※ 聖地「花園」と「ふるさと」の色
大阪には高校球児の聖地が二つある————。
球児と言っても野球とラグビーであり、大阪といっても厳密に言えば「甲子園」は大阪ではなく「兵庫県」なのだけど。
(阪神タイガースの親会社が大阪であることゆえ甲子園=大阪というイメージなのかもしれないが、甲子園は兵庫県の宝であることは間違いない)
さて、甲子園は高校野球の「聖地」。それと並んで「花園」は高校ラグビーの「聖地」である。
私はこの「花園ラグビー場」の近くに小さい頃住んでいた。学校帰りには格好の遊び場(寄り道)だった。というのも、昔は隣接して「ミニゴルフ場」があったのだ。お客さんが失くしていったゴルフボールを拾って集めてよく遊んだ。「プロゴルファー猿」よろしく木で作ったゴルフクラブで勝手にコースでプレイしていたのだ。そう言うと、今やかなりの腕前のゴルファーのように聞こえるが決してそんな夢みたいな話はない。いまだにアベレージゴルファーなのは変わらない。
そんな「花園ラグビー場」は当時はさほどメジャーではなかった気がする。「聖地」などと呼ばれ出したのはかの京都の「伏見工業高校」が全国制覇するドリームドラマがテレビで放映された以後ではないかと記憶する。
全国では無名の「伏見工業高校」が不良ヤンキー高校生を擁して「全国制覇」しちゃった———っていうスポ根ドリーム物語である。
で、「花園」というのは最寄りの駅は近鉄「東花園」駅で、そこを降りて徒歩十五分くらいのところにあるのだが、昔は所在地自治体の「東大阪市」もまったくそれに対して力を入れてこなかったし「近鉄」もまたしかりである。(2015年までは近畿日本鉄道の所有だったのだ)
であるから、そこの住民であった小生にとってそこが「聖地」と呼ばれるにはあまりにもショぼすぎて恥ずかしい限りであった。
まったくもってラグビー観戦者へのサービス精神なんかは皆無で、スタジアムそのものも老朽化が進んでいたし、「聖地」と呼べるしろものでは絶対なかった。
ようやく2000年代に入った頃から、「近鉄」が重い腰を上げて、駅前を整備したり案内板やマスコットキャラクターなんかを作り始めた(東大阪市も同じく)。こうして今、毎年、冬のラグビーシーズンになると多くのラグビーファンに来場いただけるようになった。
それでもまだPRが足りない、工夫が足りない気がしてならない。まぁー日本のラグビーそのものがマイナーであったこともあるのだが、五郎丸が出て来た頃はラグビーにW杯があったんや———みたいな発見をしたくらいだから(笑)
それでも「東大阪市」に「聖地」があることを漸く大阪人として誇りに思えるようになった。
年末に日本に一時帰国した際には「高校ラグビー全国選手権」のテレビ放映があるんだけど、「花園」ラグビー場の映像が「生駒山」をバックに映し出されているのを観ると、なんだか小さい頃のことを思いしてしばしチャンネルを変えられずにいる。
あの頃「花園」で、ドライバーもアイアンもパターも一本の木で作ったゴルフクラブで無銭プレイをやっていたあの頃は遠い昔だけど———「花園」は私にとって「聖地」ではないけど「ふるさと」であることは間違いない。
蒲公英の黄色い花と青い生駒山の峰々、白い紋白蝶——私の「ふるさと」の色は「花園」にあった————。
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