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「おはよう、輝流」

隣の席の美優が朝から美しい笑顔を見せる。

「おはよ、みゅー」

背筋を伸ばし綺麗な姿勢。

丸メガネに負けないくらい丸々で可愛い瞳にぷっくりとした唇。

「ちゅーしたくなるね」

頬杖をついてじっくり美優の顔を見る。

「えっ?!いきなりなに?!」

突然の事に驚いたのか、顔を真っ赤にしてあたふたしている。

「みゅーが、可愛い。って事」

その言葉にさらに顔が赤くなる。

からかっているわけじゃないんだけど、からかいたくなる。

「誰が可愛いって?」

後ろから陸人が声をかけた。

「大野くん、おはよう」

「おはよ、美優ちゃん」

いい子ちゃん陸人は、にこにこしながら私の机に腰掛ける。

「みゅーが、可愛いって話してたの」

「みゅー?その言い方、いいね。

俺もそう呼んでいい?」

「だめ。そう呼んでいいのは、私だけ」

美優の方を向き、ニコッと笑う。

それにつられて笑った美優が、やっぱり美しかった。

「リンダのケチ!

ホントだね!美優ちゃん、可愛い!

笑うともっと可愛いね!」

言葉ではそんなことを言いつつ、

私の髪の毛に触れる手から、興味が無いのが伝わる。


あの日からの陸人は、少しおかしい。

今まで、囲まれていた女の子達と少し距離をとっているように感じる。

他校の彼女とも別れたって、誰かが言っていたなような…


なにかあったのだろうか…

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