概要
存在するとは知覚可能なことである
ルイスの様相実在論によれば、我々の住んでいる世界の外側に、可能世界とよばれる別の世界が実際に存在するという。
本来、すべての可能世界は等価であるはず。ならば現実世界だけ真なる世界と確信するその根拠、あるいは可能世界の中からただ一つの現実世界を選び出すその仕方はなんだろうか……。
脳情報工学研究室に所属する城崎亮は、原因不明の精神疾患を抱えながらも、人工知能の研究開発に取り組んでいた。彼は自分が開発した電子頭脳モジュール『Avida』を搭載したヒューマノイド(アンドロイド)から、自分の病に関して、そして世界の構造に関する情報を断片的に受け取ることになる。
本来、すべての可能世界は等価であるはず。ならば現実世界だけ真なる世界と確信するその根拠、あるいは可能世界の中からただ一つの現実世界を選び出すその仕方はなんだろうか……。
脳情報工学研究室に所属する城崎亮は、原因不明の精神疾患を抱えながらも、人工知能の研究開発に取り組んでいた。彼は自分が開発した電子頭脳モジュール『Avida』を搭載したヒューマノイド(アンドロイド)から、自分の病に関して、そして世界の構造に関する情報を断片的に受け取ることになる。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!救うとか救えないとか可能性の問題じゃない、そうせずにはいられないんだよ
この世界は世界であって、たったひとつの世界ではない。
そして、知覚可能なものは真実である、そのある種の自覚は果たして本当に真実なのか。
自分が解釈してきた世界は、あなたが当たり前だと解釈してきた世界が本当は違ったものだったとしたら?
そう考えると足元がぐらりと揺れる。
それでも、護りたいもの、取り戻したいものがあるなら行くしかない。
例え引き換えに、何かを消滅させてしまうことを分かっていても。
自分が今まで感じていた、現実と感覚と思考をじっくり考え直したくなる作品です。
どこまでも掘り下げて考えたくなる奥行きも魅力あふれる作品でした。
ありがとうございます! - ★★★ Excellent!!!超立体構造SF。これで終わるのはもったいない
パラレルワールドを題材とした展開は最後まで読まなければ理解できないことって多いと思うのですが、これだけの多重構造にもかかわらず、あっという間に読み終えてしまいました。
人によっては違和感で手を止めてしまうかもしれない。ただ、その後矛盾らしきものが徐々に解決していくので、まずはざっとでもいいので最後まで読んでほしいのです。最後まで読むと、この話の世界観が何で成り立っているのかがなんとなくわかってくるかと。
医療に従事されている青嶋さんの独自視点と希望、患者に対する真摯なお気持ちを垣間見ることができる、すばらしいお話だと思いました。