読みにくい。と感じれば、それは健康な証拠ですらある。他人に敢えて推めはしないが、健常な人が狂気の片鱗を正気のまま味わいたければ、悪くない心象風景の仮想体験でもある。まるでゴンドラに揺られて順路を巡るテーマパークのアトラクションのような、極めてよくできた狂気の物語である。そして、きちんと物語は最後まで手を引いて読者を案内してくれる。全く力量を感じるばかりの至れり尽くせりの物語である。
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