11
「で?
なんで彼と別れることになったんだよ?」
陸人の声で、現実に戻される。
「別れる?元から付き合ってなかったけど」
頬と唇に触れていた手は、今はもう離れコーヒーの入ったカップを持ち上げていた。
「でも、やる事はやったんだろ?」
少し苦かったのか、角砂糖を足しスプーンでゆっくりと混ぜる。
「してないよ」
その手がピタッと止まり、
「嘘つくなよ」
カチャンと受け皿に置かれた。
「うん、嘘。したよ。
でも、よくなかった」
「よくなかったって…相手、いくつだよ?」
「26」
「26?!10歳も下のヤツによく手ぇだしたな!」
「陸人、あんた人の事言えないじゃん」
「………」
陸人は、来るもの拒まず。去るもの追わず。
最近は30過ぎた女の人ともしてるって知ってる。
「彼女は、同級生なのにね」
今の彼女は、1年の冬から付き合いだした、他校の女の子だった。
「レナは純粋な子だからね」
そう言って嫌な笑い方をする。
「どうせ、嘘ついてもバレないからラクだって思ってるんでしょ?」
…嫌なヤツ。
「何言ってんだよ。
俺はレナを愛してる。からな」
「はいはい」
アホらし。と思いながら、目の前のミックスジュースを口に含む。
「で?このあと、来るだろ?」
俺の家。
その言葉に喉がキュッとなった。
「さっきの言葉は、なんだったの?」
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