第17話猫と暮らすようになって、変わったこと。旅行準備編  


 

 

 昔から猫が好きで、時々ネコの特集雑誌などは買っていた。


 それでも可愛いなと思うのは小さい子猫や特に顔が整っているようなネコだった。ブサ猫と呼ばれるひょうきんな猫の顔も好きだったけれど、おもしろいなと笑いながら、でも可愛いとは思えなかった。

 

 しかし、猫を飼いだしてからは汚くても、のらねこでも、捨て猫でも、もうなんでもかんでもかわいい。かわいくてたまらない。

 

これは子供が生まれてから、どこのどなたさまの赤ちゃんでも可愛く思えたのと同じ心境だろうと思う。

 

 うちの子(ネコ)かわいい。 よその子(ネコ)もかわいい。

 

 夫も息子も同じようで(面白い猫の動画)などをクスクスと笑いながら見ておる。そしてでかいニャンズに頬ずりしては「かわいいのよお~」と2オクターブくらい高い声で言う立派な変態さんだ。

 

 そんな猫バカ一家なので、旅行に行けなくなった。 

 

 3人で日本に行った時はペットホテルに預けた。預けるための条件は年に一回するワクチンを済ませていること。これは2匹で222ドル。約25000円。


そしてホテルは一匹20ドルで2匹で40ドル。この時は2週間以上の日程で40ドル✕18 720ドルだった。日本円で約7万9千円だ。ううう痛恨の一撃。 

 

 このお金を捻出するべく近くの空港ではなく5時間以上かかるシカゴまで車で行った。こうすることでオハイオからシカゴ行きの国内線代金を浮かせたのだった。

 

 ペットシッターという手もあった。こちらだと20ドルで一日一回餌とトイレ掃除に家に来てくれる。半額でも済む。 しかし、このペットホテルは数日よく預けるところでネコの扱いが信用できる。なので長期でもこちらにお世話になることになった。

 

 大変なのは連れて行く時だ。キャリーを見ると、その存在を忘れているコタローは中にはいって遊んだりするのだが、チャチャはぶっ飛んで逃げていく。追いかけ捕まえてキャリーに入れるまで30分は大格闘して、疲れ果ててしまう。おまけに布製のキャリーを使っているのだけど、入れてから中を転がして逃げていく。ハムスターの歯車の要領だ。

 

 ゴロンゴロンと転がって逃げていくキャリーを見つけて脱力の私達。旅行の始まりはいつもこれだ。さっさと入ったコタローは「あ、あれだ!」とやっと思い出しギャンギャンと鳴き始める。


 こういう時の声は猫の声ではなく、ぶんもう~ぶんもう~と牛のようなのだ。


 ぶんもう~ぶんもう~転がるキャリー、ゴロゴロゴロ 

ぶんもう~ぶんもう~ゴロゴロゴロ 


 修羅場だけどあまりの面白さに大笑いしてしまった。それでも汗だくで疲労困憊の私たちは、旅行に行く前から「やっぱりやめようか」と弱気になるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る