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「なぁ、リンダ、知らね?」

私よりも20cm以上も高い、大野 陸人(りくと)は、少し苛立った声で話しかけてきた。

「知らない」

“リンダ”とは、輝流のこと。

苗字が、林田だから、林をリンと読んで、リンダ。

誰が呼び始めたかも忘れてしまったが、いつの間にか、輝流はそう呼ばれるようになった。

「探して。俺、用があるから」

「電話すれば?」

「出ないんだよ!」

…いつもの事。

輝流は気まぐれで、あまり人を寄せ付けたがらない。

でも、私は特別。そう、自分では思ってる。

私の電話には出てくれる。

「もぉ。しょうがないなぁ」

携帯を取り出し、

♡ひかる♡

という文字をタップ。

1回目のコール、2回目、3回目…4回…

「……出ない…」

いつも、私の電話には出てくれるのに、全く出る気配がない。

「なんで?!」

陸人のシャツをつかみ、引っ張る。

「いや、わかんねぇよ」

さっきまで苛立ったはずの声が、困った声に変わった。

「私も探す!」

私は、特別。じゃないの?!







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