#23 剣は使い捨て?
ワーウルフ討伐のをするために商会で装備を揃えて、町の外に出た。
武器は量産型の剣は全て売りに出したということもあるが、切れ味はともかくダメージ量が加護を付与してある聖剣の方がまだ上なので聖剣を使用することにした。
防具一式は以前に準備してもらったものを使用するのだが、商会が抱えていた在庫だったとはいえ値段を聞くとだいたい金貨50枚ということだ。
アダムスに値段を聞いたが最後、『戦闘要員として働くのであれば経費でしたが、そうではないので買い取りをしてくださいよ』と言われてしまった。
まだ給料を貰ったこともなくお金が有るわけではないので、今後の給料から天引きされることになった。
■■■
町の外に出るとワーウルフを討伐しようとする冒険者がちらほら見受けられる。
怪我をしている人もいるので補充した回復薬を売りながら話を聞く。
先程は単なる商人の格好だったので話を聞こうとすると、『分かったような口を聞くんじゃねぇ!』とか『そういって高い防具を売り付けるつもりか!』とキレられたが、今は冒険者の体を成しているので警戒されずに聞ける。
「討伐は順調なんですか?」
「ああ、町のすぐ近くにいたやつはあらかた片付けた。だがまだ群れで森の奥に隠れていやがるから厄介なんだ」
「お兄さん達はもうかなり倒してきた感じですか?」
「まぁな。ほら見ろよ!」
袋に入れられた魔石を見せてくれる。
だが目がいくのはそこではなくやはり武器や装備のの消耗具合に目がいく。
「凄いですね。ですがやっぱり武器もかなり消耗してしまっていますね」
「まぁな。結構前に買った剣だしそろそろ買い換えようかと考えている所だな」
「そうなんですね。剣は修復させたりはしないんですか?」
研ぎ直すだけでもまだまだ使えるぐらいなので、まだ買いなおす必要は無いのではと思い聞く。
「はっは! こんな普通の剣ではそんなサービスしてくれないよ。じゃあ回復薬助かったよ!」
「いえ、お互いに頑張ってワーウルフを倒しましょう」
ということで道すがらに出会った冒険者と別れたのだが、剣を研がないのがどういうことなのかエルラーに聞いた。
■■■□□□
ざっくりと言うと剣などの武器には製作者の名前が入ったようなものと、製作者が誰かが分からないようなものに別けられる。
基本的には剣の修復は作製者が行うのが一般的で、他人の剣を下手に修復すると特性が変わる可能性もあるが何より不具合が発生し弁償を求められる可能性があるからだ。
それに修復を劣化させずに行う為には剣のランクは勿論、製作者の鍛冶スキルと同等もしくはそれ以上のスキルランクが必要となるので修復には当然費用も多くかかる。
その為、銘の無い剣は基本的には使い古して廃棄するそうだ。
ということは自分達がせっかく作った量産型の剣も使い捨てされるということだ。
■■■□□□
「これを商売に出来ないかな?」
「えっどういうことですか?」
「まだまだ研ぐだけで使えるのに捨てるのは勿体無いでしょ。流石に他の人の作った剣は保証しかねるけど、自分達の作った剣は、いくら量産型とはいえ保証したいんだよ」
「ですがそれでは新しく剣を買って貰えないことになって、逆効果ではないですかね?」
「そうだぞハヤト、そんなことしてたら人手が更に足らなくなるぞ?」
「確かに普通の剣ならそうかも知れないけど、僕たちの剣はメッキ部分をやり直すだけで良いから、一から研ぎ直す必要無いし楽だと思うんだよ」
「確かにな……でも値段はそれなりに取らないと駄目だし、客がつくのか?」
「品質完全保証で、何かあれば新品に取り換えるといえば信用されるからいけるんじゃないかな? それに量産型の良いところである違いがないとこを活かして、その場で他のリサイクル剣と交換したら待ち時間無しで直ぐに戦いに戻れるだろ?」
「確かにそれなら、多くの人を惹き付けられるかもしれませんね。それに気軽に交換してもらえてむしろ利益が出るかもしれませんね」
「そうでしょ! なら……」
早速帰って準備しようとするのだが、ヒソネに止められる。
「やっぱり?」
「ええ、それは討伐を終えてからです」
始めての戦闘で殺されかけたので、若干ワーウルフに対してトラウマを持ってしまったので、やっぱり帰ろうと思ったのだがそうはいかないみたいだ。
「わかりましたよ……では行きますか」
ということでようやくワーウルフの討伐に向かう個とにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます