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「で、なに?」

あれからなかなか花純が離れてくれなくて、

やっと離れたのはもう14時を回っていた。

今日は、始業式だけだったのでそれが終わり家に帰る途中にいつのも場所へと集まった。

少し古びた落ち着いた喫茶店。

カウンターには白髪混じりの髪をオールバックにし、ブラウンのベストを着たおじさんがカップを拭いていた。

「あの日…あの後ちゃんとあの男と切れたのか?」

喫茶店には不似合いな私たち。

それでも優しい、コーヒーの豆の香りと聴いたことのない音楽が心地よかった。

「ありがとう…大丈夫だよ」

そっと頬に触れた陸人の手が優しく撫でる。

あの日の痛みなんて、もう忘れた。

「輝流……」

陸人の心配そうな視線から目をそらす。

「珍しいね、名前で呼ぶの」

少し熱くなった頬が、なんだか恥ずかしい…

「なんで、俺だけのもんにならないんだよ」

ゆっくりと唇をなぞる指。

「…よく言うよ。彼女、いるくせに」

今すぐにでも払い除けたい衝動と、少しでも触れていて欲しい想いが。

交差する。




陸人とは、高校生になってからの付き合いだった。


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