#29 助けてくれたのは……
ハヤトが盛大に転けたことで不審者扱いされた3人は拘置部屋に入れられている。
持ち物を取り上げられ幾つかの質問をされたが自分達から弁明の機械を求めることも出来ないので、ひたすら判断が下されるまで待っている。
しかしその判断が下される前に誰かが訪ねてくる。
■■■
「これらを君たちが作ったって聞いたけど本当かい?」
入ってきたのは銀髪でスラッとした長身の若い男性だが見覚えは無い。聖騎士団の人らしくないラフな格好をしている。そして手元には売れ残っていた回復薬がある。
「えっと、あなたは?」
「ああすまない自己紹介が遅れたね。私はヒエラ・アトゥムスで一応は聖騎士団の一員だよ。それでどうなんだい?」
「ええそうですそれは僕たちが作りましたが、それがどうかしたのですか?」
「いや見たことのないアイテムだったから興味が出てね。他にはどんなものを作ったりしてるんだい?」
「えっと、それを聞いてどうするんですか?」
「うーん、別にどうもしないよ。ただの興味本位さ」
話して良いものかエルラーとヒソネの方を見るが、構わないと頷かれる。聖騎士団に嘘をつく方が不味いのかもしれない。それならばと話すことにする。
「量産型の剣とか、あとはまだ試作段階なんですが魔石を生成して作った魔結晶を使った魔道具とか魔剣とかですかね」
「へぇー、それは面白そうだね! 魔結晶を……その実物は無いのかい?」
「流石にここには無いです。というよりまだ世に出していないので秘密ですから口外はしないで貰えますか?」
「ああ大丈夫大丈夫。こう見えても口は硬いからね。それでどこにその魔剣はあるのかな?」
信用ならないのだが、流石にそうは言えない。
「それはうちの商会に行けば置いてありますが、それを聞いてどうするんですか?」
「そうかなら見に行こう! ほら早くこんな所に居ても時間のムダムダ!」
「ええ!?」
突然のことで状況を上手く飲み込めないが、魔剣に興味を持ったアトゥムスに手を引かれ部屋の外に引っ張り出され、エルラーとヒソネも後を付いてくる。
しかし解放する許可を得ている訳では無いみたいで、部屋の外で見張っていた見張りの衛兵に止められる。
「ちょっ、アトゥムスさん待ってください! 勝手なことをされると困りますよ!」
「ええー、いいじゃないか硬いこと言うなよ」
ハヤトら三人は茅の外で、何やら交渉をしている。
「で、君たちは一体何をしたんだい?」
「いや、それは……」
拘留されるに至った理由をアトゥムスに話す。
「そっか、それぐらいなら大丈夫でしょ! 僕なんてもっと色々とやらかしてるからね、昨日も団長に散々怒られたし」
「いや怒られたら駄目でしょ! 僕たちを巻き込まないで下さいよ」
「まぁまぁ、なら団長に直接聞きに行けばいい。それなら問題ないでしょ?」
衛兵もしぶしぶ了承し、流石に不味いのではとハヤトが断っても無理やり手を引っ張られて連れていかれる。
ひ弱なハヤトがバリバリ最前線で戦うような聖騎士団員に力で勝てるわけないので、為す術無く聖騎士団長のいるという部屋にまで連れていかれることになった。
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