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中間報告

　クランケは自分の話していることを認識しているが、それは著しく現実から乖離しており、こちらから提示する情報を理解することが出来ていない。

　クランケの精神衛生上問題が存在し、個別の結論を錯誤する危険性はクランケの情報追求においては当てはまらない。

　人格水準の低下は見られないが、感情は非常に過敏でありこちら側の質疑に対し極めて暴力的に反応する。一方で発汗や動悸の激しさなどの身体的疾患も定期的に発生し、酷い鬱状態に陥ることもある。目はうつろで焦点は合っておらず、こちらからの呼びかけに対しても虚空を見つめている。

　自身の想像している自己と現実に起こっている自己と著しい遊離が見られ、そのことに対してクランケは疑問を抱かない。自我の単一性は保全しているがその保全は崩壊した状態で保全されている。そしてそのことに心悸感を抱かなかった。

　しかし定期的な薬物投与の結果、クランケに一時的な改善が見られた。喪失していた現実感を回復させ、妄想していた世界からの脱却を果たしたのである。

　これからは薬物療法に合わせて心理療法を取り入れることにする。

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