時間が惜しい、全員で行くぞ! ですわ!」
立花 千代(GM):「う、うんっ。私も!」
3人は《ワーディング》の発生源に向けて駆けていく。その後ろ姿を屋上から見守る影がひとつ。彼女の周囲には変わらず芳しい花の香りが漂っていた。
カルペ・ディエム(GM):「さて、UGNの"メリアパート"……お手並みを拝見させてもらうわね」
彼女は意地悪く、いじらしそうに君たちを見送るのだった。
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