第2章 回復薬(1)
#11 魔法薬を知る
魔道具を作製をしたかったのだが、そのための原料となる魔石の質に拘るためにはお金がまったく足らない。
そのため、お金を稼ぐために他の商品を作製し金策に走ることになった。
■■■
「アダムスさん、そう言えば商会長ってどこにいるんですか? 僕を召喚した時もそれらしい人が見当たらなかったのですが?」
「あーあ、それは追々だな。今は何処にいるか分からんのだ」
「どういうことですか?」
「放浪癖があって直ぐにいなくなるんだ。それなのにたまに帰ってきてはお金になる案件をもって帰ってくるからクビにもできやしない」
「そう言えば僕を召喚する方法を教えてくれたという魔術師も商会長が連れてきたのでしたね」
「そうだ。ぐでんぐでんに酔っぱらって帰って来たと思ったら、いきなり『勇者を召喚するぞ!』と言い出したから大騒ぎになってな。その挙げ句召喚されたのは戦えない勇者という」
「いやー、ははは。それで僕はこれから何をすればいいんですか?」
話がおかしな方向に流れそうだったので、今日の本題に話を変える。雑談しながらアダムスに連れてこられた場所は変な乾燥した草とかがぶら下がっている部屋だったので何となくは想像がつくが。
「……私は専門外なんでね、それはあそこにいる彼女に聞いてくれ。それでは私は仕事に戻るよ」
「はい」
アダムスが帰っていったのを確認してからこちらにやってきた女性は見た目からしてザ・ファンタジーの魔女という感じの格好で、雰囲気はあるのだが胸の大きなお姉さんなのでコスプレにしか見えない。
「初めまして、私は薬師のソーラスだよ、よろしくね」
ハグをされるのだが、やわらかくて大きいモノに押し当てられて息が出来ないので腕をタップする。
「ぶはぁー、殺す気ですか!」
「あら、ごめんなさいね。君みたいな若い男の子が入ってくるなんて久しぶりだから浮かれちゃった」
「えっとお姉さんは何歳なんですか?」
「もう、女の人に歳を聞いたら駄目なんだよ!」
「すみません」
謝っていると、間に男性が割り込んできて話掛けられる。
「見た目に騙されるんじゃねぇぞ、あいつは38
歳でお姉さんって歳じゃねぇよ」
「へぇーそうなんですね……いや女性は年齢ではないかなーなんて」
男の後ろでソーラスが般若の形相をしているので慌ててフォローをする。
それに気付いた男はあわてて逃げ出した。、
「コスタ……あとでお仕置きだから覚えておきなさいよ」
「さっきの人、コスタさんですか? 彼は何をしている人ですか?」
「ここのスタッフの一員でお調子モノだから、彼を真似したら駄目よ!」
「はぁそうなんですね。それで僕はここで何をすれば?」
「ああ、そうだったわね。分かってると思うけど、ここは薬を作る場所で冒険者向けに回復薬とか解毒薬とか作ってるの。あなたにもそれを作ってもらいたいんだけど、幾ら調合スキルが高くても間違った薬草を使ってもキチンとした効果は出ないからまずはお勉強よ」
「勉強ですか? 一体どんなことを学べば」
「どんな薬草があって、どういう組み合わせをすれば効果を得られるかを学んでもらいたいんだけど、もう文字は読めるのかな?」
「少しは読めるようになりました。魔道具を作るために色々と勉強していますからね」
「そうなのね。なら色々と勉強していけばスキル[薬草鑑定]を身に付けられるから直ぐに薬草を見分けられるようになるわよ」
「分かりました。頑張りましょう」
体を動かすことは苦手だが、勉強は嫌いではない。むしろゲーム用語を覚えるのは得意な方だ。
なので数日を掛けて薬草について学ぶことになった。
ちなみにスキル[薬草鑑定]は身に付けられて、アイコンのように薬草の名前が見えるようになったのだが、頑張ってもなかなかスキルのレベルは簡単には上がることはなかった。
やはり[職人の心得EX]は生産系のスキルに限定して発揮されるらしい。
なので地道に薬草に関することを地道に覚えていくのであった。
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