#14 解決方法を探る


 回復薬を作製するのにどうしても必要な聖水を使う以上、値段と重さなどの課題をクリアすることが出来ない。

 どうすればよいか煮詰まってアイデアが出てこないので、他の人の意見を聞きに行くことにした。


■■■


「エルラーさん、何か良いアイデアはないかな?」


「そうだな、魔結晶のように結晶化してしまえばいいんじゃないかな?」


「それは考えて試してみたけど、まず飲みにくいのと効果が上手く発揮されなかったんだよ」


「そうか……うーん難しいな」


 エルラーと一緒に考えてみるもなかなか良いアイデアが出てこない。


「なら濃度を極限まで高めてみてはどうですか?」


「うわっ! ヒソネさんいつからそこに!?」


 話しかけられて初めての後ろにヒソネが立っていることに気付いた。


「あーあ、たまにアダムスがヒソネをここに寄越すようになったんだよ。ハヤトがいなくなっても、ちゃんと働いているか確認したいんだとよ」


「へぇーそうなんだ。……じゃなくて何だって?」


 驚き過ぎてヒソネの発言を忘れてしまった。


「だから成分を極限まで濃縮してみればいいのでは? 濃度が上がればそれだけ服用しなければいけない量も減るのでは?」


「そりゃあそうだろうけど、そんなこと出来るのか?」


「まぁ確かに抽出作業を繰り返し行ってれば出来なくは無いのかな」


 塩田の塩作りのように、何度も何度も繰り返し作業を繰り返し濃度を濃くしていけば出来るかもしれない。


「ヒソネさん、ありがとう! ちょっと試してみるよ!」


 薬をつくる作業場に戻り早速、濃厚エキスを作製してみることにした。


■■■


 濃縮した回復しの作製方法は至って簡単だ。

 聖水で薬草の成分を抽出した後に、抽出された薬草を濾し、この作業を繰り返し行って濃度を高めていく。

 まだ飽和状態になる薬草の量が分からないのでこれでもかというぐらいに繰り返した。

 こうして抽出した濃縮エキスを作り出した。その後の回復薬としての調整は普通の回復薬の作り方と同じように行った。


「どうだ?」


 ソーラスの怒りを買って、頬を腫らしたコスタに確かめて貰う。


「これは……凄い、1滴しか使ってないのに治ったぞ!」


「ということは?」


「成功だ! これは間違いなく回復薬として使える。それに回復薬の一回分に使う聖水の量を減らせるから値段も押さえられる!」


「やった! これでスリスリの作業から解放されるな!」


「ああ、間違いない。これならソーラスの回復薬より優れてるから文句を言えないだろう」


「よし、そうと分かったら適切な分量とかを確かめていこう!」


 スリスリから解放される希望が見えてきたのでやる気に満ち溢れながら作業を続けていった。

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