※ ノシ———に関する、私の三年苦行譚

 ノシ———。



 私は、長くこの「記号」めいたもんに悩まされていた。

 コレを初めて目にした時、なんとリアクションしていいのか分からなかった。

 それまでは、ニコ動、とかネット掲示板とかで見たことはあったが、さして気にも留めなかったのだけど、さすがに自分宛に来たメールの最後にこれが付いてきたもんだから、さて困った。


 困ったなら——、普通、なんかで調べたり、聞けばいいものを、大した意味もなかろうと放置していたのだ。

 しかし、その後もこれを見るたびに私は「のし」と読んでいた。

 どっか、東北の方言に「なんちゃらじゃな 」の「もし」みたいなもんだろと無理やり自分に納得させていたフシがある。


 此処まで読んで頂いたネット猛者な読者さまなら


 ——なにを、しょぉーむない ネタで 引っ張っとんねん


 と、お叱りの言葉を頂きそうなもんだが、私にとって、どれほどこの「ノシ」に長年苦しめられてきたか、ってことを少しばかりご理解頂きたい。


 そう、調べればわかるのだ———。それはわかっている


 しかし、私にもネット歴20年余のプライドってものがあるのだ。最初に「www」を目撃した時もそうだった。なんとか、磨き続けて来たネット感覚で、これは「笑」を意味する「ネット語尾」なんだ——と、理解し得たがあるから、今回も出来るんだと自分に言い聞かせていたが、時は3年も過ぎてしまった。


 そう、私は、「ノシ」を初見してから3年もこれが意味するところを理解できないでいたのだ。

 今思えば、つまらないプライドで自分のボキャブラリー力向上の機会を逸してしまったものだと、失笑せざるを得ない。


 そして、ついに私は決意した。


 ——つまらん意地は捨てようぜ。学ぶことに恥はないぞ、おれッ


 そんな風に自分を奮い立たせて、震える指で「ググった」んですよ。

 そして、その意味を苦節3年にしてようやく理解できた時の、あの清々しい達成感は、言葉にできないものがあった。


 よって、私はみなさんに、敢えて言いたい———


 学ぶことに、貪欲であれ! 迷わず、ググれ、しからば道は開ける———と。





 ——おまえ、あほやろ


              ふふっ…… ノシ ノシ ノシ


(これ読んで、未だ「ノシ」を理解できない方。悪いことは言わんからググりなさいって、ほんまに。五日ぶりの便秘解消———みたいなん、あるから。)

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