シーン7:姿はなく

シーン7:姿はなく(シーンプレイヤー:ライザ)


GM:ここでは全員の登場を推奨するよ。それではシーンインをどうぞ

ライザ:シーンイン!(出目10:侵蝕79→89)

アリス:シーンイン!(出目2:侵蝕80→82)


アリス:ライザ……?

アリス:千代さんの話を聞いて途端に熱くなりましたね。

GM:昂ぶってるね。それでは描写に移ろうか。


 千代が失踪してから一夜明けたが、結局彼女の姿は見つからないまま、遂に新入生歓迎会が始まる時間となってしまった。各サークルが個性と熱意を凝らした出し物を披露する中、新入生たちのボルテージは最高潮に達しつつある。

 しかし、亮を含めた君たちはそんな雰囲気に馴染めずにいた。航空部のアピールタイムが近づく中、亮がふと口を開く。


聳城 亮(GM):「……2人共、今日立花さんの姿見た?」

アリス:「見てねぇな、ですわ……」

ライザ:「いえ、僕もあれ以来は一度も……(何か、何か探すための手段は……)」脳裏で思考を走らせつつも、伏目がちに呟く。

聳城 亮(GM):「……立花さん、どうしてあんなにも"夢"に拘ったんだろう。ライザ君や早乙女さんは何か知らない?」


 伝えるべきか否か。僅かな逡巡の後、ライザは彼に伝えることにした。彼女の苦悩を、彼女の絶望を。


ライザ:「……彼女にとって、"夢"は遙かに遠い存在なんですよ」

聳城 亮(GM):「遠い存在……。それって、腕が無いのが起因してるの?」

ライザ:「えぇ。"夢を掴む"という表現の通り、掴むための腕が無ければ掴みようがない。つまり、自分には夢を追う資格すらないのだと……そう、千代さんは考えているようでした」

アリス:「…………」


 思わず黙り込む一同。皆が千代のように腕を無くしているわけではない。彼女の苦悩を想像することはできても、その心に抱える苦しみの代弁など出来る筈もなかった。しかし、それでも……。


聳城 亮(GM):「でも、それってさ……」


 彼はそれでもと言い続ける。彼女の奥底に秘めたる願い。それを強く感じ取っていたのは亮だった。


聳城 亮(GM):「立花さんが、誰よりも夢を追いたいって証明だよね。悔しい、悲しいって感情が生まれるのは、それをまだ諦めきれてない証拠だよ」

アリス:「そうだな……彼女にとって夢ってのは、きっととても眩しいものなんだろうな。ですわ」

ライザ:「…………えぇ、だからこそ——」


 "生まれ持った素質が枷になる"。そう口にしそうになるも、口を一文字にして堪える。それは、彼女への侮辱に当たるから。


ライザ:「だからこそ、探さないといけないですね。千代さんの行方を」

聳城 亮(GM):「うん、探そう。ギリギリまで!」

アリス:「……だな。このまま放っちゃおけねぇですわ」

ライザ:「決まりですね。ですが——」


 そこで傍らにそびえ立つ、一対の翼を持った飛行機を見上げた。これには、彼の"夢"が詰まっている。自分の力で空を飛んで見せると意気込み、皆で完成まで漕ぎ着けた航空部の"夢の結晶"。


ライザ:「コレを空に飛ばせることも、諦めるわけにはいきません」

聳城 亮(GM):「え?」

ライザ:「名前もまだないですが、コレにも果たすべき役割となにより——」

「亮さんの夢でもあるのでしょう?」

アリス:「友達を探す。飛行機を飛ばす。どっちもやらなきゃいけないのが、ノブレス番長の辛い所だな。ですわ!」


 暗に千代の捜索を任せろと買って出る2人の姿に、亮には申し訳なさの表情が浮き出た。自身の利益だけでは決して動かない。それが彼の美点であるが、ここは彼の背中を押すべきだろう。彼のためにも、そして何よりもここに居ない千代のためにもだ。


アリス:「千代さんに、友達の夢まで諦めさせる気か。ですわ?」

ライザ:「えぇ。そうなればきっと、互いにずっと距離を置き続けることになりますよ」

アリス:「私たちが彼女を見つけて、きっとなんとかしてみせる。だから亮さんも、夢を諦めないでほしい。ですわ」


「(だって、私はそんな亮さんが……)」 これ以上は言えない。これは、もっと大事な時まで取っておくべき気持ちだ。


聳城 亮(GM):「……分かった。ありがとう2人共っ! きっとこいつを、空に羽ばたかせてみせる。その光景を立花さんにも届けてみせるよ」

「"夢"はそんなに遠い存在じゃないんだってことを、こいつと証明してみせる!」

アリス:「おう、その意気だ。ですわ!」 ニッと笑ってみせるぜ。ですわ!


ライザ:ではここで聳城 亮さんにロイスを結びます。感情はP:誠意/N:劣等感。ポジティブが表です。

GM:はい、勿論了承します。


ライザ:「必ず、千代さんに届けてください。それがきっと、彼女の——」

「(希望になってくれるでしょうから)」 優しく笑いかける。


GM:さて、それではそろそろ事態を動かそうと思うけど、調達ややっておきたいことはないかな?

アリス:あ、それなら取り敢えずライザに『スニーキングスーツ』を渡しておきます。好きに使ってくれ。

ライザ:ありがとうございます。装備しておきますね

GM:OK。それではライザから調達の希望があれば宣言とロールをお願いね。


 ここでライザは『パイルバンカー』を、アリスは『ジェットスーツ』の調達に挑戦し、アリスのエフェクトによる支援の甲斐あって無事に成功した。(アリス:侵蝕82→84)


GM:そういえばアリス。素直な疑問だけど、どうして『ジェットスーツ』を調達したの? GMからは特に推奨等はしてなかった筈だけど。

アリス:いや、描写に使えるかも? と思ってね。

GM:成程ね!(ふむ……これはちょっと面白いことになってきたかもしれない)


 GMはPLに悟られぬように愉悦な笑みを浮かべつつも、物語を次の段階に進めるのだった。


GM:さて、それでは亮は飛行機の最終チェックでここに残ることになったので、君たち2人で千代を探してもらおう。

 だが、闇雲に探すというのは骨が折れる作業だ。目撃情報なり根気が必要になってくるだろう。以下の判定に挑戦してみて欲しい。


■判定:千代を探し出せ

└技能:意志 or 情報:アカデミア 難易度:10

└成功しなかった場合はシーンを区切り、同じ判定に挑戦してもらう。イージーエフェクト等の進言があれば検討します。


ライザ:GMさんGMさん。これは確認なんですが《光と闇の眼》でボーナスが付いたりなどは……しませんよね?


 説明しよう! 《光と闇の眼》とは隠密状態の対象をメジャーアクションの対象にできるというエフェクトだ。そのフレーバーテキストとして、『視覚を強化し、隠れているものを見つけ出す』との一文がある。ライザのPLであるリコリスさんはそこに目をつけたのだ。


GM:成程。厳密にいうと隠密状態ではないけれど……今回は面白そうだから採用してみようか。固定値のボーナスに+2を差し上げよう!

ライザ:やったっ! ありがとうございます!

アリス:ナイスッ!

ライザ:では先に意志で判定してみますね。達成値は(コロコロ)……さ、30ですね。

(尚、目標値は10。実に必要値の3倍だ)

アリス:( ゜д゜)?

GM:なんという鋼メンタル……。成功だ。文句のつけようがない。

ライザ:通常の3倍のメンタルしてました。

アリス:っょぃ。


GM:ではライザ。君は根気よく千代を探し、遂にその影を発見することに成功した。問題が無ければここで一度シーンを切るけど、大丈夫かな?

アリス:OKだよ。

ライザ:構いません。

GM:よろしい。それではシーンを切ろう。お疲れ様!

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