※ 話を「盛る」——大阪人
大阪人の話は「盛り」だくさんだ————。
いやいや、「盛りだくさん」な「盛り」じゃなくて、「たくさん」盛った話だ、って意味である。
A地点で発信された「話」は終点の「D地点」にやって来た頃にはすでに十倍くらいの話、いや既に「本筋」からかなり脱線している場合が多い。
それは、「大阪人」じゃなくとも、あるある、な話だけど、なんせかんせ「話」に華麗なオチを求める大阪人としては「普通」に終わってはダメなのだ。とにかく、唸らせる——ことが使命と考えているのだから、自分とこに回ってきた「話」をいかに「加工」して磨き上げるかを心得ているのだ。でなきゃ、人に話してはいけない——とすら思っている節がある。
で、「話」の最後には必ず「知らんけど」という例の「無責任慣用句」で締めくくるを忘れない。
それって、無責任っていうか、聞いた人はガセネタ摑まされたもんじゃないの?——と、東の人々は眉を顰めて言うだろう。
いやいや、そんなのはどうでもいいのだ。「おもろい」ならいいのだ、大阪人にとっては。そもそも与太話みたいなもんを「額面」通りに受け止めるもんが悪いんよ——ってスタンスなのだ。
当の、大阪人も「話」を受け継いで次にバトンを渡す際には「暗黙の了解」で、それはあくまで「与太話」やで、鵜呑みすんのはアホの骨頂やでー、みたいなのがあるんです。
そんなですから、お気楽に「加工」して次に回す。そう「知らんけど」という責任放棄と一緒に。
——それ、めっちゃ話もってるやろ!
ってツッコミながらも、心の隅では「よっしゃ、もっと盛ったろっ」と思いつつ聞いているのだ。
それゆえに、「大阪人」の与太話っぽいのを聞いたら、夢々、全部真面目に聞いちゃダメですからね。真面目に聞いてたらエライ目にあいまっせ、いや、ほんま。
例えば、こうである——。
——P太郎って、ほんま女嫌いやな。イケメンやのにもったいないな
ってのが「A地点」での話とすれば……次の「B地点」ではこうなっている。
——P太郎、ってイケメンやけどほんまはゲイらしいで。この間、男と手繋いでナンバ(難波)歩いてんの見たやつおるらしいで、、、しかも
そしてそれが、「終点」の「D地点」に来たらこうなってた——
——P太郎って、ほんまはオネーちゃうかって話やで? この間、天王寺の「オカマ」BARでバイトしてんの目撃したやつおるらしいねん、、、夜な夜な女装して街歩いてるらしいで、、、知らんけど
——人は、見かけによらんもんやなぁー あぁ、怖っ!(ケラケラケラ)
栄太郎くんは、普通の男です。それもイケメンの。きっと妬み嫉みのすえこのように「加工」されて捨てられたんでしょう(笑)
あ”、この「与太話」も、かなり「盛って」ますから、、、まともに聞いたらあきませんで、いやほんま。知らんけど………
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