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輝流が出ていってから数分後、俺は後を追って風呂場へと向かった。
浴室の中から聞こえるシャワーの音。
そっと入口を開けて中に入る。
「ごめんな」
後ろからぎゅっと抱きしめる。
ベッドの上とは違い、水に濡れた肌が合わさるのは、また違う心地良さがある。
「んなら、陸人のも噛んでいい?」
「……いやだ」
ちっと舌打ちをして、俺の方を振り返った輝流は、
「しかも、こんなにも痕つけて…
見えるとこまでするのは、ルール違反」
首元と鎖骨に一つずつついた痕を、そう言いながらゆっくりと撫でた。
不意に鳴った、無機質な音楽がお風呂が湧いたことを告げる。
シャワーを止め、湯船に浸かり、
「一緒に入んないの?」
出ていこうとした輝流に声をかけ、
おいで。
と、足を開き腕を広げて場所を作る。
「電気、消す」
家のあいだから少しだけ入る、昼間の太陽の光だけでは、ほんのり明るくなるだけで、電気をつけて明るい時より、
逆にエロさを感じてしまう。
頭の上で作られた団子。
襟足に残る少しの髪が、輝流の身体に沿う。
一緒に入るのなんか久々で、少し緊張しているのか俺との間に少しの距離がある。
「次、いつ親、帰ってくるの?」
俺の両親は海外での仕事をメインにしており、
1年のほとんどを向こうで過ごしていた。
「多分、夏前には一回帰ってくると思う」
「女の子、連れ込みたい放題だね」
顔は見えないが、ふふっと笑って肩が揺れた。
輝流のお腹に回した腕で、俺の方に引き寄せ、
首筋に、吸い付く。
優しく、強く。
「家には、輝流以外は入れたことない」
ゆっくりと唇を離し、ぎゅっと抱きしめた。
「あっそ」
信じてないよ。か、どうでもいいよ。
の意味の言葉は、少し震えて聞こえた気がした。
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