第18話 ニート、勉強する 3
時々、無性にいたずらをしてしまいたくなる。
これが、ネコの
我輩というネコは、なんと自分に従順なネコであろうか。
と惚れ惚れしながら、今、
ダッダッダッ!
と疾走しているのである。
賢明な読者ネコ諸君は、もうお気づきかと思うが。
次に我輩は、鬼ごっこなるニンゲンの遊びを楽しんでいるのである。
「待てッ! 今日という今日は、霊長類の恐ろしさを叩きつけてやる!」
そして、いじらしいことに、
ニートは体から心まで、鬼を演じてくれているわけだ。
そう、
顔を真っ赤にし、垂れた下腹を見せつけ、両手にボロボロの紙束を持ち、
ドスッドスッドスッ!
と、迫真の演技で追いかけてくる。
我輩も心得たもので、あまりに遠くまで突き放してしまうと、
鬼のやる気を損ねてしまう可能性があるため、
あと少し、そうだにゃ…、シメサバふた切れ分ほどの間隔を維持するのだ。
そして、近づきすぎたと思ったら、
小回りのきく体で、台所のテーブルの下などに潜るのである。
無論、鬼の体は大きく、小回りどころか、大回りがやっとのために、
あと少しで我輩を捕まえられるところまで来ても
するりと逃げられてしまう。
ニートとネコの鬼ごっこを演じている内に、
次第に、次第に、
鬼もイライラが募り、ムカムカメラメラしてきたようである。
ずっと足を大股にして、
ドーン! ドーン! ドーン!
と我輩を追いかけてくるようになった。
まるで、クマが川魚を追い立てているような光景である。
秋になると、夕方のテレビで時々放映されているのを、
我輩はしっかりとチェックしているのにゃ。(特に水産系を)
かくいう我輩は、日頃の運動不足のせいもあってか、
次第にペースは乱れてきて、
たったったっ。
と、必死に回らない4足を回そうと努力する。
台所を抜け、コタツの周りを何周も走っていく内に、
とうとう息が切れ始めてしまったためだ。
健気にも奮戦努力する我輩の背中に、
鬼は
「馬鹿め、自然界は頭が良いものが生き残るのだ」
と、勝ち誇った声で宣言してきた。
にゃんと!
まさか、我輩の方が遊ばれていたというのか。
最初は、もちろん、我輩の思惑通りにコトが進んでいたはずだ。
走るペースが落ち始めた頃から、このニートは、
ない知恵を絞りに絞って、ようやく
我輩を適度に追いかけ、疲れさせるように仕向けたのだ。
しかし、捕まってしまえば、
ご飯抜きでは済まされない。
せっかく、気持ちよく
紙をむしゃむしゃにしてやったのに、
なぜしょっぴかれなくてはならないのにゃ。
我輩は、走りつつ、必死に頭を回転させ、
一つ、よき解決策を導き出すのである。
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