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学校のすぐ側にある海。
碧く透き通ってキラキラしている。
教室の窓からは運動場を隔てて少ししか見えないが、ついつい見てしまう。
黒板には、意味のわからない数字が羅列している。
数学の岩田先生の目が教科書と黒板を往復する。
少し老いた風貌に、枯れた声。
優しい口元のおじいちゃん先生とみんなに好かれていた。
ブブブッ。
制服のポケットの中にある携帯か震えた。
〝アイツ、誰?〟
差出人は陸人。
〝あいつ?〟
一体誰のことを言っているのだろうか。
〝保健室にいた、黒髪のおっさん〟
さっきまで保健室でいつものように寝ていたなが、私が目覚めた時にはもう悠は、いなかった。
代わりに陸人がいたので、その時にでもあったのだろう。
〝小野寺先生の友達の三神さんって人だと思うよ〟
この答えに、陸人の返事はなかった。
〝今日、帰り一緒に帰ろうぜ〟
あの時以来の誘いに、少し心が戸惑う。
〝予定、なかったらね〟
兄の顔が頭に浮かんだ。
家族が大事だから。と彼女と別れた兄に余計な負担をかけたくなかった。
…元、彼女が浮気してたのも原因だけど。
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