第20話 真夜中に響く音……怪談?


 その夜は1人で遅くまでPCを使っていた。1階の奥に小さな書斎があり、そこで夢中になって書き物をしていた。


 「カチャリ」と静かに取っ手を下げる小さい音がした。


 はっと顔を上げた。


 時計を見ると夜中の3時だった。


 ドアがきいいいと少しだけ開いた。ノックをせずに入ってくるのはチャチャに決まっていた。


 ドアの方は死角になって見えなかったが、細く開いたドアからなにかがと入ってきた。


 猫だと思ってはいたが確かめなければやはり怖い。 立ち上がってドアの方に行くとなにもいない。


 「え?」


 どきどきしながら「チャチャ?」と呼んでみた。 チャチャしかドアを開けられないからコタローではないだろうと思った。


 ……返事がない。


 見回してもどこにもいない。


 チャチャならば、その場所ですぐに大股開きをしているはずだ。 暇になるとそれを見せに来るからだ。


 「え?チャチャ?違うの?」

じゃあなんだったの?


 が部屋にいる。ふうふうと静かな息遣いを感じる。 


 しんと静まり返った部屋にドキンドキンと心臓の音が響いていた。


その瞬間


 びいい~~ん びよょ~~~んと大きな大きな音が鳴り響いた。


 「わああああ!」腰が抜けるほど驚いた。


 あわてて後ろを振り抜くと壁に立てかけてあるギターから音がする。

ピッキングの大きな音だ。 


 びいいい~ん びよ~~ん



……なんとチャチャが(歯)でギターをひいていた。


 弦に触れないように後ろ向きに立てかけてあった。壁とギターの間に入っていて姿が見えなかったのだ。


 びよ~~~ん びよ~~~ん


 やってみたら音が出て面白かったのか、演奏は続いている。

しかし長い間チューニングをしていないギターは音程がめちゃ狂っていた。


……午前3時 家中に鳴り響く 音程が狂ったギターの音色。


 恐怖から一転しておかしくなりお腹をかかえて大爆笑してしまった。


 「ぎゃ~ははは」びよ~~~ん。「わ~っはっは」びょ~~ん。


 間奏も入り笑いは止まらない。ものすごくウルサイ。 私がだ。


なんでこんな面白いことを思いつくのだろうか? 思いつくというか、やってみたら音が出たおもしろい。という感じなのだろうか。


 こうなったらオルガンや太鼓とか、いろいろ試してみたくなる私もやっぱりチャチャに似ているのかもしれない。


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