4
明るいアッシュがかった髪が、太陽にすけて風になびく。
そっと手を近づけて、ゆっくりと触れると、
するりと俺の指のあいだをすり抜けて行った。
「リンダ」
声をかけられた本人は、めんどくさそうに俺を振り返る。
「なに?」
声の主は、リンダではなく、その隣でリンダに腕を回し、さっきまで俺と一緒に捜していた花純だった。
「いや、花純には用はない」
「リンダも陸人には用はないって!」
組んだ腕にぎゅっと力をいれて俺を睨んで来る。
まるで、俺にリンダを取られたくないように。
「で?なに?」
睨み合う俺らに興味なさげに、リンダが言った。
「いや、電話したけど出なかったから」
「電話?」
ゴソゴソとスカートのポケットに手を入れ携帯を取り出し確認した。
「ホントだ…花純からも…」
で?
と、言われ、会話に困る。
花純いる前で、できる話とできない話があるからだ。
「こないだの、話。
どうなったか、最後まで聞いてやれなかっただろ?」
だから…
と言いかけたところで、
「こないだってなに?!」
花純が割って入ってきた。
「いや、えっと…」
話につまづく俺に、
「学校の帰りに子猫を見つけたんだけど、私の家じゃ飼えないから、誰かいない?っていう話だったの」
スラスラと言葉の出るリンダ。
「私、聞いてない…」
ムッと膨れる花純に、
「花純の家は無理でしょ?」
と、諭すように優しく微笑むリンダに少しゾクッとした。
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