※ ペンギン描けますか?——犬?キツネ?ラッコ?

 私は、絵を描くのが好きだ———。


 否、好きなだけで、上手いとは言ってないぞ、そこんとこ聞き違えるなよッ。

 元々、なんかを創造することに憧れチックなとこがあって、クリエイターって呼ばれる人たちは全て羨望だ。だから、よせばいいのに、挑戦したくなる。


 若い頃はギター片手に作曲とかやったな。ギターはそこそこ弾けるようになったが、左の小指が腱鞘炎みたくなって、やめた。で、歌などはそれこそ人に聞かすようなもんじゃない。「絶対音感」どころか、「絶対歌うな」と怒られる。


 で、次は、絵だ。

 かの、親父(博打大好きな俺のオヤジ)は絵がうまかった。よって、俺にもその血が流れているはずだと勘違いしたんだろうな。いやいや、その前に、小学校四年の時だったか、市のコンクールで「佳作」というショボいが一応「賞」というものを獲っちゃったから、妙な自信とプライドがあったのかもしれない。


 世の中がパソコン時代になって、Macとかオシャレなパソコンが出てきて、んでもってクリエーターさんはこれをカッコよく使いこなしてるのを見て、自分も始めたわけだ。それまでは、スケッチブックに水彩画をちょろちょろ、と描いていたが、何といってもコンピューター画面でペンタブレットを使って描きたかったのだ。


 で、なんかおかしいぞ———と、気づいた。


 さては、俺って、デッサン力、皆無ゼロか?


 それまでは風景画とか描いていたので、遠近法とかなんとかある程度勉強すれば描けた。けど、その時だって、なんか微妙にスケールがおかしかったのは知っていたが、気づかないフリをしていたのかもしれない。

 だけど、「絵師」って言われる人たちみたいな、あんなオシャレな画を描きたくて、やりましたよ、何枚も描いた。


 で、私は、悟りました、完全にだ。


 オレ、オヤジの血流れてるんは博才だけやな、うん、まちげーねーし——。


 ある時、【ペンギン】を即興で描け、というお題があった。何も見ないで、1分以内で描けと。さて、困った。ペンギンはイメージできるけど、ペンギンの顔が思い出せない。ペンギンの羽みたいな手はイメージできるけど、どっから、どこまでが手なのか、わからない。足だってそう。足の指ってあったっけ?——とか。

 もう、こうなると、あかんね。


 で—————、出来上がったやつ。


 犬か? キツネか? らっこ? なにコレ?  おーまい、がぁー


 いや、その三つを微妙にミックスしたみたいな不思議な生き物が浮かび上がっておった。

 人に見せる前に、私は静かに筆を置くことにした。やんぴこんぴ、ムリ!


 そ、そうなんですよ、「絵師」と呼ばれる人には、「絶対デッサン力」があるんですよ。そりゃそれは訓練である程度うまくなるけど、「絶対音感」と同じで、


 ——え”? こうでしょ? 


 とか


 ——んと、言葉では説明できないよ〜、これが普通だって思ってるもん


 みたいな………、「普通」感、「あたりまえ」感、「できちゃうのよ」感

 ってのを、彼らは持ってるのに気づいた。


 そんなこんなで、私は描くのをやめた(まっ、文明の理機使って誤魔化しては今も細々とは描いてますけどね)


 みんなもやってみるといいよ。


 馬が、走ってるとこ!———

 犬を後ろから見たとこ!———


 そんなお題を即興で描いてみてください。普通に描けたら、アナタをクリエーターさんと羨望しますんで。


 けど、やっぱ、クリエーターさんの才能って、ほんと憧れるわ。自分にないもんある人は、達人か師匠か、親方か!ってくらいに尊敬しちゃいます。


 小説書くのも一緒やね。


 なに、この人、すっげぇーーって人いっぱいだし。

 やっぱね、凡人は凡人らしく、生きろってことですかね。

 ハイハイ、すんません、すんません。

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