第29話 日米のクリスマスの違いとお手伝いさん
12月は忙しい。
先生も走っちゃうよと(師走)という言葉がある日本はもちろんのこと、アメリカも感謝祭(11月第4木曜日)からクリスマスの間はずっと忙しい。プレゼントや食材の買い出し、家族や友人を招いたり、そのための掃除もある。年に一度の一大イベントなのだ。
特にクリスマスは大事な日で大切さで言えば日本の元旦にあたると思う。
クリスマスが日本に伝わったのはなんと90年以上前の大正時代だという。少しづつ形を変えて昭和時代に国民に根付いていった。はじめに力を入れたのはカフェだそうで、次に洋菓子店がクリスマスにはケーキを、というのを定着させた。実はアメリカは特にケーキは食べないのだ。
そしてターキーがなかったからか(クリスマスにはチキンを!!)が定着した。ここでケンタッキーが(美味しいチキン)として定着していった。他の業界も黙ってはいない。クリスマスイブは恋人同士で過ごしましょう!高価なプレゼントを送りましょう!と騒ぎ出した(はず)本来アメリカは家族が集まる日で、ツリーの下に特に高価ではないプレゼントをたくさん置いて、25日の朝一斉に破いて開ける。全然恋人の日ではない。バレンタインデーも恋人の日ではないし、日本は商売上手だ。
アメリカのクリスマスの夕食はターキーかハムの丸焼きで、作るのに何時間もかかる。日本のケンタッキーのクリスマスが懐かしい。ちなみに「日本でのクリスマスディナーはケンタッキーなんだよ」言っても、アメリカ人に信じてもらえず必ず、かならず!大笑いされる。私はむしろ、クリスマスは紙バケツいっぱいのチキンにケーキのほうが良いなと思う。
しかし文化の違う国に嫁に来てしまったのだから、仕方がない。「さあ、やるか!」とエプロンの紐を締めようとすると「お、重い~!」そう、それは茶髪のお手伝いさんがぶら下がっているのだ。ホラーのようになってしまったけれど、もちろんチャチャさんだ。
そう、我が家にはものすごく働き者のお手伝いさんがいる。
いつも寝てばかりいるくせに、ニンゲンが忙しくなるととたんに張り切りだす。
まずはヒモに飛びついているお手伝いさんにお願いしてやめていただく。キッチンをパタパタ歩く度に足元にまとわりつく。「危ないよ、もう~」 キッチンは後にして2階を掃除しに行く。もちろんついてくる。というか走りながら足元をぐるっぐるまわる。やめて~。駆け上がったのに、また降りてくる。
2階の部屋全てついてきてはジャマ、いやお手伝いをする。どれほどのお手伝いかを説明しよう。
まずはベッドルーム。ベッドのシーツを剥がすやいなや……
●丸まったシーツに飛び込み、ケリケリして遊ぶ。
●そして剥がしたベッドのマットレスの上にドーンと乗る。
●新しいシーツをピーンと張る前にまず中へ入って走り回る。
●お願いして出ていただき、真っ白のシーツをパーンと敷き詰める…前に、もちろん飛び上がりその上をスキーのようにツツーーーっと滑る。
●楽しかったらしいのか、もう一回する。
●爪の跡がツツーーーっとついたりする。
●仕上げにベッドのはじっこでバリッバリ爪をとぐ。
ふっふっふ。お願いです。やめてくださいませ。
5分で終わるのに、15分位かかる。途中で笑っちゃって写真を撮ったりするからだ。お手伝いさんはキリキリしている私の気持をリラックスさせるために、わざとしているのだ(と思うことにした)
机の上や箪笥の上。もちろん飛び乗る。ものをどかすと落としくださる。本を整理する。本箱の上に飛び乗り、頭をチャイチャイしてくださる。
水拭きをしたところはもれなく毛が付いている。物を出して空っぽにしたキャビネットにはもれなく入る。
ついに禁句「お手伝いしないで~~」がでてしまう。
組みたて式の家具を買った時などは一番大変だ。新しいものが面白くてしょうがないらしい。こういう時はお父さんがYou don't have to help me(手伝わなくていいから~)と叫んでいる。息子の部屋からも「ヘルプやめてええ~~」が聞こえる。
働き者のお手伝いさんだ。
ネジ類は小さくて危ないので怒るけれど、危険ではないものを気に入った場合「じゃあ、あげるよ」と諦める場合も多い。キッチンの鍋つかみが大好きなのであげた。猫のおもちゃ箱にキッチンの鍋つかみが3個くらい入っている。おもちゃ箱から勝手に取っていって遊ぶので、時々床にぼろぼろになって捨てられている。
時々この鍋つかみを両手にはめて『さあ、来い!!』と遊ぶのだが、夫は『警察犬の訓練みたいだからやめて』と言っていた。これ以上猫達がたくましくなったら困るからだろうか?
猫に厳しいしつけをするつもりはないけれど(命の関わる危ないこと)だけは絶対にダメだ。そしてそれをよく守っているので、他のお手伝いは少しは良しとしようか。
すこしだけね。
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