第12話 ニート、涙する 2

依然として、我輩の開いた口は塞がらない。


そんなことはいざ知らず、二人を巻き込んだゴングが鳴り響く。


「妹だって、バイトをしていないではないか!?」


「学校の校則で、したくてもできないんだよッ!」


ダンッ!


「僕だって、何度かしようかした! したけれど、あちらさんがダメだと言うのなら諦めるしかあるまい!」


「何度かッて…何回か言ってみろよ!?」


ダンッ!


「何回か…」


ちょん、ちょん。


「ちげぇよ!? 回数を聞いてるんだよ!?」


ガスッ。


「えっと…、じゅ、じゅっかい…」


「本当だな?」


ジロリ。


「…すみません、盛りました。5回です…」


「…おいッ」


ゴスッ。


「ひいいぃぃ! さん! いや、二回です! 二回!」


「じゃあ、三回だな」


ギロッ。


「へ?」


キョトン。


「今から、行ってこい」


ギラり。


「ど、ど、ど、ど、どこに」


わたわた。


「ハロワ」


どんっ。


「はんッ」


ダッ。


ガスッ。


「グフッ…」


「追い出されるか、行くか、好きな方を選ばせてあげるよ、オニイチャン?」


ドサッ。


「……タエガタキヲタエ、シノビガタキヲシノビ…」


ポロポロ。


ドスッ、ドスッ…。


”にゃ…”


ようやく我輩の口が、塞がった。

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