第13話 猫達のルーツと猫好き中年オトコ
同じママンから生まれた5匹。 ママンは三毛猫だったという……
(ここまで本当、ここから妄想)
ダディーはLAのワル猫だ。きっとガタイも良かったに違いない。暴れん坊でしょっちゅうシャーシャー言う茶トラだったはずだ。LAのワルはおとなしく可愛いミケちゃんと恋に落ちた。ミケちゃんは
「あんなでかいワルと結婚はさせない」とメキシコお父さんは2匹を引き離し、赤ちゃんは里子に出されたのだった。(妄想終了)
まあ事実は分からないが、可愛い猫ちゃんと大きなのら猫は当たっていると思う。
生まれた5匹のうち一匹はミケちゃんだった。3匹のグレータビーの1匹は白が多いトラ白。もう2匹のうち顔が濃いほうがコタローだった。そして1匹だけ毛色の違う茶トラがチャチャである。
カップヌードルUSAの箱に入れられてきた5匹はものすごく小さかった。メキシコママは泣いていた。ミケちゃんに頬ずりするとスペイン語でなにかを囁いていた。 優しく育ててくれたに違いないと感謝した。なぜなら、その子達の中の一匹にするともう決めていたのだ。
顔立ちも模様も性別も関係なく、今日来た子猫をドネーションしようと決めていた。だってこれは(縁)なのだから。そう……
しかーし、カッコつけてみたもののずっと家族になるのだし、5匹もいる。やはり可愛い顔立ちや好みの模様をつい選んでしまう。 特に母と私は「この子が可愛いね~あ、でもこの子の模様はきれいじゃない?」と盛大に盛り上がった。サバトラ系が好きだったので3匹に集中していた。その中でもコタローの顔が好きで「この子がいいかも」と言うと里親会の人は抱っこさせてくれた。しかも夫の膝の上に。
夫はどちらかと言うと犬派だった。猫はあくまでも私の母のため。慣れないアメリカで喜んでもらいたいと言う気持ちだったのだ。
夫の膝の上で小さい声でニャンと泣いてあくびをして、スーッと寝てしまった。
はい、おとうたん、軍人終了の瞬間。
この日からただの子猫ラブラブ中年男に変身した。
「か、か、か、かわいい~~」と小さい声で言い(起こさないように)ずっと撫でていた。あんな表情はプロポーズの時だってしてくれなかった。子猫にハートを射抜かれた瞬間だった。起こしたくないからとずーっと抱っこしたまま。自分も抱っこしたい母は大変不満そうだった。
その後「ではこの子をお願いします」と言うと、なんとこの日は連れて帰れなかった。 生まれてから2ヶ月経たないと里子に出せないルールがあったのだ。
ちょうど後1週間。へびの生殺し。長い長い一週間が過ぎた。
私達夫婦と高校生だった息子と母の4人は鼻息も荒くお店へと駆け込んだ。
先週の日曜日に4匹アダプションが決まり、3匹はもう引き取られていた。
コタローはまたスースーと寝ていた。今度は茶トラの子猫と一緒に。チャチャは売れ残っていた。そしてこの後のことは(5話 LAで初めましての日)に書いたとおり夫が涙を浮かべてチャチャも我が家の子になったのだった。
思いがけず2匹。しかも全く考えていなかった茶トラの猫。 最初の日は困惑して好きになれるだろうかと考えたことさえあった。今では自分で信じられないほどの激愛溺愛ぶりだ。こんなに好きでいいの?どうするの? 考えただけで胸がいっぱいになる始末。実際にチャチャを抱きしめ好きすぎて泣いてしまうこともある。
そしてたいていなことは「大丈夫」と思えるようになった。
そう、猫がいれば、だいたいのことが大丈夫。どんな精神安定剤よりも効くのではないかと思う。悩んでいる日も悲しい日も、大股開いて寝ているチャチャや掃除機に猫パンチしているコタローを見ると、ぶっと吹いて「大丈夫だなあ」と思えるのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます