#19 剣の量産方法を思案する
ハヤトとエルラーは剣の量産方法を考える為に、そしてその監視の為にヒソネが鉱石の製錬所がある町にやって来た。
アダムスに『これも勉強だからついでに色々と売ってこい』と商品を持たされた召喚勇者の面影もないハヤトである。
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「おやっさん! 元気してるか!?」
「なんだエルラーの坊主じゃねぇか! 今日はどうしたんだ? ってなんだそいつら?」
「はじめまして、ラーカス商会に新たに入りましたハヤトと言います」
「私はヒソネです。もうこれで会うのは3度目なのですが……」
「おっとそっちの嬢ちゃんはそうだったな。影が薄くてどうも忘れてしまうんだ。でそっちの坊主は新入りだって?」
「ええ新入りなので色々と勉強させて頂いていて、今日は製錬所を見学出来ないかなと思ってやって来ました」
「そうかそうか、ワシの名はエギルだ。まぁエルラーの所の新入りなら苦労が絶えんだろ?」
「おい、それはどういう意味だよ!」
「その無駄にプライド高い所だよ。 もっと妥協すれば良いものを『品質の悪い剣は剣じゃねぇ!』と直ぐに啖呵を切るから秘密に仲間内で評判は良くないぞ」
「ふん、そんなのクソみたいな剣を売ってるのが悪いんだよ」
「これが悪い例だからハヤトとやらは真似をするんじゃないぞ」
「おいおい、それはあんまりだぜおやっさん!」
和やかに雑談しながら受け入れて貰えたので、この後は製錬作業を見させて貰った。
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「どうだハヤト。何か良いアイデアは浮かんだか?」
「うーんそうだな……インゴットの形を最初から剣の形に近いものにするのはどうだ? それも鈴なりで作ればかなり量産出来そうじゃないか?」
「それだと品質が全く伴わないんじゃないか?」
「流石に最後の鍛錬は自分達でやるからある程度は質を維持できると思うぞ? それに量産体制が整えられれば何か別の金属を混ぜても価格が押さえられるから、そこの工夫しだいでなんとかならないかな?」
「うーん。つまり鍛錬は最小限にしながらも合金を使うことで質を保ちたいということか……」
「難しいかな?」
「まぁ色々と試しに作ってみよう。おやっさん協力してくれるよな?」
「協力はしたいが、それは方法が確立してからにしてくれんか? お前さんらに場所を占拠されたら商売にならんでな」
「それもそうだな。ならさっさと帰るか」
踵を返し出口に向かい帰ろうとするのだが襟元を捕まれる。
「やっぱり?」
「もちろんです。頼まれた仕事は果たして下さい」
やはり商品を売ってお金を稼がないと帰れないみたいだ。
■■■
色々と商品を売っていく中でやはり一番売れ行きが良いのは丸薬の回復薬だった。
物珍しさと、アプレルの町で売り出された噂を知っている人たちがこぞって買っていった。
液体の回復薬だと傷口にかけると治るけどこれだと出来ないなと言われたので、軟膏の回復薬を作るべきだと分かった。
実際にお客を相手にすることで次の商品へのアイデアを得られるということをアダムスは教えようとしてくれたのだろうか?
商品の大半を売り切ったところでヒソネから帰る許可を貰えたので、アプレルの町への帰路についた。
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